妊娠を考えている女性は体のコンディションを整えて、いつ妊娠しても大丈夫な状態に準備をしておくことが大切です。
そのためには「食事・睡眠・適度」な運動といった生活習慣を見直すことがとても大切です。特に食事は女性の体に必要な栄養を補給するだけでなく、その内容によって体に与える影響も変化します。
例えば、食べることで体を冷やしてしまうものや栄養が偏っているもの、食中毒や生活習慣病を引き起こす恐れのあるものなどです。
今回は妊活中におすすめできない食べ物について、その理由もあわせて解説します。
この記事でわかること
- 妊活中の食生活の基本
- 妊活中に避けた方がよい食べ物
- 妊活中に気をつけた方がよいこと
妊活中に食べてはいけない食べ物はあるの?
妊活中におすすめできない食べ物はあります。ただし、そのような食べ物が一概に絶対に食べてはいけないものとは言い切れません。食べる量を調整したり、食べる前に対策を講じるなどすれば、食べても問題ない場合もあります。
中には、これからご紹介する食べ物の中に、あなたの大好物が含まれているかもしれません。あれもこれもNGとしてしまうと、返ってストレスが溜まってしまいます。
次の章では、おすすめできない食べ物について、理由も含めて解説していきます。対応策などをしっかり理解して、上手に対処しながらストレスのない妊活をしましょう。
妊活中に避けるべき食べ物・飲み物
妊活中に避けるべき食べ物・飲み物には以下のようなものが挙げられます。
- 生ものなどの食中毒の恐れがあるもの
- トランス脂肪酸を含む物
- インスタント・レトルト食品のような既製品
- カフェインを多く含む食べ物
- アルコール・喫煙
いずれの食べ物も身体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされているもので、注意が必要になってきます。妊活中はできるだけ栄養価が高く、体によいものを食べることを心がけましょう。
それぞれの食べ物がなぜ妊活中におすすめできないのか、その理由を解説していきます。
食中毒の可能性がある生もの
生ものなどの非加熱食品では食中毒の可能性があるため、注意が必要です。これは妊活中の方に関わらず該当することですが、ここ数年の食中毒による健康被害は、毎年平均約1,000件程度とされています。
若い方は抵抗力や体力があるため、重症化しにくいといわれていますが、後遺症が残ることや最悪命に関わる危険もあります。
【食中毒の危険がある食べ物】
- 火を通さない寿司・刺身などの魚介類
- キノコ・野菜に含まれる自然毒
- 時間が経過したカレーやシチュー
上記のような食べ物を口にするときは気をつけましょう。細菌やウイルスはしっかりと加熱調理することで死滅させることが可能なため、火を通すことを怠らないこと、また生ものは時間を置かずに早めに食べることをおすすめします。
トランス脂肪酸を含む食べもの
トランス脂肪酸を多く含む食べ物の摂取量にも気をつけましょう。トランス脂肪酸とは脂肪酸のひとつで、主に植物油や何度も高温にさらされた古い油に多く含まれます。
トランス脂肪酸は以前から動脈硬化や生活習慣病の発症リスクを高める恐れがあるとされている他にも、ある研究ではトランス脂肪酸を多く摂取している北米の女性では、摂取量が少ない女性に比べて妊娠率が有意に低下しているとの報告もあります1)。
【トランス脂肪酸を含む食べもの】
- 古い油で調理をした揚げ物
- マーガリンやショートニング
- ビスケットやスナック菓子
食文化や人種によって影響の受け方に違いはあるものの、トランス脂肪酸の摂りすぎは体に悪影響を及ぼす可能性が高いといえます。
インスタント・レトルト食品
インスタント・レトルト食品の食べすぎにも気をつけましょう。これらの食品には食塩と食品添加物が多く使用されています。
食塩や添加物を使用して、より味をおいしくするために、濃い味につくられている場合が多いです。塩分の摂りすぎはむくみや高血圧などの原因に繋がります。
また、添加物も理論的に健康への影響はないとされていますが、やはり食べすぎはよくありません。毎日インスタント食品を食べるといった習慣は避けて、バランスのよい食事を取ることが妊活には大切です。
カフェインを含む飲み物
妊活中はカフェインの摂取量に気をつけましょう。カフェイン自体は頭をスッキリとさせたり、リラックス効果があるとされ、朝や仕事の合間にコーヒーや紅茶を飲まれる方も多いです。
