【妊活】卵子の質を上げる方法はある?質の良い卵子の育て方をご紹介。

「卵子の質が大事と聞いたけれど、どのように判断されるものだろうか」 「卵子の質を保つための方法を知りたい」 妊活をしているとよく聞く「卵子の質」という言葉ですが、実際に質の良い卵子が育つ方法を知らない方も多いでしょう。

ここでは、「質の良い卵子」に焦点を当てて、卵子の質を保つ方法や卵子の質が下がる原因などを紹介します。また、卵子と年齢の関係についても解説しています。

良質の卵子を育てたい、卵子の質を保ちたい、という方はぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 卵子の質について
  • 卵子の質を下げる原因
  • 卵子を質を保つために実践すべき具体的な方法
  • 自宅で手軽に行えるホルモン検査キットについて

卵子の質とは?

卵子の質とは、卵子の発育状態や染色体の状態から判断されるものです。発育が未熟でなく成熟したもの、染色体の本数に異常がなく正常の数のものが、質の良い卵子と言えます。

受精ができ、受精後も順調に細胞分裂ができて、初めて「卵子の質が良かった」と言えることもあるでしょう。

また、顕微授精という方法は、成熟した状態の良い卵子に行います。卵子の質が良ければ必ず受精できるというものではありませんが、質の良い卵子を育てていくことは重要だと言えます。

卵子の質が下がる原因

卵子の質の低下が起こるのはなぜなのか、主な原因は以下の通りです。

  • 加齢
  • 生活習慣の乱れ
  • ストレス

加齢は、卵子の染色体異常や受精後の胚の生育悪化を引き起こすと言われており、卵子の質において重要な鍵となります。

過度の飲酒や喫煙、栄養バランスの乱れ、睡眠時間が短いなど生活習慣が乱れていると、卵子の質に影響が出やすくなります。

ストレスは万病の元と言われており、ストレスがかかった状態が続くと、卵子の質だけでなくホルモンバランスにも影響を与え、うつや自律神経失調症などのほかの病気を引き起こす可能性もあります。

卵子の質はいつまでに決まる?

卵子の質は排卵日までに決定すると言われています。

卵子の元となる卵母細胞は、胎児期のうちにすべてが作られており、途中で新しく作られることはありません。原始卵胞と呼ばれる卵母細胞を含んだものが、細胞分裂を途中で止めて休眠した状態で卵巣に存在しています。そして、ホルモンの刺激を受けることで、止まっていた細胞分裂が再開します。

原始卵胞は46本の染色体を適切に切り離し、23本の状態で排卵されます。染色体の切り離しがうまくいかないと、染色体数に異常がある卵子が生じる可能性があります。

眠っていた細胞がホルモン刺激によって目覚め、染色体の切り離しが完了するまでの期間が卵子の質を左右すると言えます。

卵子の質と年齢の関係

卵子の質は、年齢と相関関係があります。

卵子の元となる卵母細胞は胎児期のうちに約700万個が作られますが、それ以降、新しく作られることはありません。胎児期のうちにもどんどん体内に吸収されてしまい、生まれた時には200万個ほど、思春期の頃には20〜30万個まで減少すると言われています。

排卵のたびに新しく作られるわけではなく、生まれる前までに一生分が作られています。そのため、20歳の時に排卵した卵子の年齢は20歳、40歳で排卵した卵子の年齢は40歳なのです。

卵子の質は上げられる?

卵子の質は、年齢の影響を大きく受けています。

40歳の人の卵子を30歳のころの卵子に戻すことはできません。染色体の切り離しがうまくいかなかった部分を正しくするような治療は存在しないのです。

しかし、40代でも30代の方と比べてエネルギッシュで若々しい方がいるように、卵子の質の低下を抑えることはできるかもしれません。規則正しい食生活や適度な運動が、卵子の質の低下を抑える助けとなる可能性があります。

また、ストレスは活性酸素を体内に作り出し、卵子の質に影響をおよぼす要因です。睡眠時間やリラックスできる時間を確保し、ストレスをためないように心がけましょう。

質の良い卵子を育てる・質の低下を予防する方法

質の良い卵子を育てるためには、日頃の生活習慣やストレスを溜めない工夫が必要です。具体的な方法を紹介していきます。

年齢を理由に妊活を諦めてしまう前に、卵子の質の低下を予防する様々な方法を少しずつ取り入れてみてください。

栄養バランスを整える

質の良い卵子を育てるためには、栄養バランスを整えることが極めて重要です。健康を意識し、加工食品を控えましょう。

お菓子やマヨネーズなどの加工品を減らし、野菜や魚、豆類を多く摂ります。加えて、良質な植物油を多く摂り入れる「地中海式の食事」は、体外受精や顕微授精において妊娠率を向上させたと報告されています1)。

また、ビタミンDが十分にある女性は、ビタミンDが不十分な女性と比べて、妊娠や出産の可能性が高いという調査報告もあります2)。ビタミンDは、鮭、きのこ類、卵黄などに多く含まれている栄養素です。

生活習慣を改善する

生活習慣を改善することは、卵子の質を保つ上で大切なことです。

中でも喫煙は、様々な生殖機能に悪影響をもたらします。例えば、子宮外妊娠や自然流産のリスクを増加させたり、細胞分裂中に突然変異をもたらす可能性が示唆されています3)。

また、男性の喫煙にも注意が必要です。女性への副流煙の影響がまずは考えられます。また精液検査において、非喫煙者と比べて22%ほどの不良が生じているという報告があります3)。

