「子どもが欲しい」と思ったり、「将来妊娠するために準備しておきたい」と妊娠を意識した時、一体、何から取り組めばよいのでしょうか。不安や疑問を抱えている人も少なくないはずです。
妊活を難しく考える必要はありません。妊活の基本は、規則正しい生活習慣や健康的な体作りです。
妊活でできることは、男性・女性、それぞれにあります。これから妊活を始める人や妊活を始めたばかりの人にも分かりやすく、妊活で取り組むことや気をつけるポイントについて解説します。
この記事でわかること
- 妊活でできること【女性編】
- 妊活でできること【男性編】
- 妊活で気を付けるべきポイント
妊活でできること
妊活とは、妊娠についての知識を高めることや妊娠するために体調を整えることなどをいいます。女性の場合、30代になると妊娠する可能性が徐々に減り始めるので、妊活に興味を持ったら早めに取り組むのが賢明です。まずは男性も女性も、自分自身の体について知ることから始めましょう。
女性
女性が自分の体について知ろうと思った時、おすすめなのは基礎体温の測定です。自分の月経周期や排卵のタイミング、ホルモンバランスについて知ることができます。
ホルモンバランスの整った正常な基礎体温表では、2週間の低温期と2週間の高温期で月経周期がなりたっています。しかし、ホルモンバランスが乱れていると、基礎体温はきれいな2層には分かれません。
もし基礎体温が2層に分かれない場合は、排卵が行われていなかったり、ホルモンの分泌が正常でない可能性があります。月経周期がバラバラで、基礎体温が2層のグラフになっていない時は、医療機関を受診しましょう。
男性
男性が自分の体について知ろうと思った時に、おすすめなのは勃起や射精の状態を確認することです。勃起や射精が十分に行われない場合、不妊の原因になります。
性行為の際は、腟内に挿入できるほど十分に勃起をしているか、腟内に射精が行われているかをチェックしましょう。勃起が十分でない場合は、勃起障害かもしれません。また、射精しても精子が出てこない場合は、精子が膀胱へ流れてしまう逆流性射精などが考えられます。症状が気になる時は、医療機関を受診しましょう。
医療機関での検査で体の状態を知ろう
もっと詳しく体の状態を知りたいなら、医療機関での検査がおすすめです。女性の場合は排卵の有無やホルモンの分泌状況、卵巣や子宮に異常がないか、男性の場合は精子の数や精子の運動能力をチェックすることができます。
検査にかかる費用は、病院によって多少異なるようです。
- 採血検査(女性)数百円〜5000円程度
- 超音波検査(女性)1500円程度
- 精液検査(男性)2000〜5000円程度
男性と女性のどちらかに異常がある場合は、妊娠する確率が低くなってしまいますので、夫婦そろって受診しましょう。
妊活で気を付けるべきポイント
妊活を進めていく上で、大事なことは健康的な体作りです。妊活を始めたからといって、すぐに妊娠できるとは限りません。卵子や精子の質を高めたり、ホルモンの分泌を正常に行うためにも規則正しい生活を心がけ、健康的な体作りをする必要があります。
わたしたちの体は普段の生活の積み重ねで成り立っているので、一度自分の生活を見直してみましょう。普段の生活の中で、できることはたくさんあります。
しかし、自分のライフスタイルを見直そうと思っても、具体的にどのようなことを心がけたらいいか、分からない人も多いのではないでしょうか。日常生活において抑えておきたいポイントをご紹介します。
ストレス対策
強いストレスを感じると、排卵や月経周期に影響が出てしまいます。なかなか妊娠に至らずプレッシャーを感じたり、周囲の人からの妊娠報告で焦りを感じたりする人も少なくありません。自分なりにリラックスできる方法を見つけたり、奥さんや旦那さんと心地よい生活を送れるように、お互いを気遣いましょう。
規則正しい生活
睡眠時間が短い場合や睡眠障害がみられている場合、妊娠する確率が低くなることが報告されています1)。理想的な睡眠時間は7〜8時間です。朝、しっかり日光を浴びることで夜の寝付きが良くなります。また、脳の覚醒を防ぐために、寝る前のスマホやパソコンの利用は、控えたほうが良いでしょう。
冷え性対策
体の冷えは全身の血液循環を悪くするため、卵巣や子宮へ栄養が十分に送れなくなります。冷たい飲み物や体を冷やす食べ物を好んで口にしていませんか?また、首や手首・足首を冷やしてしまう服装も、冷え性の原因になります。体を冷やす飲食物や服装などを控えるように心がけましょう。
バランスのよい食事
バランスの良い食事を摂ることは、月経周期を整えたりや排卵を促すなど妊活を続けるために大切です。朝食を抜いている人もいるかもしれませんが、月経異常に悪影響をもたらすことが報告されています2)。妊活中にぜひ摂りたい食物は、全粒穀物、オメガ3脂肪酸、魚、大豆などです。また、葉酸やマルチビタミンは、妊娠した時の先天性欠損性を予防したり、妊娠を維持する力を高めます3)。
適正体重に近づける
