月に1回の月経と何年もつき合っている女性なら「生理前になるとなんだか体がダルい。気分が沈んでイライラする。」と悩むこともあります。月経が始まると不調が和らぐとはいえ、コントロールしにくい不調が毎月必ず起こるというのは想像以上につらいことです。
本記事では「私ってPMSかも」と気になったときにすぐできる、PMSのセルフチェック方法を紹介。またPMSとよく似ている言葉であるPMDDとの違いも紹介します。
あなたの感じる月経前の不調がPMSなのかどうかが分かれば、対策も立てやすくなるもの。「毎月1回やってくる月経期間にウンザリするのはもう嫌だ。」と思う方は、さっそくPMSのセルフチェックを行ってみてください。
この記事でわかること
- PMSの症状とPMDDのちがい
- PMSのセルフチェック方法
- PMSだったときの対処方法
PMS(月経前症候群)とは
PMSとはPremenstrual Syndromeの略。日本語では「Premenstrual=月経前」「Syndrome=症候群」と訳され、そのまま「月経前症候群」と呼ばれています。
実際のところPMSはどのようなものなのでしょう?日本産婦人科学会では「月経前の3〜10日間に続く精神的もしくは身体的な症状で、月経開始とともに症状が軽減・消失するもの」と定義されています。
PMSの精神的な症状としては
- 気分の落ち込み
- いらだち
- 眠気
などがあり、身体的な症状には
- 乳房のハリ
- 頭痛
- 手足のむくみ
などがあります。つまりPMSは月経痛などの月経中の症状ではなく、月経前に現れる体や気分の不調ということです。PMSのはっきりした原因は解明されていませんが、女性ホルモンの変動が原因の1つといわれています。
女性の体は「月経→排卵→(受精がなければ)次の月経」を1周期としてサイクルを繰り返しています。この1周期のなかで排卵から次の月経までのあいだに、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが急激に低下する時期があります。
この2種類の女性ホルモンの急激な低下をきっかけに、脳内のホルモンや神経伝達物質の分泌も異常を引き起こすことがPMSの原因の一つと考えられているのです。
PMDD(月経前不快気分障害)との違い
PMDDとはPremenstrual Dysphoric Disorderの略です。「Premenstrual=月経前」「Dysphoric=不快な気分」「Disorder=障害」と訳され、PMDDは日本語では「月経前不快気分障害」と呼ばれています。
PMDDはPMSの症状のうち、気分的な不調が悪化した状態のことです。普段はうつ症状のない方が絶望感にとらわれたり、涙が止まらなくなる・攻撃的になるなど、感情のコントロールができなくなるほどの不調があらわれます。
PMDDになると日常生活に明らかに支障をきたすことも多いのですが、PMSと同じように月経開始から数日後には普通の精神状態に戻ることも特徴です。
PMS(月経前症候群)のある人とない人の違いは?
PMS(月経前症候群)の症状は、女性ホルモンの変動やその人の性格、置かれている環境などが影響し個人差が出てきます。月経や更年期など女性ホルモンの変動が大きい時期にPMSの症状が出やすいとされています。
また、真面目な人や几帳面な人は症状が出やすく、ストレスや性格でPMSを悪化させる場合もあります。
PMS(月経前症候群)セルフチェック
PMSの代表的な症状を紹介します。以下で紹介している5つの診断基準を参考に、あなたがPMSかどうかセルフチェックをしてみてください。
(注意点として、1周期の月経サイクルだけではPMSのセルフチェックはできません。最低でも3か月間の月経前の状態を確認する必要があります。体調の変化に素早く気づいたりセルフチェックの精度をあげるためにも、普段から月経サイクルや月経前の状態をよく観察しておくようにしてください。)
【PMSでおこりやすい体の不調】
- 乳房の張りや痛み
- お腹の張り
- 頭痛
- 腹痛
- 関節痛や筋肉痛
- 食欲が増すことよる体重増加
- 手足のむくみ
【PMSでおこりやすい気分の不調】
- 気分の落ち込み
- 爆発的な怒り
- いらだち
- 不安感
- 眠気
- 集中力の低下
- めまい
【PMSの診断基準】
- 過去3か月連続して、月経前の5日間に上記の体や気分の不調が1つ以上ある。
- 月経開始後4日以内に体や気分の不調がなくなり、月経開始から13日目まで再発しない。
- 体や気分の不調は普段飲んでいる薬によるものや、アルコールによるものではない。
- 体や気分の不調がその後2か月連続して、月経前に現れる。
- 体や気分の不調が強く仕事や学校に行けないなど、明らかに日常生活に支障がある。
PMSの一番大きな特徴は体や気分の不調が月経の前に現れ、月経開始後にはウソのように不調が和らいでいることです。またPMSの症状はさまざまな不調が複合的に現れることも多く個人差も大きいため、症状の種類は200以上もあるといわれています。
そのためPMSのセルフチェックをするときは、あなたが感じている不調や月経前後で体や気分がどのように変化するかを記録しておくようにしてください。
あてはまる項目が多い場合は?
