妊娠に向けて準備する前に受けておきたい検診は?行くタイミングや費用についても解説

この記事の監修者

前田 裕斗

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

妊娠に向けて準備する前に受けておきたい検診は?行くタイミングや費用についても解説 妊娠を希望している方にとって、健康状態の確認は大切な第一歩です。妊娠前に適切な検診を受けることで、安心して妊活をスタートできるだけでなく、将来的な妊娠・出産のリスクを軽減することにもつながります。
妊活を始める前に知っておきたい検診には、血液検査や子宮がん検診、経膣超音波検査など様々な種類があります。それぞれの検査がどのようなもので、どんなタイミングで受けるべきか、費用はどれくらいかかるのかなど、気になることは多いでしょう。
この記事では、妊娠前に受けておきたい各種検診の内容や費用、受診のタイミングについて詳しく解説します。また、妊活を始めるにあたって見直したい生活習慣についても触れていきます。 この記事でわかること
  • 妊娠前に受けておきたい検査の種類と内容
  • 各検査にかかる費用や保険適用の有無
  • 検査を受けるのに最適なタイミング
  • 妊活に向けて見直したい食生活や生活習慣

妊娠希望の方におすすめの検査

妊娠を希望する場合、事前に自分の体の状態を知っておくことで、安心して妊活に取り組むことができます。また、何か健康上の問題があれば早めに対処することで、妊娠しやすい体づくりにもつながります。ここでは、妊娠を希望する方に特におすすめの検査について紹介します。

血液検査

血液検査は体の基本的な健康状態を把握するために重要な検査です。特に妊娠を希望する女性にとっては、妊娠・出産に影響する可能性のある項目をチェックすることができます。 血液検査でわかる主な項目は以下の通りです:
  • 一般的な血液検査:貧血の有無や血液中の白血球数など基本的な健康状態
  • 血液型検査:ABO式血液型とRh因子の確認
  • 甲状腺機能検査:妊娠に影響を与える可能性のある甲状腺ホルモンの値
  • 風疹抗体検査:風疹への免疫があるかどうか
  • AMH検査:卵巣予備能(残っている卵子の量)を調べる検査
  • 排卵関連ホルモン検査:FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、エストラジオール、プロゲステロンなど排卵機能に関わるホルモンの値
特にAMH検査は、卵巣の中にどれくらい卵子が残っているのかを示す「卵巣年齢」を知ることができる検査で、妊活を始める前に自分の妊娠力を把握するのに役立ちます。
また、排卵関連ホルモン検査は月経周期における排卵の状態を詳しく調べるために重要です。これらのホルモンは月経周期によって値が変動するため、正確な診断のためには適切なタイミングでの採血が必要となります。

子宮頸がんがん検診

子宮頸がん検診は、妊娠を希望する女性にとって重要な検査の一つです。子宮頸がんは妊娠適齢期の女性で発生する頻度が高いことが知られています。妊娠中の検査や治療は負担が大きいため、妊娠前に検査をしておく必要があります。子宮頸がん検診の主な内容:
  • 細胞診:子宮頸部の細胞を採取して異常がないか調べる
  • HPV検査:子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうかを調べる
  • コルポスコープ検査:細胞診で異常が見つかった場合に行う精密検査
子宮頸がん検診は20歳以上の女性に2年に1回の受診が推奨されていますが、妊娠を希望する場合は妊活を始める前に一度受けておくことをおすすめします。また、自治体によっては検診費用の助成制度があるため、居住地域の制度を確認してみるとよいでしょう。

経膣超音波検査

経膣超音波検査は、子宮や卵巣の状態を詳しく調べる検査です。超音波を使って骨盤内の臓器を可視化することで、妊娠に影響を与える可能性のある問題を事前に発見することができます。 経膣超音波検査でわかること:
  • 子宮の形や大きさ:子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの有無
  • 子宮内膜の厚さ:着床環境の評価に役立つ
  • 卵巣の状態:卵胞の数や大きさ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性
  • 卵管の詰まり:卵管造影検査と併用することで評価可能
経膣超音波検査は、産婦人科や婦人科のクリニックで受けることができます。検査自体は5~10分程度で終わり、痛みもほとんどありません。月経周期によって子宮内膜の厚さなどが変わるため、月経終了後1週間前後の時期に受けるのが一般的です。

