月経の出血量が多い気がするけど一般的な普通の量とは?出血量が多い場合は何が原因なの?どこか病気なの?など不安になったらまず、簡単にできるセルフチェックで過多月経かどうか確認してみましょう。
過多月経には様々な原因が考えられていますので、一つ一つの原因とそれに対する治療法を見ていきましょう。
この記事でわかること
- 過多月経の症状と原因
- 過多月経のセルフチェック
- 過多月経の原因別の治療方法
過多月経とは
過多月経とは、月経時の出血の量が、正常の出血量に比べて多い状態をいいます。正常の出血量とは、通常、1回の月経期間での出血量が20〜140mlとされています。この範囲以上の出血がある場合の月経を過多月経とよんでいます。
過多月経の原因
過多月経の原因はいくつか考えられています。ホルモンの異常からくるものや、子宮などの婦人科系の器官に病気が潜んでいるなど、過多月経の原因を自身で断定することが難しい場合もあります。そのため「経血の量が異常に多いな」と感じたら、まずは医療機関を受診することをおすすめします。
ホルモンバランスの乱れは、月経が開始したばかりの思春期の女性や、卵巣機能が衰え始める更年期の女性などに多くみられます。月経周期が安定している20〜30代の方でも、疲労やストレス、過度のダイエットなどでホルモンバランスが崩れることもありますので要注意です。
あなたは過多月経?セルフチェックをしてみよう
自身の経血の量が多いと感じても、一般的な量に比べて多いのかを把握することは難しいですよね。経血の量を測る市販の月経カップなどを使って測ることも可能ですが、まずはいくつかのチェック項目でセルフチェックをしてみましょう。
以下に当てはまるものや似たような症状があれば過多月経の可能性が高いので、確認しておきましょう。
✔ナプキンを1時間おきに交換する必要があるほどの量が出る
✔月経の期間が8日間以上続く
✔たちくらみのような貧血の症状がみられる
✔レバーのような血の塊が経血の中に見られる
✔月経カップの計量で1回の月経の合計が140㎖以上ある
過多月経になる原因と治療法
過多月経の原因はいくつか考えられており、ホルモン分泌の乱れ、黄体機能不全などの機能性疾患、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの婦人科器質的疾患、また、血液の病気など内科的な基礎疾患が原因になっている場合もありますので注意が必要です。
ホルモンの異常
女性ホルモンの異常による過多月経となることがあります。例えば下記のようなものが挙げられます。
黄体機能不全:排卵後に卵巣で形成される黄体からプロゲステロンが十分に分泌されず、子宮内膜を妊娠に適した状態に維持できないことです。
無排卵性周期症:周期的な出血があるにも関わらず排卵がない症状です。
これらの症状は、月経が始まったばかりの10代から、まだ月経が不安定なことが多い20代前半、そして40代後半の更年期に近い層に多くみられます。
ホルモンのバランスが乱れやすいこれらの年代で経血量が多い場合は、ホルモンの異常が原因の場合が多いです。問診、基礎体温表、ホルモン検査等で診断します。
子宮の異常
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなど、婦人科器質性疾患が原因で経血量が増えることがあります。診断には、内診、超音波MRI、子宮鏡検査などが用いられます。
そのほか、悪性疾患とされている子宮体癌や子宮頸癌の場合もありますので注意が必要です。これらの病気の発見のためにも普段の定期婦人科検診、子宮頸がん検診や体がん検診を受けることはとても大切です。
血液の病気
血液疾患など内科的疾患がもととなり、止血凝固機能の異常から、過多月経を起こすことがあります。逆に過多月経の検査の中で血液疾患が見つかる場合もあります。
血液の病気とは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、フォン・ヴィレブランド病、血友病などが挙げられます。これらはどれも血が止まりにくくなる病気のため、過多月経の症状が見られるということになります。
過多月経の治し方
日常生活に支障があるような過多月経の場合や、貧血を起こしている場合は、医療機関を受診して治療することをおすすめします。
過多月経の治療は、原因に応じて薬物治療や手術を行います。まずはホルモン分泌などを調べることで原因を突き止め、原因に合わせた治療を進めていきます。
病院による薬物治療
多くの場合でホルモン治療が用いられます。ホルモン治療では女性ホルモンのバランスを薬を投与することで安定させることができます。
ホルモン治療で用いられる主な治療薬は、エストロゲン・プロゲステロン製剤(いわゆるピル)、黄体ホルモン製剤、GnRHアナログ製剤などがあげられます。ピル、黄体ホルモン製剤は人工的に作られた女性ホルモン製剤で、ホルモンを整える効果があります。
GnRHアナログ製剤は女性ホルモンを調整する大元である脳下垂体に働きかけ、閉経と同じような状態にすることで月経を停止させます。この薬は基本的に連続6ヶ月以上続けて使用すると更年期様症状や骨密度の低下を招くため使い続けることはできず、一定期間使用した後に別に治療を続けることが多いです。
また、黄体ホルモン放出子宮内システム(ミレーナ)IUSと呼ばれる装置を子宮内に入れる治療法もあります。黄体ホルモンには子宮内膜の増殖を抑える働きがあるため、結果的に経血量を減らすとされています。
止血効果作用のあるトラネキサム酸(トランサミン錠)を投与することもあります。
病院による外科治療
子宮筋腫や子宮腺筋症においては、薬物治療で改善しなかった場合に外科的手術を行うことがあります。病巣のある部分だけを一部取り除く保存手術と、子宮を摘出する根治手術があります。
子宮を全摘出してしまうと自身では妊娠ができなくなるため、妊娠希望かどうかで手術方法も変わることがあります。 このように、疾患の種類や状態、将来の妊娠の希望の有無などによって治療方法を決定していきます。
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まとめ
「もしかして経血の量が多いかな」と思っていても、簡単に他人と比較できるわけでもなく、個人差が大きいからと放置しがちですが、少しでも気になるようであれば医療機関を受診するようにしましょう。
ご自身の卵巣機能や子宮に問題や病気がないかを確認できるよい機会となります。特に過多月経は、血液疾患や内科的疾患の症状として起きていることがありますので、我慢せずに医療機関を受診しましょう。