この記事ではPMSによる頭痛の原因と対策方法について紹介していきます。PMS以外の頭痛の原因や漢方の使用についても解説していくので、頭痛にお悩みの女性は参考にしてみてください。
PMSによる頭痛とは
「頭痛」はPMSの症状の一つです。PMS(月経前症候群)とは、月経前の3〜10日の間に続く心や体の不調のことで、月経がはじまるとなくなるものを言います。PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、女性ホルモンの揺らぎが関与していることが考えられています。
そして、女性に多い頭痛に片頭痛がありますが、片頭痛をおこす原因の一つとして言われているのが月経前におこる女性ホルモンの低下です。女性ホルモンの低下で頭の血管が収縮、拡張し、頭痛をおこすことが考えられています。他には、月経前に水分がたまりやすくなることも言われています。
なお、片頭痛は頭の片側(ときには両側)の「ズキズキ」とした脈打つようなひどい痛みが特徴です。吐き気を伴ったり、光や音を不快に感じやすくなる場合もあります。
PMSの頭痛以外の症状
PMSは頭痛以外にも、人によって症状はさまざまです。心の不調ではイライラ、気分が落ち込む、怒りっぽくなる、不安、眠気など、体の不調としては腹痛、頭痛、むくみ、お腹の張り、乳房の痛み、肩こり、微熱などがあります。
月経のある女性の約70〜80%が月経前に何らかの症状があり、日常生活に影響がでるほどの強いPMSの症状がみられる女性は約5.4%と言われています。月経前にこれらの症状で、日常生活に支障がでる場合は医師に相談してみましょう。
PMSによる頭痛は漢方で対処できる可能性がある
PMSの治療は薬によらない治療と薬による治療があります。
薬によらない治療は、症状日記をつけ病状への理解を深めることや生活指導が行なわれます。一方、薬による治療の一つとして使用されるのが「漢方薬」です。一般的には頭痛には鎮痛剤を、片頭痛の場合は発作をおさえたり予防する薬が使われることが多いです。また、偏頭痛でない頭痛ではピルが薦められることもあります。
一方、PMSでは頭痛だけでなく多彩な症状が出やすいため、個人の体質や症状にあわせた漢方薬を用いることがあります。頭痛には呉茱萸湯、むくみを伴う場合は五苓散が処方されることがあります1)2)。
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PMSの対策方法
PMSの対策方法として、定期的な運動、生活習慣や食事の見直し、アロマテラピーなどがあります。薬が効かない場合の対処法としても積極的に取り入れることがおすすめです。またPMSの症状緩和によい栄養素をサプリメントで補ったり、ツボ押しのマッサージなどもあります。
運動
PMSの症状緩和には、有酸素運動が良いとされています。
有酸素運動とは、水泳、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが代表的で、長時間継続して行う比較的軽めな運動です。継続時間は20分以上が目安とされています。酸素を呼吸で取り込むことで脂肪をエネルギーとして燃焼するため、ダイエットや健康維持にも良いと言われています。
水泳がPMSの体と心の不調のほとんどに対して有益な効果をもたらした研究報告もあるようです3)。
生活習慣・食事
生活習慣や食事を見直すことも大切です。朝食を抜く生活、過食や高カロリーなものをとりすぎてしまう、運動をしない、喫煙するといった生活習慣はPMSへの影響が言われているため、このような生活習慣は見直す必要があります。喫煙と高カロリー・脂肪・砂糖・塩分の食品摂取がPMS発症のリスクを高めるという報告があるようです4)。
また、ビタミンやミネラルを積極的に取り入れた食事を心がけることがすすめられます。生理前の黄体期にカルシウムとビタミンDが低いとPMSを引き起こすまたは悪化させると考えられた報告があります5)。
アロマセラピー
PMSの症状とうまく付き合うためのセルフケアの一つとしてアロマセラピーがあります。アロマセラピーとは、植物から抽出した香り成分の精油を使う自然療法です。心と体をリラックスさせたり、本来の美しさを引き出すなど、健康と美に役立つことを目的としています。
ストレスを和らげるアロマセラピーはPMSの症状緩和に期待されています。ラベンダーオイルを用いたアロマセラピーがPMSの対処に使用できるといった研究報告もあるようです6)。
まとめ
PMSによる頭痛と対策方法を紹介しました。PMSによる頭痛であれば、日頃の習慣を見直すことで緩和される可能性もあるため、食事や運動など、まずは取り入れやすいことからはじめてみてください。
また原因を追求するにはホルモンバランスの乱れを調べることも重要です。
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参考文献
1) 株式会社ツムラ:ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒,2013 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200046D1039_1_10
2) クラシエ薬品株式会社:クラシエ五苓散料エキス細粒添付文書,2018 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200048C1075_1_05/
3) Maged AM, t al. Effect of swimming exercise on premenstrual syndrome. Arch Gynecol Obstet. 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29350276/
4) Hashim MS, t al. Premenstrual Syndrome Is Associated with Dietary and Lifestyle Behaviors among University Students: A Cross-Sectional Study from Sharjah, UAE. 2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31426498/
5) Abdi F, t al. A systematic review of the role of vitamin D and calcium in premenstrual syndrome. 2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30918875/
6) Uzunçakmak T, t al. Effect of aromatherapy on coping with premenstrual syndrome: A randomized controlled trial. 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29458934/