妊活中もカフェインを摂取すること自体は問題ありませんが、摂取量に気を付ける必要があります。カフェインの摂りすぎは妊娠のしやすさに影響を与える可能性があるとされているからです。
過去の研究ではカフェインの摂取量が特に多い方(コーヒーを日6杯程度)は、カフェイン摂取量が少なめ(コーヒ1日2杯以内)な方に比べて妊活の期間が1.5ヶ月程度延長するといった結果が出ています4)。飲みすぎには気をつけましょう。
アルコール・喫煙
アルコールや喫煙は妊活だけでなく、さまざまな悪影響を及ぼすといわれています。妊娠中にアルコールの摂取や喫煙を行うと胎児の成長を妨げてしまったり、胎児がアルコール症候群という中毒症状を呈する恐れがあります。
そのため、妊活中は少しずつアルコール・喫煙量を減らし、少なくとも妊活~妊娠期は禁酒・禁煙することをおすすめします。
また、タバコは本人だけでなく、その煙を吸う周りの人(受動喫煙)にまで悪影響を与えます。そのためご自身だけでなく、パートナーやご家族にも別室や外で吸ってもらうなど、工夫ができるとさらによいです。
妊活中の食生活で気をつけること
妊活中の食生活で特に気をつけることは「バランスよく栄養を摂り入れることです。体型を気にするあまり、無理なダイエットを行う方やストレスによる暴飲暴食してしまう方もいます。栄養が多すぎても少なすぎても、また偏っていても理想とはいえません。
食習慣は一朝一夕で変えるのは難しく、生活の一部になっている方がほとんどです。日頃から食生活に気をつけておくと、妊活を始めたときに急に変えずに済みますので、妊活の有無に関係なく良好な食生活を心がけるのがおすすめです。
もし余裕があれば栄養状態に加えて、「食いだめ」や「食事を抜くこと」はできるだけ避けて、1日3食を3:4:3くらいの比率で摂るように心がけましょう。
妊活中に必要な栄養素と食べ物は?
妊活中に必要な栄養素を代表的な食べ物とともに記載します2)3)。
【妊活中に必要な栄養素】
栄養素 | 多く含まれる食材 |
---|---|
タンパク質 | 肉(脂身の少ないもの)・卵・魚・豆類 |
葉酸 | ほうれん草・海藻 |
鉄 | 海藻・レバー・貝類 |
亜鉛 | 牡蛎・豆腐・うなぎ |
ビタミンD | 魚類、きのこ |
食物繊維 | きのこ、海藻、穀物類 |
そのため、妊活の段階から不足がないよう、定期的に摂取することをおすすめします。また、妊活または妊娠されている女性に向けたサプリメントなどの健康食品を利用して効率良く摂取することもおすすめです。
タンパク質
妊活中はタンパク質を積極的に摂取することで、卵子の質向上と良好なホルモンバランスの維持が期待できます。タンパク質は細胞の生成や修復に不可欠な栄養素であり、特に妊活・妊娠期には十分な摂取が重要です。 タンパク質は卵子の発育に直接関わるだけでなく、女性ホルモンの生成にも必要な成分です。そのため、適切なタンパク質摂取は排卵機能を正常に保ち、受精卵の着床率を高める方向に働きます。一般的に成人女性の場合、1日あたり体重1kgにつき約1.0〜1.2gのタンパク質摂取が推奨されています。 具体的な摂取源としては、赤身の肉、鶏肉、魚介類、卵、大豆製品(豆腐、納豆)などがあります。日常で手軽に取り入れるレシピとしては、朝食にゆで卵を追加する、サラダにツナや茹で鶏肉を加える、スープに豆腐を入れるなどがおすすめです。バランスよく様々な食材からタンパク質を摂ることで、必須アミノ酸をまんべんなく摂取できます。葉酸
妊活中から葉酸を積極的に摂取することで、将来の妊娠時に胎児の神経管閉鎖障害のリスクを大幅に低減できます。葉酸は特に妊娠4週以前の妊娠超初期から、妊娠13週の妊娠初期までに重要な栄養素です。 葉酸はビタミンB群の一種で、DNA合成や細胞分裂に関わる重要な栄養素です。特に胎児の脳や脊髄の形成に必須であり、日本産科婦人科学会のガイドラインでは、妊娠を計画している女性と妊娠初期の女性に対して、1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。 食事から摂取できる葉酸が豊富な食材には、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、レバー、オレンジなどがあります。しかし、食品中の葉酸は調理過程で50%程度が失われることもあり、また必要量を食事だけで摂るのは難しい場合もあります。そのため、妊活中は葉酸サプリメントの利用も効果的です。サプリメントを選ぶ際は、厚生労働省が推奨する「葉酸400μg/日」を目安にし、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。鉄分
