当帰芍薬散は、女性ホルモンのバランス異常などによる月経不順や更年期障害など、女性に起こるさまざまな不調症状を改善するのに適した漢方薬です。しかし、すべての女性に効果があらわれるとは限りません。
「当帰芍薬散はどんな症状に効くの?」、「当帰芍薬散が合わない人ってどんな人?」、「当帰芍薬散を服用する時の注意点を知りたい」など、当帰芍薬散について詳しく知りたい人に向けて、わかりやすく記事をまとめました。
この記事でわかること
- 当帰芍薬散とは?
- 当帰芍薬散の効果
- 当帰芍薬散が合わない人
- 当帰芍薬散が合う人
- 当帰芍薬散の副作用
- 効果が出るまでの期間
- 服用するときの注意点
- 合わなかった場合の対処法
- 当帰芍薬散を手に入れるには?
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とは?
当帰芍薬散とは、体の冷えが気になる人や月経不順に悩む女性におすすめの漢方薬です。
漢方医学では、「血」や「気」や「水」のバランスが崩れると、病気になったり体に不調があらわれると考えられています。
「血」の不足は、貧血や月経不順をもたらす原因のひとつです。
また、「血」のめぐりが悪くなると、余分な水分が体にたまりやすくなるため、足腰の冷えを引き起こします。
当帰芍薬散に入っている生薬
当帰芍薬散には6つの生薬が入っています。
- 当帰(とうき):補血薬として婦人科系の不調に使われることが多い生薬です。
- 芍薬(しゃくやく):当帰と同じように補血薬ですが、さらに筋肉の緊張緩和をし痛みを和らげるとして、月経不順や月経痛の改善に使われます。
- 川芎(せんきゅう):当帰や川芎と同じような補血作用に加え「気」の流れも良くして冷え症などの改善にも使われる生薬です。
- 茯苓(ぶくりょう):利水薬に分類され、身体にたまった水を出し、めまいやむくみなどの症状に良く使われます。
- 白朮(びゃくじゅつ):茯苓と同じ利水薬として、めまいやむくみ、ふらつきなどの改善に用いられます。
- 沢瀉(たくしゃ):茯苓や白朮と同じような利水薬ですが、さらに熱を持った水を出してくれるとして、膀胱炎などにも使われる生薬です。
まとめると、以下のような働きになります。
【当帰・芍薬・川芎】・・・血行を良くし、身体を温めてくれる
【茯苓・白朮・沢瀉】・・・体の余分な水を取り除いてくれる
これらの働きで、月経のトラブルや貧血、冷えやむくみなどの症状に加え、更年期症状などに悩まれている方など様々な方に用いられることが多い漢方ですね。
効果が出るまでの期間は?
当帰芍薬散の効果が出るまでの期間は、個人の体質や症状の経過によって異なります。
漢方薬の効果は、1〜2週間であらわれるのが一般的です。
そして、症状を改善するためには一定期間飲み続ける必要があります。
漢方薬の種類によっては、効果が数時間〜数日で速やかにあらわれる頓服(症状が出た時に飲む)のものや、内服を継続して慢性的な症状を改善するケースなどさまざまです。
当帰芍薬散を1か月間内服しても症状が改善されない場合は、医師に相談しましょう。
当帰芍薬散が合う人
当帰芍薬散は、虚弱体質で足腰が冷える方の月経のトラブル、貧血、めまいなどの症状に処方される漢方薬です1)。
当帰芍薬散は下記に当てはまるタイプに合うとされています。
- 冷え性
- 色白
- 痩せ型
- 虚弱体質
漢方医学では、患者さんの体型、動作、顔色、舌の色なども観察して診断を行います。症状や検査値などを重要視する西洋医学とは異なり、体質もあわせて合う薬を判断するのが漢方医学の特徴の一つです。
当帰芍薬散が合わない人
カラダが丈夫な人や色黒の人は当帰芍薬散が合わない可能性があります。
また、以下の方も当帰芍薬散が合わずに不快な症状がでる場合もあるため、様子をみながら服用するようにしましょう。
- 胃腸が弱い方::食欲不振や吐き気、腹痛、下痢などがあらわれることがある1)
- 食欲不振、吐き気のある方::症状が悪化するおそれがある
なお、漢方薬は症状だけではなく、個人の体質で相性が変わり、その時々で漢方薬が合うか合わないか変化する場合があります。
そのため、以前は合わなくても体質が変わって、当帰芍薬散が合うようになる場合もあるかもしれません。
当帰芍薬散を飲まない方がいい人
当帰芍薬散を絶対飲んではいけない人はいません。
ただし、他の漢方薬を飲んでいる方は必ず医師か薬剤師に相談をしてください。
他の漢方薬の成分と重複することで、特定の成分が過剰になり強く効きすぎてしまったり、成分同士が邪魔をして思っていた効果を得られないことがあります。
また、漢方にも副作用があります。副作用が出る頻度は少ないですが、服用していて「合わないな」と感じた時には、すぐに医師や薬剤師に相談をするようにしてください。
当帰芍薬散の副作用
漢方薬には副作用がないと思っている人もいるのではないでしょうか。
実は、漢方にも副作用はあります。
当帰芍薬散を服用し始め、「合わないな」と感じる方は、もしかしたら副作用が出ているかもしれません。
ここでは、当帰芍薬散の副作用について紹介をしますね。
<当帰芍薬散の副作用>
- 消化器症状:食欲不振・胃の不快感・下痢など
- 皮膚症状:湿疹・かゆみなど
