夕方になると足がむくむ、朝起きたら顔がむくんでいる気がするなど、むくみを感じたことがある人は多いはず。
痛みや腫れがなく、時間が経てば気にならなくなるため放置しがちですが、体の内側の健康状態を表す大切な症状です。
むくみとは一体何なのか、むくみが起こる仕組み、原因を調べ、むくみの予防や改善する方法を詳しく見ていきましょう。
この記事でわかること
- むくみとは?
- むくむ原因
- むくみの予防、改善策
- 漢方でむくみを改善しよう
むくみとは
むくみとは、皮膚の下にある皮下組織の部分に余分な水分が溜まってしまう状態のことをいいます。浮腫とも言われます。夕方になると足がむくんで靴がきつく感じたり、朝起きたときに顔がパンパンに感じたりするのは、多くの場合でむくみが起きています。
むくみかどうかを確認する方法として、むくんでいる場所を10~20秒指で押してみて、その後指を素早く離した時に、指の形にくぼんでいるようであれば、むくみの可能性が高いと言えます。
むくみがあると、特に足についてはだるい、重い、疲労感を感じることもあります。
むくみの原因
むくみの原因はいくつか考えられます。まず、むくみが起こるメカニズムとして、むくみは身体の中の血流の低下で引き起こされます。
身体に必要な酸素や栄養素は、血液によって身体中に届けられます。その際に細胞から作られた二酸化炭素や老廃物を受け取って心臓に戻ります。
これは、身体の筋肉が動くことで血流が促され心臓に血液が戻されるのですが、筋肉が動かないと血流が滞りむくみとなるのです。
- 一過性のむくみの場合
-
筋肉を動かさないことによるむくみ:デスクワークをしたり、立ちっぱなしで筋肉を動かさないような状態が長時間続く場合、血液を心臓に戻すふくらはぎのポンプ作用が弱くなり血流が弱くなりむくみが発生します。
-
塩分の摂り過ぎによるむくみ:塩分の摂り過ぎによるむくみは、体内の塩分濃度を一定に保つという体に備わっている機能が塩分濃度を薄めようと、体内に水分を溜め込むために起こります。
-
女性ホルモンの変化によるむくみ:更年期になるとエストロゲンの減少から女性ホルモンのバランスが乱れ、血管収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れがちになります。自律神経の乱れから血行が悪くなり、むくみが起こると考えられています。
-
- 慢性のむくみの場合
-
心臓、腎臓、肝臓などの臓器に疾患がある場合にもむくみが発生することがあります。
数日たっても治らないことが多いのが特徴です。
この場合、病気が隠れている可能性がありますので医療機関を受診することをおすすめします。
-
むくみの改善方法
すぐにでも始められるむくみの予防・改善策がいくつかありますので、もし気になるほどのむくみを感じるようでしたら以下の方法を試してみましょう。運動、食事など普段の生活で簡単に取り入れることができるものばかりですので、ストレスに感じない程度に始めてみましょう。
運動
血液やリンパ液などの体液が停滞することで起こっているむくみ。この停滞を素早く簡単に解消できるのがストレッチです。
首、肩など普段気付かないうちに凝り固まっている場所や、足全体を大きくストレッチするだけで改善します。膝の曲げ伸ばしや足首を回すだけでも、かなり血流の流れは変わります。
時間や場所があれば軽いジョギングやヨガなども良いでしょう。
入浴・マッサージ
身体が温まることで血流がよくなるので入浴はお勧めです。ぬるま湯の湯舟につかることがベストですが、浴槽がない場合や時間がない場合は足湯のみでも効果があります。
また、むくんでいる場所をマッサージして血液やリンパ液の流れをよくすることも有効です。
まずは足や手など、心臓から遠い体の末端からマッサージをしましょう。末端部分からリンパ節に向かってマッサージすることで、リンパの流れがより促進されます。
足全体がむくむ場合は、足の先から足の付けに向かってマッサージしましょう。
十分な水分を摂る
むくみを予防するには、身体に余分な水分を溜めないように、水分を控えた方が良いのではと思うかもしれません。
しかし、人間の身体は水分が足りないと感じると、水分をどうにか溜めこむように働くので、逆に身体の中に水分が溜まってしまうのです。