感染症検査

妊娠前に感染症の有無を確認しておくことは、母子ともに健康な妊娠・出産を迎えるために重要です。特に一部の感染症は胎児に影響を与える可能性があるため、事前に検査して対策を立てることが大切です。 妊娠前に受けておきたい主な感染症検査:
  • 風疹抗体検査:妊娠初期の風疹感染は先天性風疹症候群のリスクがあるため、抗体の有無を確認
  • トキソプラズマ抗体検査:トキソプラズマ感染の有無を調べる検査
  • B型肝炎・C型肝炎検査:肝炎ウイルスの感染有無を確認
  • HIV検査:HIVの感染有無を確認
  • クラミジア・淋菌検査:性感染症の有無を確認
これらの検査は、血液検査や尿検査、膣分泌物の検査などで行われます。風疹抗体検査は特に重要で、抗体価が低い場合はワクチン接種を検討することが推奨されています。ワクチン接種後は一定期間(約2か月)妊娠を避ける必要があるため、妊活を始める前に確認しておくことが望ましいでしょう。

妊娠前に受ける検査の費用は?

妊娠前に受ける検査の費用は、検査の種類や医療機関によって異なります。また、保険適用の有無も費用に大きく影響します。ここでは、主な検査の一般的な費用の目安を紹介します。 血液検査
  • 一般的な血液検査(血算、肝機能、腎機能など):3,000円〜5,000円程度(保険適用)
  • 血液型検査:1,000円〜2,000円程度(初回のみ保険適用)
  • 甲状腺機能検査:3,000円〜5,000円程度(甲状腺疾患の疑いがある場合は保険適用)
  • 風疹抗体検査:3,000円〜5,000円程度(自治体によっては無料の場合あり)
  • AMH検査:6,000円〜15,000円程度(自費診療)
  • 排卵関連ホルモン検査:5,000円〜10,000円程度(保険適用の場合あり)
子宮がん検診
  • 子宮頸がん検診(細胞診):3,000円〜5,000円程度(自治体の助成制度あり)
  • HPV検査:5,000円〜8,000円程度(自費診療)
  • コルポスコープ検査:3,000円〜5,000円程度(異常所見があれば保険適用)
経膣超音波検査
  • 基本検査:3,000円〜6,000円程度(症状があれば保険適用、健診目的だと自費診療)
  • 卵胞チェック:3,000円〜5,000円程度(不妊治療の一環として行う場合は保険適用の場合あり)
感染症検査
  • 風疹抗体検査:3,000円〜5,000円程度(自治体によっては無料)
  • トキソプラズマ抗体検査:4,000円〜6,000円程度(自費診療)
  • B型・C型肝炎検査:3,000円〜6,000円程度(保険適用の場合あり)
  • HIV検査:5,000円〜8,000円程度(保健所では無料の場合あり)
  • クラミジア・淋菌検査:5,000円〜8,000円程度(症状があれば保険適用)
医療機関によっては「妊活セット検査」や「プレコンセプションケア検査」などのパッケージ検査を提供している場合もあり、単独で受けるよりもコストを抑えられることがあります。これらのパッケージ検査は15,000円〜30,000円程度が一般的です。
また、自治体によっては特定の検査(子宮頸がん検診や風疹抗体検査など)の費用助成制度を設けている場合があるため、居住地域の保健センターや自治体のホームページで確認してみるとよいでしょう。

検査を受けに行くタイミングは?

