「眠くて日中に何もできない」
「私の眠気はPMSのせいなのかな?」
「眠気を抑える方法を知りたい」
あなたはこのような悩みを抱えていないでしょうか?
この記事では、PMSについてや、日中の眠気の対応策などについて詳しく解説します。読み進めることで、以下の知識を得られます。
- PMSによる眠気とは
- PMS以外による眠気の可能性
- つらい眠気の対処法
イライラなどのPMS症状の解消法が気になっている人は、ぜひご一読ください。
PMSによる眠気とは
月経前の眠気に困っている、この眠気は異常なものなのでは、と不安になっていませんか。その眠気は、PMSの症状かもしれません。
本項では、以下の項目について解説します。
- 生理(月経)前に眠気が起こる原因
- PMSによる眠気の特徴
それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。
生理(月経)前に眠気が起こる原因
生理前の異常な眠気は、PMSの症状の1つです。PMSとは、月経の約1週間前から起こる眠気やイライラ、頭痛、お腹の張りなどの症状のことをいいます。PMSによる眠気には、主に女性ホルモンや体温、自律神経が影響します。
ここでは生理(月経)前に眠気が起こるいくつかの原因を紹介していきます。
女性ホルモンの変化
PMSの眠気には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが関係しています。
排卵後には、急激に増加する女性ホルモン(プロゲステロン)が分解されて、眠気を起こす物質(アロプロゲステロン)が発生します。
そのため、生理前になるとひどい眠気を引き起こします。
体温の変化
また、人間の体は体温が下がると眠くなる仕組みになっています。
プロゲステロンは体温を上げる作用があるため、生理前は体温が高く、そのため夜寝つきづらい・睡眠の質低下が起こりやすく、結果として日中の眠気を感じやすいです。
自律神経の乱れ
寝ている間は、体を休めるように働く副交感神経が優位になります。
しかし、生理前は副交感神経を優位にするエストロゲンの分泌量が減るため、心や体が活動的な状態が続きます。
その結果、眠りにくくなってしまいます。
PMSによる眠気の特徴
毎月の生理前にでてくる日中のひどい眠気は、PMSの症状かもしれません。仕事や家事などに支障が出るほどの強烈な眠気に耐え続けることは、とても難しいですよね。
人によっては、睡眠薬を服用した場合と同じ程度の眠気を日中に感じる方もいるそうです。
日中の眠気がでるタイミングは生理前や生理中に限られており、他にもだるさや頭痛、イライラなどを感じている場合は、PMSの症状の可能性があります。PMSによる眠気であれば低用量ピルを使用し、ホルモンバランスを整えることで日中の眠気を緩和できます。
また、PMS症状に有効な漢方薬を用いて体質を改善し、眠気を改善する治療法もあります。
日中の眠気が生理周期に伴わないのであれば別の病気の可能があるため、早めの内科や精神科受診がおすすめです。
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PMS以外が眠気の原因の場合
PMS以外が眠気の原因の場合は、睡眠不足や他の病気が関係している可能性があります。
例えば、ストレスで夜の睡眠の質が低いと日中に眠くなりますよね。他の病気だと、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、うつなどの睡眠障害が考えられます。
睡眠不足
日中の眠気を感じる原因の1つに、夜の寝不足が考えられます。時間的には睡眠時間を十分とれていると思っていても、睡眠の質が良くないと睡眠不足になる可能性があります。
そんな睡眠の質の低下や睡眠不足の原因の1つに、ストレスが挙げられます。
ストレスフルな生活をしていると、自律神経のバランスが乱れて眠りにくくなります。例えば、交感神経が優位のまま夜になっても、体を休める副交感神経への切り替えがうまくできなくなります。その結果、身体は寝る準備が整わず、睡眠の質を下げてしまいます。
病気の可能性
昼間の眠気の原因として考えられる病気は、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、うつです。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に無呼吸状態を繰り返す病気です。睡眠中の症状のため自ら気づくことはまれで、潜在患者数は300万人もいると考えられています。
ナルコレプシーとは、突然発作的に何回も襲ってくる耐え難い眠気により、勉強や仕事に支障をきたす病気です。睡眠障害としてはまれな病気で、女性よりも男性の方に発症率が高いとされています。この病気はまだ原因が明確になっておらず、治療方法も確立されていません。
うつ病は、ひどく気分が落ち込み、興味や喜びを感じなくなる状態が中~長期的に続くことで日常生活や仕事に支障が出る病気です。うつ病になると、メラトニン(睡眠ホルモン)やセロトニン(覚醒ホルモン)の分泌障害が起こりやすいと考えられており、日中に急に眠くなることがあります。
仕事に支障をきたすほどのひどい眠気の対処法
仕事に支障が出るほど異常な眠気を感じた時、自分でできる簡単な対処法としては仮眠やツボ押しがあります。
耐え難い眠気がある時は思い切って仮眠をとるとスッキリしますし、ツボ押しは仕事や家事の合間に簡単にできます。
それでは、それぞれの対処法について詳しくみていきましょう。
仮眠をとる
日中の眠気が強い時は、無理せず思い切って仮眠をとるのも1つの方法です。
長時間深く眠ると起きた後にぼーっとしてしまうので、30分以内の仮眠が目安です。横になるのではなく、デスクにうつ伏せか椅子にもたれかかって眠ると起きた後にスッキリします。
また仮眠をとる時間帯は、正午から14時の間がおすすめです。お昼休みに30分程度仮眠する習慣をつけると、午後からの眠気緩和に役立ちます。
あまり遅い時間に仮眠をとると夜に眠れなくなるので、16時以降の昼寝は避けましょう。
ツボをおす
日中の眠気は、ツボ押しでも対策できます。眠気を抑えられるツボで、合谷(ごうこく)というツボがあります。ツボの場所は、手の背面の親指と人差し指の骨が合わさるところのくぼみです。
