更年期に睡眠の質を高める5つの方法

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

 

更年期になると、眠りが浅くなる、途中で目が覚めてしまうなど、睡眠に悩みを持つ方が増加すると言われています。

原因としては、睡眠時にもホルモンバランスの乱れから、発汗やほてりなどの不快な症状が起こり、眠りが妨げられるためと考えられています1)

また、悩みや不安などの精神的なストレスを抱えている場合にも、不眠のリスクを高める可能性が高くなります2)

この記事でわかること

  • 更年期が睡眠に及ぼす影響
  • 不眠のさまざまな原因
  • 睡眠不足が身体に与える影響
  • 睡眠の質を上げる方法

更年期には睡眠障害が起こる可能性がある

寝れなくてベッドに座る女性

更年期にはホルモンが劇的に変動し睡眠障害が起こる可能性があります。

更年期に移行する女性は一般的に睡眠の質の低下、睡眠不足、夜間の目覚め、無呼吸症候群を訴えます1)。

更年期における不眠症の原因の一つに、夜間のほてりや寝汗で眠りが浅くなることが考えられています。このことが原因で眠れない場合、ホルモン療法が使われることがあります。

尚、更年期障害の治療にはホルモン療法や漢方薬が使われます。

更年期における睡眠障害の原因は完全には分かっていませんが、更年期のホルモン療法は睡眠の質を高める役割を果たすことができます1)。

更年期以外に考えられる不眠の原因

不眠に悩む女性

更年期以外にも、不眠には様々な原因があります。不眠の主な原因は、ストレス・体の病気や怪我・生活習慣や睡眠環境・心の病気・薬や刺激物の5つです。

不眠の原因によって対処法や治療方法が異なる為、原因を特定し取り除く対処法や睡眠薬を使った治療が行なわれます。

ストレス

心配や興奮など何かしらのストレスが原因で不眠となることがあります。

ストレスの理由は仕事の悩み、身内の死など様々ですが、ストレスや緊張があると眠りが妨げられるといわれています。

特に、慢性ストレスが高い女性は主観的な睡眠の質が低く不眠症を訴える傾向があります2)。

体の病気や怪我

体の病気や怪我が原因で不眠となることがあります。

かゆみや痛みなどの身体的な不快感があると睡眠が妨害され、 不眠をもたらすことがあります5)。

他には、気管支喘息や閉塞性肺疾患による息苦しさや前立腺肥大などでもたらされる頻尿で夜間に目覚めてしまうといった不眠が起こるといわれています。

生活習慣や睡眠環境

生活習慣や睡眠環境が原因で不眠となることがあります。

夜間の仕事で昼夜逆転した生活習慣や就寝時の騒音、寒さや暑さ、寝室の明るさなどの睡眠環境が原因になることがあります。

寝室や寝床の中の温度や湿度は、体温調節の仕組みを通して、寝つきや睡眠の深さに影響します5)。また、明るい光には目を覚ます作用があるため、就寝 前の寝室の照明が明るすぎたり、特にこれが白っぽい色味であったりすると、睡眠の質が低下します5)。

心の病気

うつ病などの心の病気が原因で不眠となることがあります。

うつ病に伴う不眠の場合、うつ病の診断と適切な精神科的治療がなされなければ、睡眠薬のみの投与では改善しない可能性があります5)。うつ病が疑われた場合には、速やかに専門医による診断・治療が必要です5)。

薬や刺激物

薬やカフェイン・ニコチンなどが原因で不眠となることがあります。

コーヒーや栄養ドリンクなどに多く含まれるカフェインやタバコに含まれるニコチンが不眠を起こすことがあります。

 原因となる薬剤としては、抗パーキンソン病薬のレボドパ、アマンタジン、降圧薬として使われるプロ プラノノールなどのベータ遮断薬、副腎皮質ステロイド、インターフェロンなどが知られています5)。

精油・アロマを使ってみる

最近注目されているのが、精油やアロマの睡眠の質に与える影響についての研究報告です。

アロマテラピーが睡眠に及ぼす影響に関してはラベンダーを用いた研究が多く、睡眠時間の延長や副交感神経活動の亢進が報告されています6)。尚、副交感神経とは体をリラックスさせる神経です。