無理なダイエットは女性ホルモンの分泌を狂わせたり、排卵が起きなくなる可能性があるのですが、肥満も不妊のリスクが高くなります。BMI(体重kg÷身長m÷身長m)は、18.5〜25までが標準です。また、日常の運動時間と妊娠確率の関連性を調査した結果、週に5時間以上軽い運動を行っている人は、運動時間が1時間以下の人と比べて妊娠する確率が高いことが報告されています4)。適度な運動を継続しながら、適正体重に近づけましょう。
喫煙・飲酒を控える
男性女性に関わらず、妊活する人にとって喫煙や飲酒は悪影響です。喫煙する男性は勃起不全リスクが高くなったり、精子を作る機能に障害が出る可能性があり、喫煙する女性はしない女性と比べると、月経困難症になるリスクが1.45倍も高まります5)。また、喫煙しない女性でも、子どもの頃から身近にタバコの煙があった場合、月経症状が強く出ることが報告されています6)。
過度な飲酒は男性ホルモンの低下につながり、勃起不全や精子の減少など妊娠への影響は大きいです。さらに、飲酒している女性は不妊症のリスクや、胎児への悪影響を及ぼすことも調査で分かってきましたが、詳しいメカニズムは明確になっていません7)。妊活を優先したいのなら、お互いに喫煙や飲酒は控えておきましょう。
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妊娠しやすい体になるためにできること
妊活に不安や疑問があれば医療機関を受診しよう
妊娠や出産は、歳を重ねるごとに難しくなっていきます。妊活に取り組む時期が、20代なのか、30代なのか、それとも40代なのかによって、妊活の考え方や取り組む内容も変化するでしょう。このままでいいのかなと不安を感じたり、疑問を持った時は、専門の医療機関を受診することをおすすめします。
まとめ
妊活について、男性や女性別にできることやお互いに知っておいて欲しい知識などをご紹介してきました。妊活はどちらか一方が、一生懸命に取り組むものではありません。妊娠しやすい体作りには、夫婦の協力が必要になります。
また、妊娠や出産はゴールではなく、新しい生命のスタートです。あまり神経質になりすぎず、妊活することがストレスにならないようお互いをいたわり合いながら、健康的な生活を送るように心がけましょう。
参考文献
1) Wills SK et al.:Female sleep patterns, shift work, and fecundability in a North American preconception cohort study,2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30987736/
2) Tomoko Fujiwara:Skipping breakfast adversely affects menstrual disorders in young college students,2009 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19468949/
3) Chiu YH, et al.: Diet and female fertility: doctor, what should I eat? ,2018 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001502821830428
4) Wise LA, et al. :A prospective cohort study of physical activity and time to pregnancy,2012 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3340509/
5) Qin LL et al.,:Association between cigarette smoking and the risk of dysmenorrhea: A meta-analysis of observational studies,2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32294123/
6) Hiroko Sakai, Kazutomo Ohashi,:Effects of past environmental tobacco smoke exposure on the menstrual cycle and menstrual phase-related symptoms: A cross-sectional study,2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33103300/
7) N K Mello:Neuroendocrine consequences of alcohol abuse in women,1989 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2662859/