身体の水分が多いからと言って水分を摂らないことはかえってむくみを引き起こしてしまうことがありますので、十分な水分を摂るようにしましょう。
むくみに効果的な食べ物を摂取する
むくみに効果的な栄養素としてカリウムが挙げられます。カリウムには、ナトリウム(塩分)を尿として体外に排出する働きがあります。
カリウムを含む代表的なものは、バナナやリンゴ、ほうれん草や小松菜、アボカドなどがあります。それ以外の野菜や果物に多く含まれるので、積極的に摂るようにしましょう。
ただし、腎臓が悪い方は、カリウムの過剰摂取で脈に問題を生じることがあるので、かかりつけの医師に相談しましょう。
また、タンパク質もむくみを改善すると言われています。血液中にあるアルブミンというタンパク質が、むくみを予防する大切な役割を持っています。
アルブミンは、血管内と血管外の水分量の調整に関係しており、血液中のアルブミン量が不足すると水分が血管の外に流れ、むくみの原因になってしまうのです。
血中に適切なタンパク質を保つことでむくみを予防できます1)。
むくみの原因になる食べ物を控える
体は常に体内の塩分濃度を一定にする働きがあります。そのため、食事の塩分が高いと、体は水分を溜め込んでその塩分濃度を下げようとします。
その結果、水分が溜まりむくみがおこります2)。
加工食品などは塩分が高めに作られていることが多いため、塩分を摂り過ぎないようなメニューの選び方などを工夫しましょう。
また、アルコールを飲んだ日の翌日にむくみがひどいと感じる人が多いのではないでしょうか。アルコールには利尿作用があるため体の中の水分は減ります。
さらに、身体の血管が拡張するので一時的には血行が良くなるのですが、身体が水分不足になりその分、水を多く摂ってしまうことでむくみが生じてしまいます。
漢方
上記に書いた食事や運動、マッサージなどを普段から気を付けているのにむくみに悩む人は、漢方で改善するという方法もあります。漢方は一瞬で効果がでるようなものではないため、食事同様に毎日の習慣にするとよいでしょう。
また漢方では、体を温めて血行をよくする根菜類、発酵食品、生姜などを多く摂り、白砂糖など甘いものは体を冷やすので避けるようにという考えがあります。
このように、東洋医学の知識を普段の食事に取り入れることもできます。健康な身体に近づく知識を得ることにもなりますのでおすすめです。
以下の記事を合わせて読む
→冷え性に効く漢方薬
むくみに効果的なの漢方薬
東洋医学の考え方では、「水(すい)」の排出が良くできていない場合にむくみが起こると考えられていて、「水滞(すいたい)」と呼ばれています。水滞が起きている身体では、水分代謝が悪く水が体の中で停滞していることになります。
この「水滞」の人に使う漢方がいくつかありますので、むくみが改善されない人は、漢方を検討するのもよいでしょう。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
産婦人科の三大漢方薬の一つとされています。むくみ改善にもおすすめできる漢方です。水分代謝がよくなり、余分な水分を取り除いてくれます。
また、血行を促し足腰の冷え症を改善します。身体は水分を溜め込むと、冷えた体を自力で温めるパワーがなくなってしまい常に冷えを感じてしまうので、血行を促し身体を温め余分な水分を取り除いてくれる当帰芍薬散は、冷え性でむくみがある人に向いています。
加味逍遙散(カミショウサン)
加味逍遙散も、産婦人科の三大漢方薬の一つです。血流をよくする生薬や、上半身の熱を冷ます生薬などを配合しています。
身体全体の血流を良くし、溜まった熱を放散してくれるので、のぼせや口の渇きなどを感じやすい人は加味逍遥散がお勧めです。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
桂枝茯苓丸に含まれる桂皮は、香料のシナモンと同じ属種の樹皮です。主に血行の巡りを改善し、むくみやうっ血を取り除きます。足のだるさやむくみは下半身のうっ血が原因ですので、血流を促すことでむくみも改善されます。