よって、良質の卵子を育てるためには、男女ともに禁煙することが重要です。

運動をする

適度な運動を心がけましょう。質の良い卵子を育てるために、血流を良くして卵巣に栄養をしっかり届けることが必要です。

適度な筋肉がつけば、基礎代謝が上がり、それだけで血流が良くなります。妊娠には筋肉量や体脂肪質が関係するという考えから、痩せすぎても太りすぎても妊娠しにくくなると言われています。

ウォーキングなどの適度な運動を続けることで、BMIの数値に関わらず全ての女性において妊娠する力が増えるという報告があります4)。

ストレスを溜めないようにする

男性は精巣の中で新しい精子を作り出せますが、女性は卵子を新たに作れません。

女性は生まれもった200万個ほどの卵子を、年齢を重ねながら少しずつ使っていくのです。若いうちにストレスを溜め込んでいると、それだけ長時間ストレスに晒され続けた状態となってしまいます。

ストレスが溜まると、ホルモンバランスが乱れやすくなり、卵巣機能に影響を与えます。

ストレスは不妊とも関係性が深いので、なるべく溜めないように心がけてください。

サプリメントを利用する

「質の良い卵子を育てるためには栄養バランスが大切だ」と述べましたが、食事で足りない部分はサプリメントを上手に活用しましょう。全体のバランスを整えたい場合には、マルチビタミンやマルチミネラルなどを検討してみてください。

卵子の質を保つためにおすすめなのは、レスベラトロールとL-カルニチンです。

レスベラトロールは、ミトコンドリア機能を高めて妊娠率を向上させる可能性が示唆されています5)。

L-カルニチンは、抗酸化作用によりミトコンドリア機能を活性化させ、卵子への成熟率をあげたり精子の運動率をあげると言われているアミノ酸の一種です。

漢方薬で妊娠に向けて体質を整える

漢方薬の世界では、「気・血・水」の3つの要素が体内をバランス良く巡ることが、健康を保ち、妊娠力を高めることにつながると考えられています。どれかひとつが乱れても不調をきたしやすくなります。

「冷え」と「瘀血」による未病の状態から体を健康な状態へと導き、妊娠しやすい母体へと整えていくことを漢方薬が手助けします。

漢方の考え方では、不妊の原因は「冷え」にあると言えます。冷えは病気ではありませんが、体内のあらゆる機能が低下します。特に下半身は冷えやすいので、卵巣機能はますます低下しやすくなります。

次の原因として挙げられるのが「瘀血(おけつ)」です。瘀血とはうっ滞した血液のことで、ドロドロ血液とも呼ばれます。特に、卵巣や子宮は瘀血の影響を受けやすく、瘀血がたまると生理不順や排卵障害などを引き起こします。

漢方などを使って冷えや瘀血を取り除き、本来持っている機能を取り戻すことが、妊娠に向けての体質改善や質の良い卵子を育てることにつながります。

良質な卵子を育てるために|漢方薬で妊娠しやすい体質へ改善していこう

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卵子の質や数の検査方法は?

卵子の質を評価するような検査は、今のところ存在しません。ただし、残っている卵子の数を調べる検査方法はあります。

それが、血液中の抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測る検査(卵巣予備能検査)です。

AMHの数値が高ければ残っている卵子が多く、AMHの数値が低ければ残っている卵子が少ない、という指標となります。AMHは月経周期を通して値が比較的安定しているため、採血によりいつでも測定可能です。

卵子の数を増やす方法がない以上、AMHの数値を上げることはできません。AMHの数値が低かった場合は、生活習慣を見直したり、栄養バランスの整った食事を意識するなどして、残っている卵子の質低下防止に努めていきましょう。

妊娠を望んでいる方には、自宅でできる「ホルモン検査キット」もおすすめ

「妊娠を希望しているが、クリニックを訪れる前に今の自分が妊娠できるのかどうか事前に知りたい」という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方には、自宅でできる「ホルモン検査キット」がおすすめです。

Women’s Fertility Check(ブライダルチェック)では、排卵や卵子の数、ホルモン値などから妊娠に向けた身体の状況などを把握することができます。

AMH Check (卵巣年齢)では、先ほど紹介した残っている卵子数と相関するAMHを測ることで卵巣年齢をセルフチェックできます。

このような検査キットを用いて、自分と向き合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

卵子の質は検査して評価できるものではありません。生まれ持った200万個ほどの卵子を一生涯かけて使っており、卵子は自力で増えないものとわかっています。そのため、卵子は年齢の影響を大きく受けやすく、卵子を若返らせるのは難しいと言えます。

しかし、ここで紹介したような生活習慣や栄養バランスなどを見直し、必要であれば漢方薬などを活用しながら、卵子の質を保つことは十分に可能と言えます。

質の良い卵子を育てるためにも、できることから少しずつ実践してみてください。

参考文献

1)Vujkovic M, et al. The preconception Mediterranean dietary pattern in couples undergoing in vitro fertilization/intracytoplasmic sperm injection treatment increases the chance of pregnancy. 2010https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(09)04338-6/fulltext

2)Chiu YH, et al. Diet and female fertility: doctor, what should I eat? 2018https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001502821830428X

3)Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Smoking and infertility: a committee opinion. 2012https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(12)01954-1/fulltext

4)Wise LA, et al. A prospective cohort study of physical activity and time to pregnancy. 2012https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3340509/

5)Takeo S, et al. Resveratrol improves the mitochondrial function and fertilization outcome of bovine oocytes. 2014https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3999399/

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