日本で不妊を心配したことがある夫婦は35%で、約3組に1組が妊娠できるか悩んだことがあると発表されています。さらに夫婦の18.2%、つまり5〜6組に1組のカップルが実際に不妊治療の経験があることも併せて発表されました。
このように妊娠できるか悩んでいる夫婦はたくさんいます。妊娠できるか悩んでいる人のなかには、不妊症の検査にはいくらかかるのかと疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、不妊症の検査の費用や検査の流れについて解説します。妊娠できるか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 不妊症検査とは
- 不妊症検査にかかる費用
- 不妊症検査の種類と概要
- 不妊症検査に関するQ&A
不妊症検査とは
不妊検査とは、妊娠に必要な身体機能が正常に働いているかを調べる検査です。不妊症は一般的に、避妊をしない自然な性生活を1年間続けても妊娠に至らない状態を指します。
不妊検査は男女それぞれに対して行われ、妊娠を妨げている原因を特定することを目的としています。女性では排卵機能、卵管の通過性、子宮の状態などを確認し、男性では精液の状態や精子の機能を調べます。
検査結果によって不妊の原因が明らかになれば、適切な治療方針を立てることができます。また、検査を通じて自分の身体の状態を正しく把握することで、妊娠に向けた準備を進めることができるでしょう。早期に検査を受けることで、より効果的な治療につながる可能性も高まります。
不妊症検査の費用
不妊症検査にかかる費用は、検査内容や保険適用の有無によって大きく異なります。一般的に、基本的な不妊検査は保険適用となることが多く、1回の検査で数千円程度の自己負担で受けることができます。
女性が受ける主な検査の費用は以下の通りです。採血検査は保険適用で1項目あたり約1,000円、子宮卵管造影検査は保険適用で約6,000円、超音波検査は保険適用で約1,600円程度です。一方、AMH検査は自費診療となることが多く、約5,000円から10,000円程度かかります。
男性が受ける検査では、精液検査が保険適用で数百円程度、ホルモン検査が保険適用で1項目約1,000円程度となります。ただし、医療機関によって費用は異なるため、受診前に確認することをおすすめします。
検査項目 | 保険適用 | 費用(目安) | 検査回数 |
---|---|---|---|
採血検査(女性) | ○ | 約1,000円/項目 | 月経周期に応じて複数回 |
子宮卵管造影法 | ○ | 約6,000円 | 1回 |
超音波検査(エコー) | ○ | 約1,600円 | 月経周期に応じて複数回 |
AMH検査 | ×(条件により○) | 約5,000円〜10,000円 | 1回 |
フーナーテスト | ○ | 約300円 | 1回 |
精液検査(男性) | ○ | 数百円 | 2回程度 |
不妊症検査の種類と概要
不妊症検査には様々な種類があり、それぞれ異なる目的と方法で行われます。女性と男性それぞれに適した検査があり、包括的な検査によって妊娠を妨げている原因を特定することができます。
検査の種類を理解することで、医師との相談もスムーズになり、自分に必要な検査を適切に受けることができるでしょう。以下では、主要な検査項目について詳しく解説します。
採血検査
採血検査は、妊娠に関わるホルモンの値を調べる重要な検査です。女性の場合、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、エストロゲン、プロゲステロンなどのホルモンバランスを確認します。
この検査により、排卵機能や卵巣機能の状態を把握することができます。検査は月経周期に合わせて複数回行われることが多く、時期によって調べるホルモンが異なります。
- 費用:保険適用で1項目あたり約1,000円
- 検査回数:月経周期に応じて2〜3回
- 検査時間:採血自体は数分
- 通院頻度:月経周期の異なる時期に数回
- わかること:排卵機能、卵巣機能、ホルモンバランス
子宮卵管造影法
子宮卵管造影法は、卵管の通過性と子宮の形を調べる検査です。子宮口から造影剤を注入し、レントゲン撮影や超音波検査を行うことで、卵管に詰まりがないかや子宮の形に異常がないかを確認します。
この検査は月経終了後から排卵前の時期に行われ、検査後に卵管の通りが改善されることもあるため、治療的な効果も期待できます。検査時に痛みを感じる場合がありますが、多くは短時間で終了します。
- 費用:保険適用で約6,000円
- 検査回数:通常1回
- 検査時間:約30分
- 検査時期:月経終了後から排卵前
- わかること:卵管の通過性、子宮の形態
超音波検査(エコー)
超音波検査は、子宮や卵巣の状態をリアルタイムで確認する検査です。経膣エコーを用いて、子宮内膜の厚さ、卵胞の発育状況、子宮筋腫や卵巣囊腫の有無などを詳しく調べることができます。
この検査は痛みがなく、月経周期に合わせて複数回行うことで、排卵のタイミングや子宮内膜の変化を正確に把握できます。妊娠しやすい時期の特定にも重要な役割を果たします。
- 費用:保険適用で約1,600円
- 検査回数:月経周期に応じて複数回
- 検査時間:約15分
- 通院頻度:週1〜2回程度
- わかること:卵胞の発育、子宮内膜の状態、排卵時期
AMH検査は、卵巣の予備能力を調べる検査です。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値を測定することで、卵巣内に残っている卵子の数を推定し、妊娠可能な期間を予測することができます。
この検査は月経周期に関係なくいつでも受けることができ、一回の採血で結果が得られます。検査結果は不妊治療の方針を決定する重要な指標となりますが、卵子の質については評価できないことに注意が必要です。