そのほか、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、下半身の冷えなどや、月経異常のある婦人病に効くとされています。
五苓散(ゴレイサン)
五苓散は、身体の中で余分な「水」を体外へ出す利尿作用の働きがあります。身体にとって不要な水だけを出すので、一時的に不要な水が体にたまっているときに効果的な漢方です。
特に、二日酔いによる体のむくみに適しています。口渇や尿量の減少があるような方にも適しています。
知柏地黄丸(チバクジオウガン)
身体の水分代謝を調整する働きがあり、身体にこもっている熱を取り除く働きもあります。疲れやすく口渇がある方のむくみ、排尿困難、顔や手足のほてりなどを改善します。
むくみに効果的な漢方を手に入れるには
漢方は、病院、漢方専門クリニック、漢方薬局、ドラッグストア・ネットで入手できます。
病院やクリニックでは、医師による問診や診療がありますので安心ですが、保険診療と保険がきかない自由診療がありますので注意してください。
医師による診療はありませんが、問診や舌の色などをチェックして適切な漢方薬をその場で処方してくれるのが漢方薬局です。保険がきかないため費用は高めですが、質の良い漢方を処方してくれます。 最も手軽なのがドラッグストアでの購入です。
ただ、知識がない場合、どれを選んだらよいのかわからなかったり、組み合わせなどにより過剰摂取になったりするので注意が必要です。含量も処方の漢方薬に比べて少ない物が多いです。
病院で受診して処方を受ける
日本での漢方は、1976年に保険適用が開始されてから30年以上の歴史があり、現在約140種類の効果が証明された医療用漢方薬があります。
そしてその多くが保険診療にて処方が可能となっています。即効性があるものや、慢性的な症状に対しては数か月間続けることで効果が出てくるものもあります。患者さんの健康状態や症状にあった適切な漢方薬を処方してくれるので安心です。
漢方内科と呼ばれる漢方薬を専門に扱う診療科がある病院もありますが、ない場合は症状にあった診療科に相談してみましょう。
医師監修の問診をLINEで無料で受けられます
漢方は、正しく服用しないと効果が得られない場合があります。
まず第一に、自分の体質や症状に合ったものを服用しないと効果が表れません。加えて、過剰に摂取してしまったり、複数の漢方薬を同時に服用することで、それぞれの漢方薬に含まれる生薬のバランスが乱れ、効果が薄れることもあります。相性や効果が相反する作用を持つものもありますので、正しい知識を持った医師や薬剤師などの専門家のアドバイスに従って服用することをおすすめします。
「漢方を飲んでみたいけど、どれを選んだら良いよいかわからない」「知識がない」「相談できるようなかかりつけ薬剤師がいない」「かかりつけ薬剤師がいても漢方についての専門知識があるなのか不安なので聞きにくいなど」漢方についての不安や疑問を持つ女性にぴったりの漢方のオンライン購入サービスがあります。
漢方のオンライン購入サービスでは、LINEで簡単な無料の問診を受けることができ、婦人科医や薬剤師などによる医療専門家があなたに合った高品質の漢方を続けやすい価格でご提案してくれます。
▼ LINEで漢方の相談ができる
医師監修の無料問診はこちら
まとめ
多くの人が一度は経験がある、むくみ。病気ではない一過性のものがほとんどのため、我慢してしまったり時間が解決するのを待ってしまいがちですが、顔も足もすっきり見えた方が嬉しいですよね。
この記事で紹介した生活環境の中で手軽にできる予防・改善方法はもちろんのこと、むくみに適した漢方を、ぜひ取り入れてみてください。
参考文献
1)Golden MH et al. Albumin and nutritional oedema.1980 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6101456/
2)Paller MS, Schrier RW. Pathogenesis of sodium and water retention in edematous disorders.1982 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6751072/