妊娠前の検査を受けるタイミングは、検査の種類や妊活を始める予定時期によって異なります。ここでは、検査ごとの最適なタイミングについて解説します。

基本的な考え方

妊娠を希望する場合、遅くとも妊活を始める3〜6ヶ月前には基本的な検査を済ませておくことをおすすめします。これは、検査結果によって対応が必要な場合(例:風疹ワクチン接種など)に十分な時間を確保するためです。 血液検査
  • 一般的な血液検査:いつでも受けられますが、体調の良い時に受けるのが理想的です
  • 血液型検査:一度確認すれば十分なので、早めに受けておくとよいでしょう
  • 甲状腺機能検査:月経周期に関わらずいつでも受けられます
  • 風疹抗体検査:いつでも受けられます(抗体価が低い場合はワクチン接種後約2ヶ月間の避妊が必要)
  • AMH検査:月経周期に関わらずいつでも受けられます
  • 排卵関連ホルモン検査:月経周期によって最適なタイミングが異なります
    • FSH、LH、エストラジオール:月経開始から2~4日目頃
    • プロゲステロン:排卵後7日目頃(月経開始から21日目頃)
子宮がん検診
  • 子宮頸がん検診:いつでも受けられます
  • HPV検査:子宮頸がん検診と同時に行います
経膣超音波検査
  • 基本検査:いつでも受けられます。
  • 卵胞チェック:排卵前(月経開始から12〜14日頃)が適しています。
感染症検査
  • 風疹抗体検査:いつでも受けられます。
  • その他の感染症検査:いつでも受けられますが、最後の性交渉から適切な期間(HIV検査の場合は4週間以上)を空けることが推奨されています。
検査スケジュールの組み方
  1. まず婦人科を受診し、基本的な検査(血液検査、子宮がん検診など)を受ける。
  2. 結果を踏まえて、必要に応じて追加検査や治療を検討。
  3. 風疹など抗体検査の結果、抗体価が低ければワクチン接種を検討(接種後2ヶ月は妊娠を避ける)。
  4. すべての検査と必要な対応が完了してから妊活を始める。
なお、年齢が35歳を超える場合は、より早い段階で検査を受けることをおすすめします。特にAMH検査(卵巣年齢検査)は年齢とともに卵巣予備能が低下する傾向があるため、早めに自分の状態を把握しておくことが大切です。
忙しい方には、自宅でできる検査キットも便利な選択肢です。例えば、「Women's Fertility Check(ブライダルチェック)」は妊活に必要な基本的な検査を自宅で行えるため、時間のない方でも手軽に自分の体の状態を確認できます。このキットの大きな利点は、排卵に関する検査が月経中に行う必要があるため、医療機関での受診タイミングが限定されるという問題を解決できることです。
「Women's Fertility Check」は、妊活に必要なホルモンを網羅している日本で唯一の検査キットであり、検査結果には医師によるレビューとコメントが付いてきます。さらに、検査後には無料相談や必要に応じた薬の手配まで行うことができるため、忙しくてなかなか婦人科に通院できない方にとって、とても便利なサービスといえるでしょう。

妊活に向けて見直したいこと

妊娠しやすい体づくりのためには、検査を受けるだけでなく、日常的な生活習慣の見直しも重要です。特に食生活と生活習慣は、妊娠のしやすさだけでなく、将来的な妊娠・出産の経過にも影響する可能性があります。ここでは、妊活に向けて見直したい主なポイントを紹介します。