妊活中は鉄分を十分に摂取することで、将来の妊娠に備えた体づくりができます。鉄分は体内で酸素を運搬するヘモグロビンの主成分であり、特に女性は月経による鉄分喪失があるため、積極的な摂取が重要です。 鉄分不足は貧血を引き起こし、卵子の発育や排卵に影響を与える可能性があります。また、妊娠すると血液量が増えるため、さらに多くの鉄分が必要になります。妊活中から十分な鉄分を摂取しておくことで、妊娠初期からの鉄欠乏性貧血のリスクを減らすことができます。貧血を改善することで良好な胎児の発育も期待できます。 鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は動物性食品(レバー、赤身の肉、魚)に含まれ、吸収率が高いのが特徴です。非ヘム鉄は植物性食品(ほうれん草、小松菜、大豆製品)に含まれますが、吸収率はやや低めです。ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がるため、レモン汁をかけたり、フルーツを一緒に食べるとよいでしょう。 鉄分摂取のためのおすすめレシピとしては、レバーと野菜の炒め物、ひじきと大豆の煮物、小松菜と牛肉の炒め物などがあります。また、鉄分のサプリメントも効果的ですが、過剰摂取にならないよう用量を守ることが大切です。医師や薬剤師に相談しながら適切なサプリメントを選びましょう。そのほか妊活中に必要な栄養素
妊活中は亜鉛、ビタミンD、オメガ3脂肪酸、カルシウム、ビタミンEなどの栄養素も重要です。これらは生殖機能の維持や妊娠の準備に欠かせない栄養素として注目されています。 亜鉛は生殖機能に直接関わる栄養素で、卵子の成熟と排卵に重要な役割を果たします。牡蠣、赤身の肉、ナッツ類、種子類に多く含まれています。ビタミンDは卵巣機能の調整に関わるとされ、日光浴や魚類、きのこ類から摂取できます。 オメガ3脂肪酸(特にDHAとEPA)は血液循環を改善し、生殖機能をサポートします。さらに胎児の脳や神経の発達にも重要です。青魚(サバ、サーモン、イワシなど)や亜麻仁油に多く含まれています。カルシウムは卵子の成熟や受精、初期胚発生にも関与しており、乳製品、小魚、緑黄色野菜から摂取できます。 ビタミンEは抗酸化作用により卵子の質を保護し、着床環境を整える働きがあります。ナッツ類、種子類、植物油などに多く含まれています。これらの栄養素もバランスよく摂取することで、妊活をサポートする体づくりが可能になります。妊活中におすすめな飲み物
妊活中の女性にとって、適切な水分摂取は体調管理の基本です。特に体を冷やさず、栄養補給もできる飲み物を選ぶことで、妊活をサポートすることができます。水分補給は単に喉の渇きを潤すだけでなく、血液循環を良くし、老廃物の排出を促進する役割もあります。また、ストレス軽減やリラックス効果のある飲み物を上手に取り入れることで、妊活中の心身のバランスを整えることも可能です。ここでは妊活中におすすめの飲み物と、その効果的な摂り方について紹介します。カフェインレス飲料やハーブティー
妊活中はカフェインレス飲料やハーブティーを積極的に取り入れることで、リラックス効果を得ながら安心して水分補給ができます。いつ妊娠してもよいように、妊活中はできるだけカフェインの摂取を控えることが望ましいでしょう。 カフェインレス飲料の代表格として、タンポポコーヒーがおすすめです。タンポポの根を焙煎したこの飲み物は、コーヒーに似た風味がありながらカフェインを含まず、鉄分やミネラルが豊富で、肝機能のサポートにも役立つとされています。ルイボスティーも妊活中の女性に人気の選択肢です。南アフリカ原産のこのお茶には抗酸化物質が豊富に含まれ、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。 その他にもカモミールティーはリラックス効果があり、睡眠の質を高めるのに役立ちます。ペパーミントティーは消化を助け、つわりの緩和にも効果的とされています。ラズベリーリーフティーは古くから女性の健康をサポートするハーブとして知られ、子宮の筋肉を強化するとも言われています。 これらのハーブティーは1日2〜3杯程度を目安に、自分の体調や好みに合わせて取り入れると良いでしょう。ただし、一部のハーブは体質によって合わない場合もあるため、違和感を感じたら摂取を控えることをおすすめします。豆乳や乳製品の飲み物