睡眠時の芳香浴やアロマテラピートリートメントにより不安感の低減や、起床時の気分の改善、睡眠効率の向上傾向が認められた研究報告もあります6)。

睡眠不足が身体に与える影響とは

イライラする女性

睡眠には心身の疲労を回復する働きがあり、不足すると、健康上の問題や生活への支障が生じてきます。

具体的には、心血管疾患、糖尿病、肥満、うつ病など、あらゆる疾患のリスクを上げると報告されています3)

また、日中の眠気や体調不良などから、仕事や家事、趣味などのパフォーマンスの低下に繋がり、生活の質が低下してしまう可能性もあります。ストレスはさらなる不眠の原因にも影響するため、睡眠サイクルを少しずつでも整える事が重要であると言えるでしょう4)。 

睡眠の質を高める方法

眠る女性

ここではより良い睡眠をとり健康的に過ごすために、有効的であると言われている方法を紹介します。

就寝前・起床後の食事を見直してみる

朝食をとることで、朝の目覚めを促します。これらの生活習慣によって、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることができます。一方で、就寝直前の夜食の摂取は、入眠を妨げることから注意が必要です。

また、食事の内容はほてりなどの更年期症状に影響すると言われています。ほてりなどの症状によって、睡眠が妨げられやすくなるという点から、食事内容も見直してみると良いかもしれません5)。

寝る前にカフェインを摂らない

コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに多く含まれているカフェインには、覚醒作用や利尿作用があります。特にカフェインの覚醒作用は3時間程度持続するとも言われています。

就寝3時間程前にカフェインを摂取すると、入眠を妨げたり、眠りを浅くする、尿意で目が覚めるなどの原因となるため、控えた方が良いでしょう5)

睡眠の質を下げるアルコール・タバコに注意する

アルコールを飲んで寝ると、中途覚醒が増え、睡眠が浅くなることが報告されています。アルコールを飲むと眠くなりますが、効果は一時的です。睡眠の質の低下を防ぐためにも、就寝前の飲酒は控えたほうが良いでしょう。

また、タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり、就寝前の喫煙は入眠を妨げ、眠りを浅くします。

寝る前の飲酒や喫煙は、睡眠時無呼吸症候群のリスクを増加させる可能性も報告されています。睡眠時無呼吸症候群はさらに睡眠の質を低下させ、様々な疾患の原因となりますので注意が必要です5)。 

寝るための環境を整えてみる

寝るための環境づくりも重要です。特に寝室の温度や湿度、明るさは、睡眠に影響すると言われています。

室温は心地よいと感じる温度に設定し、部屋が明るいと目が覚めてしまうため、光を遮断するなど工夫してみると良いでしょう5)

改善しない場合は医師へ相談する

様々な方法を試してみても、睡眠の問題が解決しない場合には、医師や専門家に相談しましょう。睡眠の問題は、あらゆる疾患に繋がるだけではなく、精神的苦痛も感じやすいものです。

心の不調が睡眠に繋がる可能性もあるため、ひとりで問題を抱えず、医師へ相談することも検討してください4,5)

まとめ

以上、更年期に睡眠の質を高める5つの方法と不眠の原因についてでした。

更年期にはホルモンバランスの影響により、睡眠の悩みを抱える人が増えると言われています。

本記事で紹介した方法を取り入れることにより、少しでも毎日の睡眠をより良いものにできるかもしれません。

参考文献 

1)Giulia Gava.Cognition, Mood and Sleep in Menopausal Transition: The Role of Menopause Hormone Therapy.2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6843314/

2)Martica H Hall.Chronic Stress is Prospectively Associated with Sleep in Midlife Women: The SWAN Sleep Study.2015 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26039965/

3)Faith S. Luyster.Sleep: A Health Imperative.2012 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3353049/

4)土井由利子.日本における睡眠障害の頻度と健康影響.2012 https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

5)厚生労働省健康局.健康づくりのための睡眠指針.2014 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

6)武田ひとみ.アロマテラピーの嗅覚刺激と触刺激が睡眠の質に及ぼす影響.2016

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aeaj/17/1/17_170104/_pdf/-char/ja

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