女性の2~4割の人が、PMSの症状に悩んでいるとされています。PMSの症状やピークには個人差があり、なかには急にPMSの症状がひどくなったという人もいるのではないでしょうか。
今回はPMSが急にひどくなったと悩んでいる女性に向けて、PMSが急にひどくなる原因や症状の出現パターンを解説します。また、PMS以外の病気の可能性についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- PMSの症状が悪化する原因
- PMSの症状の出現パターン
- PMS以外に考えられる病気
PMSの症状が悪化する要因
一般的にPMSの症状は30代でピークを迎えると言われていますが、PMSの症状が悪化する原因はいくつかあります。PMSの症状を改善するためには、原因が何かを知ることがとても大切です。PMSがひどくなったと感じる人は、自分に当てはまる原因がないかチェックしてみましょう。
ストレス
PMSはストレスによって症状がひどくなる可能性があります。月経前はセロトニンと呼ばれる脳内ホルモンが減少し、情緒不安定やイライラといった精神的な症状が出やすいです。精神的な症状があるときにストレスが加わることで症状に拍車がかかり、症状がひどくなることがあります。
日常生活におけるストレスだけではなく、症状を我慢することで感じるストレスもPMSの悪化の原因となるので、症状がひどいときには我慢をせず医師へ相談することをおすすめします。
カフェイン
カフェインもPMSの症状がひどくなる原因となります。カフェインには神経を刺激する働きがあり、イライラや情緒不安定などの精神的な症状を悪化させる可能性があります。
カフェインが多く含まれる主な食べ物・飲み物は紅茶やコーヒー、チョコレートです。実際に1日2杯のコーヒーを飲んだ女性はPMSの症状がひどくなるというデータがでているので、特に月経前にはカフェインを多く含む食べ物・飲み物は避けるようにしましょう1)。
タバコ
タバコもPMSの症状の悪化と関係があることが分かっています2)。タバコには血流を悪くする働きがあり、冷えや自律神経のバランスが崩れる原因になるので、PMSの症状を悪化させると言われています。
タバコを吸うのはもちろんのこと、受動喫煙もPMSを悪化させる可能性があるので注意が必要です。
アルコール
女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)には肝臓のアルコールの代謝を遅くさせる働きがあります。そのため月経前にアルコールを摂取すると二日酔いや悪酔いをしやすく、PMSの症状を悪化させる可能性があります。
アルコール摂取自体がPMS症状を悪化させるだけでなく、量が増えるとさらにPMSの症状が悪化するので、月経前には飲酒を控える、もしくは量を控えることをおすすめします3)。
PMSの症状に個人差があるのはなぜ?
PMSの症状は女性ホルモンの影響だけではなく、その人の性格や生活環境によっても変わるので個人差があります。そのため、PMSの症状が全く出ない女性もいれば、日常生活に支障がでるほどひどい症状の女性もいます。また、今まではPMSの症状がなかったのに急にひどくなるといったケースも少なくありません。
PMSの原因ははっきりと分かっていませんが、女性ホルモンの変動が原因と考えられています。また、真面目な性格の人ほどPMSの症状が重くなりやすいとも言われており、該当する方は注意が必要です。
PMSの緩和には、生活習慣の改善や低用量ピル、漢方薬などが使用されます。PMSの症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):ストレスによるめまいや頭痛、不安、イライラ、発汗など
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):めまい、肩こり、腰痛、足腰の冷え、頭重など
それぞれの症状にあった方法を選ぶことが大切なので、PMSに悩んでいるときには医師へ相談してみてください。
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PMSの症状の出現パターンを知ろう
PMSは一般的に月経が始まると自然と症状がなくなっていきますが、PMSの症状の出現パターンは主に4つに分けられます。
- 月経の約7日前から発症し、月経が始まると症状が無くなる
- 排卵から月経が始まるまで発症する
- 排卵前後に発症し、その後症状が治まったのちに再び発症する
- 排卵から月経が終わるまで発症する
PMSの症状は個人差があり、人によってPMSが急にひどくなるタイミングも変わってきます。しかし月経の終わりから排卵までに症状が出る場合は、PMS以外の病気も考えられます。
PMSではない可能性も?
PMSと間違えられやすい病気はこちらです。
- 月経困難症
- 更年期障害
- うつ病
- 妊娠
月経中に症状が重くなる場合は、月経困難症の可能性があります。月経困難症には子宮内膜症や子宮筋腫といった別の病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。
40代~50代の閉経前後の女性の場合は、更年期障害の可能性があります。また、PMSの中でも精神症状が強く出る場合はPMDDの可能性も考えられるでしょう。
一見、関係がなさそうですが、うつ病も月経周期に影響を受けるのでPMSと間違えられることがあります。また、妊娠初期にはPMSと似たような症状が出ます。
もしPMSが急にひどくなったり、別の病気が考えられる場合には、早めに婦人科を受診し診断を受けましょう。
まとめ
PMSに悩んでいる女性は多く、人によって症状やピークが異なります。ストレスやカフェイン、タバコ、アルコールが原因でPMSの症状が急に悪くなる女性も多く、PMSを改善するためにも原因が何か把握することが大切です。
症状によっては月経困難症や更年期、うつ病などPMS以外の病気の可能性も考えられます。症状が辛いときや急にひどくなったときには、早めに婦人科を受診し診断を受けることをおすすめします。
参考文献
1) Gul Pinar et al. Premenstrual Syndrome in Turkish college students and its effects on life quality. 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21147455/
2) So Hee Choi et al. Association Between Smoking and Premenstrual Syndrome: A Meta-Analysis. 2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33324253/
3) María del Mar Fernández et al. Premenstrual syndrome and alcohol consumption: a systematic review and meta-analysis. 2018 https://europepmc.org/article/MED/29661913