妊活中は豆乳や乳製品の飲み物を取り入れることで、必要なタンパク質やカルシウムを手軽に補給できます。これらの飲み物は栄養価が高く、忙しい毎日でもすぐに摂取できる点が大きなメリットです。 豆乳には植物性タンパク質や大豆イソフラボンが含まれており、女性ホルモンに似た働きをすることから、ホルモンバランスの調整に役立つとされています。無調整豆乳は大豆の栄養をそのまま摂取できますが、飲みやすい調整豆乳でも十分効果が期待できます。1日の適量は200〜300ml程度で、朝食時や間食として取り入れるのがおすすめです。 牛乳やヨーグルトドリンクなどの乳製品飲料も、カルシウムやビタミンDが豊富で骨の健康維持に役立ちます。また、良質なタンパク質や乳酸菌も含まれており、腸内環境の改善にも効果的です。乳製品は1日あたり200〜400ml程度を目安に摂取するとよいでしょう。 牛乳が苦手な方は、アーモンドミルクやココナッツミルクなどの代替ミルクも選択肢として考えられます。これらの植物性ミルクにはそれぞれ特有の栄養素が含まれていますが、カルシウム強化タイプを選ぶとより効果的です。 いずれの飲み物も冷たすぎると体を冷やしてしまうため、常温か少し温めて飲むことをおすすめします。また、飲みすぎは消化に負担をかけるため、適量を守ることが大切です。妊活には、自宅でホルモンチェックもおすすめ
妊活中の方には、自宅でできるホルモン検査キット「Women’s Fertility Check(妊孕性)」もおすすめです。
妊活する際には、身体のコンディションを整えることが大切です。
ホルモンチェックは、身体のコンディションを確認するために役立つなツールといえます。
「Women’s Fertility Check(妊孕性)」では、血液中に含まれる複数のホルモン(甲状腺ホルモン・女性ホルモン・性腺刺激ホルモンなど)の状態を測定することで月経や排卵といった性周期や体調が調べられます。
自宅でできるホルモン検査キットは、
- 忙しくて受診できないという方
- 婦人科は混み合って時間がかかるので避けたい
- 受診のハードルが高い など
なんらかの理由で受診ができないという方におすすめです。
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まとめ
本記事では、妊活中に食べるのを控えたい食べ物についてご紹介しました。
タバコやアルコールはできるだけ避けることが望ましいですが、食中毒はしっかりと調理・保存をしていれば防げますし、トランス脂肪酸やインスタント食品といったものは、時々食べる程度に留めていれば問題ありません。
人それぞれ好きな食べ物もあれば、嫌いな食べ物もあります。できるだけ好き嫌いをせずにさまざまな食べ物と上手に付き合いながら、バランスのよい食事をとることを心がけましょう。
参考文献
1) Wise L.A. etaal., Dietary Fat Intake and Fecundability in 2 Preconception Cohort Studies. (2018) .https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28595290/
2) Vujkovic M, et al. The preconception Mediterranean dietary pattern in couples undergoing in vitro fertilization/intracytoplasmic sperm injection treatment increases the chance of pregnancy. (2010). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20189169/
3) Chiu Y.H. et al., doctor, what should I eat? (2018) .https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30196938/
4) Bolúmar F. et al., Caffeine intake and delayed conception: a European multicenter study on infertility and subfecundity. (1997) .https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9054236/