微熱やだるさが何日も続くと不安ですよね。何か悪い病気なのではないかと不安になる人もいるでしょう。発熱には、様々な理由があります。例えば細菌やウィルスが体内に入り込んだ時に、それを追い出そうとして熱が出ます。また、夏場などに周囲の温度が高すぎる場合にも発熱することがあります。
それ以外に、女性特有の理由があるのをご存じですか?それが月経前に感じる微熱です。この時期はちょうどPMSに悩まされる時期でもあります。この記事では、月経前にに微熱を感じる理由やその対処方法などをお伝えします。
この記事でわかること
- PMSの時期に微熱が出るのはなぜか
- PMSの時期に起こる微熱以外の症状
- 微熱で解熱剤は飲めるのか
- PMSの症状を軽減させるために日頃からできること
PMS|月経前(生理前)の微熱と症状
月経前、微熱や体のだるさを感じることがあります。これは、排卵がある女性なら誰にでも起こりうる症状です。
微熱や身体のだるさが起こる理由は、月経前は黄体期という体温が高い時期に入っているからです。黄体期は14日程度続き、人によっては「37度」を超えることがあります。
一般的には、低温期と比べると0.3〜0.6度基礎体温が上がると言われていますので、元々体温が高い人は発熱として感じやすいでしょう。発熱といっても37.5度を超えることは稀で、37度台前半の微熱がほとんどです。
ただし、38度前後の発熱がある場合の関節痛や、何も食べられないほどの吐き気が続く場合は、PMSが原因ではない可能性もあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
PMS|月経前(生理前)の微熱の原因
女性の身体は、排卵日を境に高温期に入るため、低温期に比べて0.3~0.6度は基礎体温が上がります。このような月経前に起こる微熱の原因は、女性ホルモンの正常な働きかけによるものです。
女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2種類のホルモンでできています。
女性らしい体づくりをするためのエストロゲンが多い低温期と、妊娠をサポートするプロゲステロンが増える高温期は排卵日を境に分かれているのです。
プロゲステロンが多くなる高温期は体の不調も出やすく、微熱だけでなく、むくみや精神的に不安定になるなどの症状も出てきやすい時期なのです。
「微熱以外」で月経前に出るPMSの症状
PMSとは、月経前症候群(Premenstrual Syndrome)の略語で、月経前の黄体期に現れ、月経が来ると軽減もしくは消失する、様々な種類の不快な症状が現れます。
PMSには様々な症状があり、身体症状と精神症状に大きく分類されます。身体症状には下腹部痛や疲労感、頭痛、むくみなどが、精神症状には気分の変動やイライラ、うつ症状などがあります。
月経前に微熱がでるとだるさや倦怠感、疲れやすさなどを感じやすくなります。
PMSの時期の発熱は解熱剤を飲んでも大丈夫?
37度台前半の微熱が出た時に、真っ先に解熱剤を飲む人は少ないでしょう。一般的に、解熱剤を使う目安は、大人の場合38度と言われているからです。PMSの時期に感じる発熱は、37度台前半の微熱がほとんどで、37度台後半になることは稀です。もし解熱剤を飲もうと思うほどの熱が出た場合は、一度PMS以外の原因を疑って医療機関を受診しましょう。
PMSでは下腹部痛のような痛みが現れることがあります。解熱剤には痛みを抑える働きがあるので、下腹部痛がある場合には鎮痛の意味も含めて解熱剤を使用してもよいでしょう1)。
PMSの症状を軽減させるために病院からピルを処方されている場合は、他の薬と一緒に飲めるのでしょうか。ピルは、解熱剤のうちアセトアミノフェンの効果を弱め、またピル自体の影響を強めてしまうと報告されています2)。
そのためピルを飲んでいる人が他の薬を飲む場合は、自己判断ではなく主治医に相談してから飲むようにしましょう。
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月経前に感じる発熱(微熱)の対策方法
ここでは、日頃からできるPMSの対策方法をお伝えします。
まず、先にも述べた通り、生理前にはホルモンの影響で体温が上昇します。熱っぽいと感じる・感じないは個人差がありますが、通常体温が上がるものだと理解しましょう。また、基礎体温を記録していくことで、どのタイミングで発熱しそうか把握できます。
さらに規則正しい生活と運動、ストレスをためないことも重要です。カフェインやアルコールを控え、ビタミンB6やミネラル豊富な食事を心がけるのも効果的です1)。
日常どんなに気をつけていてもPMSの症状が改善しない場合は、ピルを飲むことで辛い症状が緩和することもあります。辛い時は我慢せずに医療機関で相談してみましょう。
まとめ
PMSの時期に熱が出ることはあります。ただそれは微熱程度の発熱です。女性ホルモンの影響で生理前に体温が上昇してしまうことは、排卵がある女性なら誰にでも起こりうることなのです。
微熱が出ることを理解した上で、その時期には仕事を詰め込みすぎない、急ぎでない予定は入れないなど疲れやストレスを溜めない工夫が重要です。食生活や運動習慣を見直すきっかけにもなります。
ただし、月経前以外の時期に微熱が長く続いたり、38度を超えるような我慢ならない発熱の場合は、別の疾患の可能性があるため医療機関を受診してください。
参考文献
1) 日本産婦人科学会:「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編」174~176,2020 https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf
2) 白土なほ子:「 PMS,PMDDの診断と治療-他科疾患との鑑別- 」77:360-366, 2017 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja
3) 日本薬局方:ヤーズ配合錠 添付文書,2020 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00059299.pdf