
妊活のストレスは妊娠に影響ある?妊活のストレス解消方法
妊活を始めると「なかなか妊娠できないのは自分のせい?」と不安になったり、毎日の基礎体温測定に追われて心が疲れてしまうことも。
でも、あなた一人だけではありません。多くの女性が同じような気持ちを抱えながら、前を向いて妊活に取り組んでいます。
この記事では、妊活中のストレスが体に与える影響と、今日からできる効果的なストレスケアについてわかりやすくご紹介します。
この記事でわかること
- 妊活中のストレスが身体に与える影響
- 自分のストレス状態をチェックする方法
- 妊活中におすすめのストレス解消法
- 妊活をサポートする漢方やホルモン検査の選択肢
妊活のストレスと不妊の関係とは
妊活中はさまざまな要因でストレスを感じやすく、そのストレスがホルモンバランスや自律神経に影響を与える可能性があります。ここでは妊活中に感じやすいストレスの原因と、その影響について見ていきましょう。
妊活はストレスを感じやすい
妊活の悩みは他人に相談しづらく、一人で抱え込みがちです。「いつ赤ちゃんができるの?」という周囲からの質問や、友人の妊娠報告を聞くと焦りを感じることも。
妊活カウンセラーによると、他の人と「比較」することによるストレスは、妊活中の女性の約70%が経験しているといわれています。また、不妊治療を受けている場合は、通院や治療費など物理的・経済的な負担も加わります。
身体の状態をこまめにチェックするため、ナーバスになる
基礎体温測定や排卵検査薬の使用など、常に自分の体をチェックする状態が続くと、神経質になりがちです。「今日の体温は低い」「排卵検査薬の線が薄い」など、細かな変化に一喜一憂することでストレスが増加します。
この状態が続くと交感神経が優位になり、リラックスするべき副交感神経の働きが弱まることで、かえって妊娠に適した体環境から遠ざかる可能性があります。
年齢によるホルモンの変化
35歳を過ぎると卵巣機能の低下が始まり、女性ホルモンの分泌が減少します。これにより不安感や焦り、イライラが生じやすくなります。
特に影響を受けやすいのは40歳前後で、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が急激に低下し、排卵周期も不安定になりやすくなります。
ストレスを感じると視床下部から分泌されるホルモンが影響を受け、生殖ホルモンの分泌を抑制する可能性があります。つまり、年齢によるホルモン変化とストレスが相互に影響し合うのです。
パートナーとの関係に悩むこともある
妊活によって性生活がスケジュール化され、本来の親密さが失われることがあります。また、妊活への取り組み方についての認識の違いから、パートナーとの間に溝ができることも。
心理学的研究では、不妊治療を受けているカップルの約30%が関係性のストレスを報告しており、お互いの気持ちを共有しながら二人三脚で取り組むことが重要です。
妊活が長くなることにより疲れが出てくることも
妊活期間が長期化すると「妊活疲れ」と呼ばれる状態になることがあります。睡眠障害、集中力低下、イライラなどの精神症状や、頭痛、胃腸障害などの身体症状が現れることも。
不妊カウンセリングのデータによると、妊活を1年以上続けている女性の約60%が何らかの疲労症状を訴えています。このような場合は、休暇を取って心身をリフレッシュすることも大切です。
妊娠出来るかどうかなどの精神的不安やプレッシャー
「自分は妊娠できるのだろうか」という不安は、多くの女性が抱える悩みです。特に「原因不明の不妊」と診断されると、かえって不安が増大することがあります。
このような不安やプレッシャーはストレスホルモンの分泌を増加させ、ホルモンバランスを乱す可能性があります。専門家のカウンセリングを受けたり、同じ悩みを持つ人々と交流したりして、不安を一人で抱え込まないことが大切です。
ストレスで身体や妊娠への影響はある?
ストレスが妊娠に与える影響については、さまざまな研究が行われています。ストレスそのものが不妊の直接的な原因とは言い切れませんが、いくつかの経路を通じて生殖機能に影響する可能性があります。
ストレスでホルモン異常が起こる可能性はある?
ストレスを感じると、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌が増加します。これが生殖ホルモンの分泌に影響を与え、排卵に必要なホルモンのバランスを乱す可能性があります。
2015年の研究では、慢性的なストレス状態にある女性は、そうでない女性と比較して排卵率が約30%低下していたという報告もあります。(1) ただし、ストレスの影響には個人差があり、同じストレス状況でもホルモンへの影響の程度は人によって異なります。
ストレスで排卵や着床が起こりにくくなることはある?