- 費用:自費で約5,000円〜10,000円(条件により保険適用)
- 検査回数:通常1回
- 検査時間:採血で数分
- 検査時期:いつでも可能
- わかること:卵巣予備能、残存卵子数の推定
フーナーテスト
フーナーテストは、精子と子宮頸管粘液の適合性を調べる検査です。性交後に子宮頸管粘液を採取し、精子の運動性や数を顕微鏡で確認します。この検査により、精子が子宮内に正常に侵入できるかを評価できます。
検査は排卵期に行われ、性交後2〜12時間以内に来院する必要があります。簡便で痛みのない検査ですが、タイミングが重要なため、医師の指示に従って正確な時期に受診することが大切です。
- 費用:保険適用で約300円
- 検査回数:通常1〜2回
- 検査時間:約10分
- 検査時期:排卵期
- わかること:精子と頸管粘液の適合性、精子の運動性
男性が受ける検査
不妊の原因は女性だけではなく、男性にある可能性もあります。男性の不妊を調べる検査の内容と費用は、下記の通りです。
- 精液検査:2,000~5,000円 精子の数や運動量を調べる検査です。
- 採血検査:ホルモンを検査する場合は3,000円程度、抗精子抗体は5,000~8,000円程度 ホルモンや抗精子抗体などを調べます。
- 超音波検査:2,000円程度(保険適用) 精索静脈瘤の有無などを調べます。
費用は医療機関によって異なるので、実際の費用については受診する医療機関のホームページをご確認ください。
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不妊症検査についてのQ&A
不妊症検査について多くの方が疑問に思うことがあります。費用や保険適用の条件、夫婦での検査方法など、よくある質問とその回答をまとめました。
これらの情報を参考に、不妊症検査について正しく理解し、適切な準備をして検査を受けることができるでしょう。
Q.保険診療適応外の検査費用は全額自費ですか?
はい、保険診療適応外の検査費用は全額自費負担となります。不妊検査の中には保険適用となる検査もありますが、自費でしか行えない検査もあります。
例えば、AMH検査は基本的に自費診療となりますが、不妊症の患者の治療方針の決定を目的とする場合は、6ヶ月に1回の測定が保険適用となります。また、混合診療は禁止されており、保険適用の治療と自費の治療を同時に受けることはできません。
検査を受ける前に、どの検査が保険適用でどの検査が自費になるかを医師に確認することが大切です。
Q.妊娠するまでにかかる不妊治療の平均費用はいくらですか?
妊娠するまでにかかる不妊治療の平均費用は、年代や治療内容によって大きく異なります。2022年4月から不妊治療が保険適用となったことで、費用負担は大幅に軽減されています。
保険適用後の治療費用は以下のようになっています:
- 30代前半:タイミング法から人工授精まで約10万円程度
- 30代後半:体外受精を含む場合約50〜100万円程度
- 40代:採卵4回+移植3回で約120万円程度(保険適用)
ただし、これらは目安であり、個人の状況や治療期間、医療機関によって費用は変動します。また、保険適用には回数制限があり、妻の年齢が40歳未満の場合は通算6回、40歳以上43歳未満の場合は通算3回までとなっています。
Q.夫婦で不妊検査を受けたい場合はどうすればよいですか?
夫婦で不妊検査を受ける場合は、不妊治療専門クリニックまたは産婦人科を受診することをおすすめします。多くの不妊治療専門クリニックでは、男女両方の検査を同一施設で行うことができます。
男性の不妊検査を引き受けてくれる病院を探す際は、以下の方法があります:
- 不妊治療専門クリニックのホームページで男性外来の有無を確認する
- 泌尿器科で男性不妊を専門とする医師を探す
- 産婦人科で男性の検査も行っているか問い合わせる
夫婦でかかる診療費は、女性の基本的な不妊検査が約2〜5万円、男性の基本的な検査が約1〜3万円程度です。ただし、検査内容や医療機関によって費用は異なるため、事前に確認することが大切です。夫婦揃って検査を受けることで、より効率的に不妊の原因を特定することができます。
Q.自分で出来る不妊検査はありますか?
はい、自宅でできる不妊検査があります。医療機関を受診する前に、自分の身体の状態をある程度把握したい方や、忙しくてなかなか病院に行けない方におすすめです。
自宅でできる検査の代表例として、排卵・卵子の数・体調に重要な役割を持つホルモンの値から、妊娠に向けた身体の状況や今の体調にホルモンがどう影響しているかをセルフチェックできる検査があります。
特におすすめなのが「Women's Fertility Check(ブライダルチェック)」です。この検査では、排卵・卵子の数・体調に重要な役割を持つホルモンの値から、妊娠に向けた身体の状況や今の体調にホルモンがどう影響しているかをセルフチェックできます。病院で行う検査と同じように数多くのホルモンを対象とし、医学的に正しくセルフチェックできる唯一の郵送検査です。登録衛生検査所で検査を行うため、結果の信頼性も高いのが特徴です。
ただし、自宅検査は医師の診断に代わるものではありません。検査結果で気になる点があれば、専門医に相談することが大切です。
Women's Fertility Check(ブライダルチェック)はこちら
まとめ
妊娠できるかどうか不安に思う女性はたくさんいます。もし妊娠できるか不安に感じたら、一人で悩まずに不妊症の検査を受けてみてください。 不妊症の検査は採血検査や超音波検査など、いくつかの検査方法があります。
もし不妊だった場合に、原因を特定するためにも不妊症の検査はとても大事です。 また、まだ結婚の予定がない独身の方でも、希望すれば不妊症の検査を受けられる医療機関があります。妊娠できるか気になる方は、ぜひ医療機関で相談してみましょう。