PMS(月経前症候群)に悩んでいる女性は多く、月経のある女性の約70~80%が月経前に身体の不調を感じたことがあるとされています。PMSの症状を緩和させるためにいくつか対処法がありますが、漢方薬はPMSの様々な症状に効果が期待できます。
そこで今回は漢方薬のPMSへの効果やおすすめの漢方薬などについて解説します。また、漢方薬以外に低用量ピルもPMSの治療に使用されるので、低用量ピルの効果や漢方薬との併用についても紹介していきます。
この記事でわかること
- PMSに効果が期待できる漢方薬
- 低用量ピルの効果
- 漢方薬と低用量ピルの併用は問題ないか
- 購入場所や保険適用、授乳中の服用など漢方薬に関する疑問
PMSと漢方薬
漢方薬はPMSの症状を改善する効果が期待できます。
まず初めに漢方薬はPMSにどのような効果が期待できるのか、PMSの症状に悩んでいる人におすすめの漢方薬を紹介していきます。
症状別にいくつかおすすめの漢方薬を紹介するので、漢方薬の使用を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
漢方薬の効果
漢方薬には体質を改善し様々な症状を緩和する効果があります。症状に直接働きかけるような医薬品とは異なり漢方薬は体質を整える効果があるため、ある特定の症状だけに効果があるというわけではなく、軽いけれど気になる症状が複数ある場合や、なんとなく症状がはっきりしない場合でも効果が期待できます。
PMSは人によって症状の出方や感じ方が異なり、はっきりしない症状を感じることも多いため、漢方薬が有効な場合があります。
漢方の観点から見てPMSは身体の気と血、水のバランスが乱れている状態とされています。漢方薬を服用することで気・血・水のバランスを整え、PMSの症状を緩和する効果が期待できます。
PMSに効果を期待できる漢方薬
PMSに効果が期待できる主な漢方薬は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と加味逍遥散(かみしょうようさん)です。
当帰芍薬散は血の巡りを良くして身体を温める働きがあります。そのため特に冷えを伴うPMSの症状(めまい、肩こり、腰痛、足腰の冷え、頭重など)に効果が期待できます。
加味逍遥散は身体的な症状だけではなくストレスによる精神的な症状に悩んでいる方におすすめの漢方薬です1)。ストレスによるめまいや頭痛、不安、イライラ、発汗など様々な症状に効果が期待でき、さらに抑うつの効果もあるので精神的な症状もひどい人におすすめです。
当帰芍薬散と加味逍遥散以外にもPMSに効果がある漢方薬はいくつかあるので、どの漢方薬を使用すればいいのか医師や薬剤師に相談してみてください。自分自身の症状に合った漢方薬を使用しましょう。
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こんな方は漢方薬を検討してみよう
ここまで述べたように漢方薬は体質を改善することでPMSの様々な症状に効果が期待できます。そのため、軽いけれど気になる症状が複数ある場合や、なんとなく症状がはっきりしない方は漢方薬を検討してみましょう。
鎮痛剤ではないので即効性があるわけではありませんが、体質から見直したい方に漢方薬はおすすめです。
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漢方薬とピルはどっちがよい?
PMSの症状緩和のためにピルも使用されます。
そこでここではPMSの症状を改善するためには漢方薬とピルどっちが良いのか、それぞれどのような方におすすめなのか解説していきます。また、漢方薬とピルの併用についても紹介します。
ピルに期待できる効果
低用量ピルとはプロゲステロンとエストロゲンという女性ホルモンが含まれている薬です。PMSは女性ホルモンの揺らぎ、ホルモンバランスの乱れから生じる可能性があるという説があり、低用量ピルを服用することで女性ホルモンのバランスが保たれPMSの症状が緩和されます。PMSの治療以外にも、低用量ピルは月経痛の緩和や月経不順の改善、避妊目的などでも使用されます。
低用量ピルはPMS症状緩和の効果が期待できますが、まれに副作用が起こる可能性があるので注意しましょう。主な副作用は吐き気や頭痛、腹痛、胃痛、不正出血などで、一番注意が必要なのは血栓症です。発症率は低いですが、もし足のしびれやむくみ、激しい頭痛など気になる症状が出た場合は早めに医師に相談してください。
体質を改善させる漢方薬は効果を実感するまで時間がかかるため、すぐに対処したい方は低用量ピルがおすすめです。もし低用量ピルの副作用の心配がある方は漢方薬の使用を検討してみてください。
ピルと漢方薬の併用は大丈夫?