ストレスによるホルモンバランスの乱れは、卵胞の成熟や排卵のタイミングに影響することがあります。特に強いストレスが続くと、排卵が遅れたり、無排卵になったりするリスクが高まります。
着床についても、2018年の研究ではストレスマーカーであるコルチゾール値が高い女性は、体外受精時の着床率が低下する傾向が見られました。
ハーバード大学の研究では、ストレス軽減プログラムに参加した不妊治療中の女性は、参加していない女性より約35%高い妊娠率を示したという結果も報告されています。
妊活中のストレスチェック
自分のストレス状態を定期的にチェックしましょう。以下のリストで確認してみてください。
- 基礎体温を測るのが億劫に感じる
- 生理予定日前に不安やイライラが強くなる
- 友人の妊娠報告を聞くと落ち込む
- 夜なかなか寝付けない、または途中で目が覚める
- 食欲が減った(または極端に増えた)
- 性生活がタスクのように感じる
- 妊活のことで頭がいっぱいで集中力が低下している
- 肩こりや頭痛など体調不良が増えた
- 何をしても楽しめない、無気力感がある
- 些細なことで涙もろくなった
3つ以上当てはまる場合はストレスが溜まっている状態、5つ以上の場合は積極的なストレス解消が必要かもしれません。
ストレスを感じるのは自然なことです。大切なのは、ストレスに気づき、発散して心身の健康を取り戻すこと。次に紹介するストレス発散法を試してみましょう。
妊活中のストレス発散のおすすめ方法
妊活のストレスを解消するためには、心身をリラックスさせる時間を意識的に作ることが大切です。ここでは実践しやすいストレス発散法をご紹介します。
睡眠をしっかりとる|自律神経を落ち着かせよう
質の良い睡眠はストレスホルモンの分泌を抑え、自律神経のバランスを整えます。特に22時〜2時の間にしっかり眠ることが重要です。
快適な睡眠環境を整えるために:
- 寝室の温度は18〜23度、湿度は50〜60%に
- 寝る1時間前はスマホやパソコンの使用を控える
- ラベンダーやカモミールなどのアロマを枕元に
- カフェインレスのハーブティーなど温かい飲み物を就寝前に
適度な運動をしてみる|生活リズムが整う
適度な運動はストレスホルモンを抑え、幸せホルモンの分泌を促進します。妊活中におすすめの運動は:
- ウォーキング:1日20〜30分、週3〜4回
- マタニティヨガ:骨盤底筋を強化し、子宮周辺の血流を促進
- マタニティピラティス:コア強化と呼吸法で自律神経を整える
- 水泳・水中ウォーキング:体への負担が少なく全身運動に
過度な運動はかえってストレスになるので、無理のない範囲で楽しく続けられるものを選びましょう。
温活をする|心身あたたまる癒しの時間を作ろう
体を温めることで血行が促進され、ホルモンバランスが整います。特に冷え性の方におすすめです。
- 入浴:38〜40度のぬるめのお湯に20分程度浸かる
- お白湯習慣:朝・食前・就寝前など1日3回程度
- 温かい飲み物:カフェインレスのハーブティーや生姜茶
- お灸:「三陰交」などのツボを温める(妊娠判明後は専門家に相談)
温活は身体の冷えを改善するだけでなく、「温まる時間」自体がリラックス効果をもたらします。
大きな声を出したり、読書をするなど何かに没頭する
「没頭する時間」を持つことで、妊活のことを一時的に忘れ、心をリフレッシュできます。
- カラオケ:大きな声を出すことでストレス発散に
- 読書:物語に没頭して現実の悩みから離れる
- 手を使う趣味:編み物、ガーデニング、料理など
- アートセラピー:絵を描いたり塗り絵をして感情を表現
妊活のことを忘れて楽しめる活動を見つけ、定期的に行うことで心の余裕が生まれます。
妊活のストレスに漢方薬で心を落ち着かせるのもおすすめ
漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶことで、心身のバランスを整え、自然な妊娠をサポートします。
妊活中によく用いられる漢方薬:
- 当帰芍薬散:冷え性や貧血傾向の方に
- 加味逍遙散:イライラや不眠などの精神的不調がある方に
- 桂枝茯苓丸:体に熱がこもり、のぼせがある方に
漢方薬は自分に合ったものを選ぶことが重要です。必ず医師や薬剤師に「妊活中である」ことを伝えた上で相談しましょう。
最近では、LINEで簡単な問診に答えるだけで、婦人科医・薬剤師が個人に合った漢方を処方するオーダーメイド漢方サービスも人気です。
ホルモン状態を知っておきたい方は自分でチェックして安心
ストレスがホルモンバランスに影響している可能性が気になる方は、ホルモン検査キットで自己チェックするという選択肢もあります。
特に年齢的にホルモン状態が不安な方や、強いストレスで妊娠への影響が心配な方におすすめです。卵子の残り数と相関するAMHという値から「卵巣年齢」をセルフチェックできるキットが利用できます。
まとめ
妊活中のストレスは妊娠に影響を与える可能性がありますが、適切な対処法を知ることで上手に付き合っていくことができます。 重要なポイント:
- 妊活中のストレスは珍しいことではなく、多くの女性が経験するもの
- ストレスはホルモンバランスや排卵、着床に影響する可能性がある
- 定期的に自分のストレス状態をチェックする習慣を持つ
- 睡眠、適度な運動、温活、趣味など自分に合ったストレス解消法を見つける
- 必要に応じて漢方やホルモン検査なども活用する
妊活は長い道のりになることもありますが、ストレスと上手に付き合いながら、心身ともに健やかな状態を保つことが大切です。自分自身を労わる時間を意識的に作り、リラックスした状態で妊活を続けていきましょう。 参考文献 1)Schliep KC, Mumford SL, Vladutiu CJ, Ahrens KA, Perkins NJ, Sjaarda LA, Kissell KA, Prasad A, Wactawski-Wende J, Schisterman EF. Perceived stress, reproductive hormones, and ovulatory function: a prospective cohort study. Epidemiology. 2015 Mar;26(2):177-84.