さらにそれぞれの副作用について、説明をしていきます。
消化器症状
当帰芍薬散は、副作用に消化器症状が出ることがあります。
副作用として可能性がある症状は、
- 食欲不振
- 胃の不快感
- 悪心
- 吐き気
- 腹痛
- 下痢
などです。
どれくらいの方が上記のような消化器症状が出るかというデータはないのですが、元々胃が弱い人は、胃もたれや胃の不快感などの症状が出ることもあります。
当帰芍薬散を服用し始めてから、「ちょっとおかしいな」と思う症状があれば、医師や薬剤師に相談をするようにしてくださいね。
皮膚症状
当帰芍薬散を服用すると、湿疹やかゆみが出る場合があります。
薬による湿疹は「薬疹」と言われ、服用した薬へのアレルギー反応によるものだと考えられています。
中には、当帰芍薬散を服用する前から、肌が乾燥しやすかったりすると、湿疹やかゆみが出やすい事もあります。
そんな方は日常的に、お風呂あがりにしっかり保湿をするように心がけると症状が出にくくなる可能性もありますよ。
しかし、当帰芍薬散を服用をしてから湿疹やかゆみが増えたと感じる場合は、服用を辞めて医師や薬剤師に相談をしてくださいね。
その他の症状
当帰芍薬散を服用して、まれに微熱が出る人がいます。
微熱が続くようであれば、体質に当帰芍薬散が合っていない可能性があります。
例えば、当帰芍薬散は「虚証」の人に合う漢方ですが、虚証では冷えがある場合があり、血行を良くし温める当帰芍薬散が合うのです。
しかし、冷えがない人が当帰芍薬散を服用することによって、身体に熱をため込んでしまう可能性があります。それにより微熱が続くことがあると考えられるので、そのような場合は医師や薬剤師に相談をしましょう。
飲み合わせする際の注意点
当帰芍薬散と飲み合わせの悪い薬は、特にありません。しかし、同じ成分の漢方薬や複数の漢方薬を同時に服用する際は注意が必要です。
生薬の過剰摂取により効果が強くなりすぎたり、お互いの作用を打ち消し合うことで期待通りの効果を得られないといったトラブルを引き起こす可能性があります。
自己判断で薬を飲んだり、服薬を中止するのは絶対にやめましょう。他に服用中の薬がある場合は、相互作用を避けるため医師や薬剤師に伝えてください。
当帰芍薬散が合わなかった場合の対処法
当帰芍薬散が合わないと感じた場合は、処方された病院、漢方薬局で相談しましょう。
漢方薬は西洋薬と比べて副作用が出にくいとされていますが、副作用が出る場合もあります。そのため、当帰芍薬散が合わないと感じた場合は早めに医者や薬剤師に相談しましょう。
ただ、忙しくて病院に受診できない方や漢方薬局はハードルが高いと感じる方も多いと思います。LINEで気軽にオーダーメイド漢方を相談できるcanvasでは、変化に合わせてその時々の体質にあった漢方を薬剤師が提案しています。当帰芍薬散が合わない対処法の一つとしてご検討ください。
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漢方薬「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」を手に入れるには
当帰芍薬散の効能や副作用、合わない人の特徴についてご説明をしてきました。
当帰芍薬散は女性ホルモンの異常による月経不順の体質改善や更年期障害の症状の治療によく使われる漢方薬です。
では、当帰芍薬散を手に入れるにはどうしたら良いのでしょうか。病院で処方を受ける方法とネットで注文する方法の2つをご紹介いたします。
病院で受診して処方を受ける
当帰芍薬散は、主に産婦人科や心療内科で処方してもらえます。病院を受診し、医師の診察を受け、処方箋を書いてもらいましょう。
医師に書いてもらった処方箋がなければ、薬局で薬を出してもらうことはできません。医師法では無診療での治療は禁止されています。
病院を受診する時間がなかったり、受診を面倒に思う人もいるかもしれません。しかし、薬を処方してもらうためには、医師に書いてもらった処方箋が絶対に必要なのです。
ネットで漢方薬を注文するには
病院で処方を受ける以外にも、当帰芍薬散を手に入れる方法はあります。ネットで漢方薬を注文する方法です。漢方薬のネット注文は、病院を受診する手間がなく、送られてくる漢方薬を自宅で受け取るだけなので、とても手軽に入手できます。
例えば、canvasでネット注文をする場合、自宅にいながら医師監修の問診(無料)をLINEで受け、悩みに合わせた漢方薬を提案してもらえます。不安や体調のお悩みは、医師、看護師、薬剤師、栄養士などの医療専門スタッフに相談することも可能です。
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まとめ
当帰芍薬散は、月経不順や更年期障害のさまざまな症状を改善するのに適した漢方薬です。しかし、すべての人に効果が期待できるとも限りません。漢方薬は自然由来の薬ではありますが、体質によっては合わない人もいます。
服用中に副作用症状があらわれたり、体の異変を感じた時は、医師や薬剤師に相談してください。当帰芍薬散を服用する際は、注意点をしっかり確認した上で、用法用量を守り、服用するようにしましょう。