「ここ最近、体のほてりやだるさがある」「ただの体調不調だし、病院へはいかなくてもよいかな」 と、原因がよく分からない心や体の不調で悩んでいませんか?
40〜50代の方で心身の不調がある場合、更年期によって引き起こされる体調不良かもしれません。こちらの記事では、更年期の症状をチェックできるシートを紹介しています。わかることは下記の内容です。
この記事でわかること
- 更年期障害とは
- 更年期セルフチェックリストで診断しよう
- あなたは更年期障害?診断結果について
- 更年期障害の原因と主な症状について
- 更年期障害の治療について
更年期の症状に自分がどれだけ当てはまるか知りたい人はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
更年期障害とは
更年期障害とは、閉経前後の約10年間(45〜55歳頃)に女性ホルモンの急激な減少によって引き起こされる心身の不調のことです。閉経の平均年齢は約50歳とされており、この時期に女性の体は大きな変化を迎えます。
更年期障害の特徴は、症状が多岐にわたることと、個人差が非常に大きいことです。ほてりやのぼせなどの血管運動神経症状から、イライラや気分の落ち込みなどの精神神経症状、さらには肩こりや頭痛などの身体症状まで、様々な不調が現れる可能性があります。
更年期障害によくある不調には以下のようなものがあります
- ほてり、のぼせ、発汗
- イライラ、気分の落ち込み、不安感
- 不眠、疲労感、だるさ
- 肩こり、腰痛、関節痛
- 動悸、息切れ
- 頭痛、めまい
- 冷え症状
更年期セルフチェックリストで診断しよう
更年期にあたる年齢の方でさまざまな不調があり、更年期の症状か気になる方はまず簡便なセルフチェックを行いましょう!
以下の10個の症状で当てはまるものはないか、チェックしてみてください。
- 顔や体の上半身がほてる(熱くなる)
- 汗をかきやすい
- 怒りっぽくなる、イライラする
- 気分が落ち込む、不安感、やる気がおきない
- なかなか眠れない、夜中すぐ起きてしまう
- 疲れやすい、だるさがある
- 手足が冷える
- 胸がドキドキする、胸が締め付ける、息切れする
- 頭痛やめまいがある
- 肩や首がこる、腰や背中が痛い
上記の項目は、更年期障害で見られる症状の一部です。人によって症状がさまざまで、複数同時にでることがあり、また症状の強弱も1日の中で変わることが、更年期障害の特徴です。
あなたは更年期障害?診断結果について
チェックリストの結果は、更年期症状の可能性を知るための目安となります。ただし、これはあくまでもセルフチェックであり、正確な診断のためには医療機関での検査が必要です。チェック結果を参考に、どのような対応を取るべきかを考えてみましょう。
チェックシートの項目に当てはまるものがある人
チェックシートで複数の項目に当てはまる方は、更年期障害の可能性があります。特に5項目以上に該当する場合は、更年期症状が現れている可能性が高いと考えられます。
更年期症状は放置していても自然に改善することもありますが、日常生活に支障をきたしている場合は適切な治療を受けることで症状の軽減が期待できます。気になる症状がある場合は、我慢せずに医療機関に相談することをおすすめします。また、更年期症状に似た他の病気が隠れている可能性もあるため、専門医による正確な診断を受けることが大切です。
当てはまる項目が少ない場合
当てはまる項目が少ない場合でも、気になるようであれば医療機関の受診を検討しましょう。あくまでも、チェックシートは更年期障害で見られる一部の症状です。 医療機関によっては、症状の重さの程度に応じて点数化するチェックシートを使用するなど、より正確な診断を受けられます。
当てはまる項目が少なくても、症状の重さによっては医療機関での治療が必要になるため、気になれば医療機関の受診が安心です。
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更年期障害の原因と主な症状について
更年期症状について詳しく理解するためには、その原因と具体的な症状について知ることが重要です。更年期障害がなぜ起こるのか、どのような症状が現れやすいのかを把握することで、自分の体の変化により適切に対応できるようになります。
更年期障害の原因とは
更年期障害の主な原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少です。閉経前後の約10年間で、エストロゲンの分泌量は大幅に減少し、この変化に体がうまく適応できないことで様々な症状が現れます。
エストロゲンは女性の体の様々な機能に関わっており、血管の調節、骨の健康維持、脳の神経伝達、皮膚のハリや潤いの維持など、多岐にわたる役割を果たしています。そのため、エストロゲンが減少すると全身に影響が及び、ほてりやのぼせ、イライラ、不眠、関節痛など多様な症状として現れるのです。
更年期障害で起こりやすい症状について
更年期障害の症状は大きく分けて血管運動神経症状、精神神経症状、身体症状の3つのカテゴリーに分類されます。これらの症状は個人差が大きく、軽度から重度まで様々な程度で現れます。症状の現れ方や持続期間も人それぞれ異なるため、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
のぼせ・ほてり・発汗