ツボの押し方は、大きく親指と人さし指を開いてもう一方の手の親指と人さし指ではさむようにして力を強く入れます。
その際、瞬間に我慢できないほど痛みを感じたらツボを押せています。日中にどうしても耐えきれない眠気を感じた際に試してみてくださいね。
眠気の対策・予防方法
PMSの眠気に対処するために、日頃から工夫できることとして、以下の3つが挙げられます。
- 朝起きたら朝日を浴びる
- 寝る前の行動を見直す
- 睡眠環境を改善する
PMSの眠気の対処法について、それぞれ詳しくみていきましょう。
朝起きたら朝日を浴びる
日中の眠気対策として、朝規則正しい時間に起き日光を浴びることを意識しましょう。
朝日を浴びると体内時計がリセットされ、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられます1)。
メラトニンは朝日などの光刺激によって分泌が抑えられるため、日中の眠気を緩和できます。
昼間のメラトニン分泌が抑制されると、夜にメラトニンがしっかり分泌されるので、夜に寝つきやすくなります。朝起きたらカーテンを開け、朝日を浴びながら身支度すると日中の眠気緩和や夜の睡眠の質の向上に役立ちます。
寝る前の行動を見直す
日中の眠気には、夜寝る前の行動も関係しています。どんなに睡眠時間が長くても、睡眠の質が低ければ「よく寝た」とはいえません。寝る前の行動について、以下の点に気をつけましょう。
食事は就寝の2~3時間前までに済ませましょう
寝る直前に食事をすると消化のために胃腸の動きが活発になるため、深い眠りにつきにくくなります。
入浴は就寝する1.5~2時間前に終えましょう
眠気は体の内部の温度が下がっていく時におこります。寝る直前に体温が下がるように、入浴は就寝する1.5~2時間前に済ませましょう。
眠る前の簡単ヨガ
ヨガをはじめとするストレッチには、深部体温を下げて寝つきをよくする働きがあります。寝る前にベッドで行いましょう。
就寝前はスマホやパソコンの使用を控えましょう
スマホやパソコンからのブルーライトを浴びると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑制されます2)。
寝る前にどうしてもスマホを見ないといけない場合は、スマホの設定で画面の明るさや色を調整するといった工夫をしましょう。
睡眠環境を改善する
睡眠の質を上げるためには、快眠するのに適した寝室の光や音、温度や湿度などの条件があります。具体的にどのような環境が睡眠に適しているのか、項目ごとに確認していきましょう。
光
寝る時はスマホやパソコンのブルーライトを浴びないように注意しましょう。ブルーライトを浴びるほどメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が促され、眠りにくくなるといわれています。
音
夜寝る前は、できるだけテレビや外からの音を遮断して覚醒を促す刺激を減らすようにしましょう。
温度・湿度
睡眠中の寝具内の環境は、温度は33℃前後、湿度は50%前後が良いとされています。季節によって温度や湿度は変化するので、エアコン等を活用して自分が心地よいと思える温度や湿度を設定しましょう。
睡眠に効果的な漢方薬で夜間の睡眠を促す
漢方薬による睡眠のための処方は、即効性こそないものの、ゆっくりと体質を改善してくれます。 体内環境を用方向へ変えて少しずつ眠れる体質へと変わっていくため、身体の変化が大きい生理前でも違和感なく続けることが可能です。 夜の安眠につながる、おすすめの漢方をご紹介します。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):冷え性や疲れ、月経不順やPMSなどの不眠に効果的
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ):ストレスによる不眠症に効果的
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや更年期などの年齢的による不眠にも効果的
漢方薬は個人個人の体質や体調次第で必要な成分が変わります。そのため、薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。病院へいって処方を受けるのが一番安心ではありますが、忙しくて病院に行くことができない方には、インターネットで薬剤師に相談できるサービスを受けられてみるのもおすすめです。
まとめ
毎月、生理前の異常な眠気に耐えるのはとても辛いですよね。
仕事や家事があるのに、眠くて手を動かせないと自己嫌悪におちいってしまいます。
今回は、以下のような内容について解説しました。
- 月経前に、強い日中の眠気とともに頭痛やだるさ、イライラがあるとPMS症状かも
- 仮眠やツボ押しで日中の眠気対策をしよう
- 夜の睡眠環境を改善して、日中の眠気を解消しよう
日々の生活や寝る前の行動・環境を工夫し、日中の眠気を緩和していきましょう。
参考文献
1) Zizhen Xie 1, Fei Chen 1, William A Li 2, Xiaokun Geng 3, Changhong Li 1, Xiaomei Meng 1, Yan Feng 1, Wei Liu 1, Fengchun Yu,A review of sleep disorders and melatonin effect of melatonin on circadian rhythm sleep-wake disorders 561,1 2017 Jun https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28460563/
2) Jing-Wen He 1, Zhi-Hao Tu 2, Lei Xiao 1, Tong Su 1, Yun-Xiang Tang,Effect of restricting bedtime mobile phone use on sleep, arousal, mood, and working memory: A randomized pilot trial Discussion7, 1 2020 Feb https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32040492/