漢方薬とピル併用は基本的に問題ありません。PMSや月経痛が重い場合、漢方薬と低用量ピルを併用して症状を緩和させることもあります。
その他にも低用量ピルは一般的な市販薬との併用は問題ないとされています。ただし、病院で処方される薬のなかにはピルと併用することでピルや薬の効果を弱めたり逆に強く作用させてしまうことがあるので、受診した際には必ず低用量ピルを使用していることを伝えましょう。
その他にも低用量ピルとの併用に関して不安なことがある場合は、医師や薬剤師に事前に相談してください。
漢方薬に関する疑問
最後にPMSの症状がひどく漢方薬の服用を検討している人が抱きやすい疑問をいくつかまとめてみました。
- 漢方薬はどこで買える?
- 授乳中でも大丈夫?
- 副作用は?
など詳しく解説しているので、分からないことがある方はご覧ください。
どこで買える?
漢方薬は医療機関や漢方薬局で購入できます。また、市販されている漢方薬であればドラッグストアでも取扱いがあります。
ドラッグストアでは医師の診断・処方が無くても漢方薬を購入できるので、早く漢方薬が欲しい方はドラッグストアでの購入がおすすめです。医師や薬剤師に自分に合う漢方薬を選んで欲しい方は医療機関や漢方薬局で相談してみましょう。
病院で処方される漢方薬とドラッグストアの漢方薬の違いとは?
病院で処方される漢方薬とドラッグストアの漢方薬は、漢方薬に含まれている成分量が異なります。
ドラッグストアの漢方薬は多くの人が手に取る可能性があるため、安全性をより高めるために病院で処方される漢方薬と比べて成分量が少ないです。成分量が少ない分、効き目が病院で処方される漢方薬と比べて低くなる可能性があります。
保険は適用される?
医療機関で漢方薬を処方してもらうときは、漢方薬も保険適用されます。漢方薬は漢方薬局などで購入すると保険が適用されないため1ヶ月15,000円~20,000円の費用が必要となることがありますが、医療機関の場合は5,000円程度で済みます。
ただし、医療機関で処方された場合でも漢方薬が保険適用されないケースもあるので注意してください。
授乳中でも漢方薬は使用できる?
授乳中に漢方薬を使用したい場合は、まずは医師に相談をしましょう。授乳中は赤ちゃんへの影響も考慮しないといけないため、漢方薬の種類や使用する期間などを含めて検討する必要があります。
基本的には医療機関から処方される漢方薬で授乳中の使用が禁止されている漢方薬はなく、今まで大きな問題となることも報告されていません。ただし赤ちゃんが生後2ヶ月未満の場合は臓器がまだ未熟なため、特に注意が必要です。
漢方薬にも副作用はある?
漢方薬も医薬品なので副作用があります。主な副作用は下痢や腹痛、胃もたれ、かゆみ、嘔吐などです。飲むタイミングや服用量など正しく漢方薬を使用していても副作用が起こる可能性があるので、もし漢方薬を使用して症状が悪化したり気になる症状が表れた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
特に胃腸の弱い方やアレルギーのある方、高齢者、過去に薬を使用して副作用を起こした経験がある人は注意が必要です。
PMS緩和に漢方薬を検討している方は婦人科に相談を
PMSの症状を緩和するために漢方薬を検討している方は、婦人科に相談をしましょう。PMSの症状は人によって異なるので、それぞれの症状にあった漢方薬を処方してくれます。
もし身体的な症状ではなくメンタル面の症状が重い場合は、心療内科への受診をおすすめします。
まとめ
漢方薬はPMS緩和に効果が期待できます。漢方薬は体質を改善しPMSの症状を緩和させるため複数の症状に有効です。
特にPMSには当帰芍薬散と加味逍遥散がおすすめで、その他にもPMSへ有効な漢方薬はいくつかあるので症状にあった漢方薬を使用しましょう。
漢方薬以外に低用量ピルもPMS緩和に有効です。PMSの症状が重い方は漢方薬と併用することも可能なので、PMSに悩んでいる人は無理に我慢をせずにぜひ婦人科へ相談してみてください。
参考文献
1) Y. Kimura et al. Kampo therapy for premenstrual syndrome: Efficacy of Kamishoyosan quantified using the second derivative of the fingertip photoplethysmogram. 2007 https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1447-0756.2007.00531.x