のぼせ・ほてり・発汗は更年期障害の代表的な症状で、約8割の女性が経験するとされています。顔や首、胸などの上半身に突然熱さを感じ、大量の汗をかくことが特徴です。これらの症状は「ホットフラッシュ」とも呼ばれ、エストロゲンの減少により体温調節機能が不安定になることで起こります。症状は数分から数十分続き、日中だけでなく夜間にも現れることがあります。
肩こり・腰痛・腹痛などの痛み
更年期では肩こりや腰痛、関節痛などの痛みが現れやすくなります。エストロゲンの減少により筋肉や関節の柔軟性が低下し、血行不良が起こりやすくなることが主な原因です。また、骨密度の低下も始まるため、腰痛や関節痛が生じることがあります。
これらの痛みは慢性化しやすく、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。適度な運動やストレッチ、温熱療法などで症状の軽減を図ることができますが、痛みが強い場合は医療機関での治療を検討することが大切です。
つかれやすい・気分が落ち込む・イライラする
疲労感や気分の変調は更年期障害の精神神経症状として頻繁に見られます。エストロゲンは脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きにも影響するため、ホルモンバランスの変化により感情のコントロールが困難になることがあります。
些細なことでイライラしたり、理由もなく気分が落ち込んだり、何事にも意欲がわかなくなったりする症状が現れます。これらの症状は周囲の人にも理解されにくく、本人も戸惑うことが多いものです。十分な休息を取り、ストレス管理を心がけることが重要です。
不眠・動悸・息切れ
不眠や動悸、息切れなどの症状も更年期障害でよく見られます。エストロゲンの減少により自律神経のバランスが乱れ、心拍数や血圧の調節機能が不安定になることが原因です。夜間のほてりや発汗により睡眠が妨げられることも多く、睡眠不足が他の症状を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
動悸や息切れは不安感を伴うことが多く、パニック発作のような症状を引き起こすこともあります。症状が強い場合は心疾患などの他の病気の可能性も考慮し、医療機関での検査を受けることをおすすめします。
うつ病の可能性もある
チェックシートの項目のような更年期の症状は、うつ病の症状と似ていることもあり判断しづらい場合があります。
ライフイベントの変化や閉経周期の時期にいる女性はうつ病のリスクも高いと言われています。
気分の落ち込み、意欲の低下、不安感が長引くときや更年期の治療で改善がみられない場合は、うつ病の可能性もあるので医療機関へ相談しましょう。
更年期障害の治療について
更年期障害の治療は主にホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、対症療法の3つのアプローチがあります。症状の程度や患者の希望に応じて、これらの治療法を組み合わせて行います。治療期間は個人差がありますが、通常数ヶ月から数年間続けることが多く、費用は月額数千円から1万円程度が目安となります。
治療を受ける場合は、婦人科や更年期外来を受診することをおすすめします。日常生活に支障をきたすような症状がある場合、複数の症状が同時に現れている場合、セルフケアでは改善しない場合は、早めに医療機関を受診するべきです。医師との相談により、最適な治療法を選択することができ、症状の改善が期待できます。
漢方薬を取り入れることで諸症状の緩和に繋がることも
つらい更年期症状には漢方薬の服用も有効です。漢方薬は、その人の体質や生活習慣など様々なことを総合的に見直し、体の内側から緩やかに症状を改善していくものです。漢方薬には様々なものがありますが、更年期症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):抑うつやイライラ、ほてり、のぼせなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷えや貧血の傾向がある
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや頭痛、下腹部痛などがある
更年期の症状には個人差があり、症状にあった漢方薬の服用が必要です。漢方薬はゆっくり症状を改善してくれるので、生活に取り入れやすいため、すこしずつでも症状を軽くしたいといった方はぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。
まとめ
40〜50歳代の方で心身の不調で日常生活に支障がでている場合、更年期障害やなにか病気が隠れている可能性もあります。更年期の症状はさまざまで、ほてりや肩こり、頭痛、めまい、気分の落ち込みやイライラするなど多彩な心身の不調があるとされています。
今回紹介したチェックシートは一つの目安です。ただ、普段の生活から症状を自覚するためのセルフチェックはとても大事なことです。
チェックシートに当てはまる症状があるなど、気になる症状があれば無理をする必要はありません。 つらい症状は一人で悩まずに医療機関の受診を検討しましょう。
参考文献
1) 久光製薬株式会社.エストラーナテープ0.72mg添付文書.2020 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066350.pdf