PMSのセルフチェックにあてはまる項目が多いほどPMSの症状が強いと考えられています。
症状が強いほど早めの治療で体や気分の不調を取り除くことが必要。具体的にはセルフチェックにあてはまる項目が3つ以上あった場合、お近くの婦人科を受診することをおすすめします。
専門の医療機関を受診すれば症状に合わせて薬を使った治療を受けることができます。薬を使った治療の例としては以下の3つがあります。
排卵抑制療法
排卵を止めることで女性ホルモンの急激な変動をおさえ、PMSの症状が出にくくする。
鎮痛剤や利尿剤などを使った対症療法
頭痛に対しては鎮痛剤、むくみに対しては利尿剤などの適切な薬を使い、出てしまったPMSの症状を和らげる。
漢方療法
個人の体質や症状に合った漢方でPMSの症状が出にくい体質に改善していく、canvasでは公式LINEで無料の問診サービスをご提供しており、お悩みや体質に合わせた漢方をお送りすることもできます。
婦人科を受診する
専門の医療機関を受診することで、PMSに詳しい医師と相談しながらあなたが感じている体や気分の不調を解消したり、和らげたりすることができます。セルフチェックで3つ以上の項目が当てはまった方は、できるだけ早めに婦人科を受診してみてください。
あてはまる項目が少ない場合
PMSのセルフチェックであてはまる項目が3つより少なかった場合、PMSである可能性は少ないです。しかし「やっぱり月経前になると体の不調や気分のムラが辛い」と気になる方は専門の医療機関を受診してください。
PMSはあくまで月経前の症状が複数出るなどして気になっている状態のことを指します。複数の不調がなくとも、気になる不調が月経前のホルモン状態によって出現している可能性は考えられます。不調があるのに我慢して受診をしないと、どんどん症状が悪化してしまう可能性もあります。
受診するときは「PMSのセルフチェック」で使用した、気になる症状や不調が現れる期間を記録したメモなどを持っていくようにしましょう。医師の診察の手助けや、あなたの症状に合った治療を選択する手助けにもなります。
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まとめ
本記事ではPMSのセルフチェック方法を紹介しました。PMSには体の不調だけでなく気分の不調も含まれるため、複雑な症状となってあらわれることも多いです。セルフチェックをする場合、あなたの体や気分の不調の内容と、不調が出る期間をしっかり記録しておくことが重要です。
PMSを放置すると、気分の不調が悪化して日常生活にも支障をきたしてしまうPMDDにつながることもあります。セルフチェックでPMSにあてはまる項目が3つ以上ある場合は、早めに婦人科を受診してください。
また、チェックが3つ以上つかなくても、長期的にPMSの症状に悩まされている方や症状の重い方は、婦人科へ受診されることをおすすめします。専門の医療機関を受診すれば、あなたの症状に合った治療で月経にともなう体や気分の変化と上手につき合っていくことができるようになります。
月経開始から閉経までの約40年間、月に1度PMSがあるというのは思っているよりもつらいことです。1人で悩まず、まずは相談に行く感覚でお気軽に婦人科を受診してみてください。