食生活

妊活中の食生活は、栄養バランスを整えることが基本となります。特に注意したい点は以下の通りです。
摂取を控えたい嗜好品
  • アルコール:過剰な飲酒は排卵障害や黄体機能不全を引き起こす可能性があります。妊活中は減量し、妊娠判明後は完全に控えることが推奨されています。
  • カフェイン:過剰な摂取は胎児に影響を及ぼす可能性があります。1日200mg以下(コーヒー約2杯分)を目安にするとよいでしょう。
  • 喫煙:喫煙は卵子の質の低下や排卵障害、早発閉経のリスクを高めます。妊活中はもちろん、妊娠中も禁煙が強く推奨されています。
積極的に摂りたい栄養素
  • 葉酸:神経管閉鎖障害のリスク低減に効果があるため、妊活中から1日400μgの摂取が推奨されています。緑黄色野菜、豆類、レバーなどに多く含まれています。
  • 鉄分:貧血予防のために重要です。赤身の肉、レバー、ほうれん草などから摂取できます。
  • タンパク質:良質な卵子の発育に必要です。肉、魚、大豆製品、乳製品などから摂取しましょう。
  • オメガ3脂肪酸:排卵や受精卵の着床に良い影響を与える可能性があります。青魚(サバ、サンマなど)に多く含まれています。
バランスの良い食事のポイント
  • 主食・主菜・副菜をバランスよく摂る。
  • 加工食品や精製糖を控え、自然な食材を中心にした食事を心がける。
  • 適正体重の維持を意識する(BMI 18.5~25が理想的)。
なお、体質によって栄養バランスの整え方は異なります。漢方の考え方では、体質に合わせた「食養生」が重要とされています。オーダーメイド漢方では、個人の体質や症状に合わせた漢方薬を処方してもらえるため、妊活中の体調管理に役立つ選択肢の一つとなるでしょう。

生活習慣

妊活に良い影響を与える生活習慣を心がけることも大切です。以下のポイントに注目して生活習慣を見直してみましょう。 適度な運動
  • 週に3~4回、30分程度の軽い有酸素運動(ウォーキング、水泳など)が理想的です。
  • 過度な運動や極端なダイエットは排卵障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
  • ヨガやストレッチなど、リラックス効果のある運動も効果的です。
質の良い睡眠
  • 十分な睡眠時間(7~8時間)を確保しましょう。
  • 同じ時間に就寝・起床する規則正しい生活リズムを心がけましょう。
  • 寝室は暗く、静かな環境に整えることが理想的です。
  • 就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は控えめにしましょう。
ストレス管理
  • 継続的なストレスは排卵障害や月経不順につながる可能性があります。
  • 自分に合ったストレス解消法(趣味、軽い運動、深呼吸など)を見つけましょう。
  • 必要に応じてカウンセリングや心理療法を検討することも選択肢の一つです。
環境要因の見直し
  • タバコの煙(受動喫煙)を避ける。
  • アルコールの摂取を控える。
  • 化学物質の過剰な曝露を避ける(プラスチック容器の使用を減らす、有機野菜を選ぶなど)。

まとめ

妊娠前に適切な検査を受けることは、安心して妊活をスタートするために大切なステップです。この記事で紹介した各種検査を参考に、自分に必要な検査を選んで受けてみましょう。 妊娠前に受けておきたい主な検査には、血液検査、子宮がん検診、経膣超音波検査、感染症検査などがあります。これらの検査費用は保険適用の有無によって異なりますが、自治体の助成制度や自宅でできる検査キットを利用することでコストを抑えることも可能です。
検査を受けるタイミングは、妊活を始める3〜6ヶ月前が理想的です。特に風疹抗体検査など、結果によってはワクチン接種が必要になる場合があるため、十分な時間的余裕を持って検査を受けることをおすすめします。
また、検査と並行して食生活や生活習慣の見直しも大切です。バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレス管理などに気を配ることで、妊娠しやすい体づくりにつながります。
忙しい毎日を送る女性でも、自宅でできる検査キットや、体質に合わせたオーダーメイド漢方などを活用することで、効率的に妊活を進めることができます。特に「Women's Fertility Check(ブライダルチェック)」は、妊活に必要なホルモンを網羅している日本で唯一の検査キットであり、医師のレビューとコメント、その後の無料相談や薬の手配まで一貫したサポートを受けられる点が大きな魅力です。自分のペースで無理なく、健康的な妊活を心がけましょう。

参考文献

『日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2020』 『Gaskins et al. Prepregnancy caffeine and caffeinated beverage intake and risk of spontaneous abortion 2016』 『De-Regil et al. Effects and safety of periconceptional oral folate supplementation for preventing birth defects 2015』
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