症状が重い月経痛のことを月経困難症と言います。月経困難症は人によって症状が異なり、症状が重いと日常生活に影響を及ぼします。「月経困難症が辛くて何とかしたいから、何か良い治療薬はないかなあ?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は月経困難症の症状や原因、治療薬を解説します。月経困難症の治療薬として主にピルが使用されますが、ピルが使えない場合の治療方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 月経困難症の症状や原因
- 月経困難症の治療薬:ピルについて
- ピルを使いたくないときの治療方法
月経困難症とは?症状は?
月経困難症とは、一言で言うと「症状の重い月経痛」です。現代において女性の約7割が月経困難症に悩んでいるとされ、特に症状の重い人は日常生活にも支障をきたしています。
月経困難症の症状は人によって様々ですが、
- 下腹部痛
- 頭痛
- 腰痛
- 下痢
- 吐き気
- 強い眠気
- 貧血
- めまい
- お腹のはり
- イライラ
- 憂鬱、脱力感
- 経血過多
などが挙げられます。月経が始まる頃にこれらの症状が出始め、月経2~3日目にピークを迎えます。月経困難症と似た症状として月経前症候群(PMS)がありますが、PMSは月経の3~10日前に症状が出始め、月経が始まると症状が消失します。
月経前に症状が出るのが月経前症候群(PMS)、月経の最中でも症状が出続けているものは月経困難症ということになります。
月経困難症の原因
月経困難症は、原因別に2つの種類に分けられます。それぞれの原因など特徴を解説します。
器質性月経困難症
子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの婦人科系疾患が原因となる月経困難症を「器質性月経困難症」と言います。器質性月経困難症を発症する女性は年齢と共に増え、特に30代以降の女性に多いです。子宮内膜症の女性は器質性月経困難症の発症率が約9割と高く、多くの人が強い痛みに悩んでいます。
機能性月経困難症
器質性月経困難症のように原因となる婦人科系疾患がなく月経中の症状が重い場合は、「機能性月経困難症」です。20代前半までの若い女性に多く、まだ身体が成長段階で子宮口が狭いため子宮が過度に収縮し、痛みを伴います。
月経困難症を放置するとどうなる?
月経困難症は婦人科系の疾患が隠れていることがあるので、治療をせずに放置すると疾患が進行したり、最悪の場合は不妊症の原因となる可能性があり注意が必要です。月経痛が酷くても「いつものことだから」「仕方のないことだから」と我慢する女性が多く、気が付いたときには疾患が悪化しているケースがあります。
月経困難症で悩んでいる方や月経痛が以前より辛くなってきた方は、放置をせずに早めに婦人科で相談することをおすすめします。
月経困難症の治療に用いる薬
月経困難症の主な治療方法はピルです。ピルには女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が含まれ、排卵を抑制することで月経痛を緩和させます。ピルにはいくつか種類があり、なかには保険が適用されるピルもあります。ピルの種類ごとに詳しく紹介しましょう。
ルナベルLD
ルナベルLDはエチニルエストラジオール(エストロゲン)が0.035mg含まれるピルで、保険が適用されます。1シート(21錠)を1日1回服用し、1シートの服用が終わったら7日間休薬します。
ルナベルULD
ルナベルULDはルナベルLDと同じく保険適用があり、服用方法もルナベルLDと同じです。ただし、エチニルエストラジオールの含有量が0.02mgとルナベルLDよりも少なく、その分副作用のリスクも低いです。
ヤーズ配合錠
ヤーズ配合錠も保険適用されるピルです。エストロゲン含有量は0.02mgと一般的な低用量ピルよりも少なく、器質性月経困難症と機能性月経困難症のどちらにも効果が期待できます。服用方法は、28錠入りのシートを1日1回服用します。
ヤーズフレックス
ヤーズフレックスは1シート28錠で、全ての錠剤にエストロゲンが0.02mg含まれています。月経困難症の治療薬として使用する場合は1日1錠、24日間服用し、25日目以降に3日連続で出血があった場合もしくは120日間連続で服用したら4日間休薬します。月経の回数を減らすことで月経困難症の症状を抑える効果が期待できます。
ジェミーナ28
ジェミーナ28は1シート28錠で、エストロゲンが0.02mg含まれるピルです。1日1錠、56日間(2シート分)服用したあとに、次に紹介するジェミーナ21(21錠)を1日1錠服用します。その後、7日間休薬します。月経周期を84日間と長くすることで月経の回数を減らし、月経困難症の症状を緩和させます。
ジェミーナ21
ジェミーナ21はジェミーナ28服用時にも使用される1シート21錠のピルです。ジェミーナ28と同じくエストロゲンの含有量は0.02mgで、1日1錠を21日間服用した後に7日間休薬します。月経の周期は28日間で、希望する月経周期によってジェミーナ21かジェミーナ28を選択できます。
ピルを使いたくない場合の治療方法は?
体質的にピルを使えない、現在妊娠を希望しているなど、ピルを使いたくない場合の主な治療方法は漢方薬と鎮痛剤です。
漢方薬は当帰芍薬散や呉茱萸湯、芎帰膠艾湯などが月経困難症の治療に使用されます。症状によって使用する漢方薬が異なるので、服用したい方は婦人科などで相談してみてください。
鎮痛剤は市販されているので薬局で気軽に購入できます。痛みに対して即効性がありますが、強い痛みに対しては効果が薄いので症状が軽いうちに使用するのがおすすめです。
漢方薬と鎮痛剤以外では黄体ホルモンを補充する黄体ホルモン製剤や黄体ホルモンを放出する器具を付けるミレーナ、人工的に閉経状態を作るGnRHアナログ製剤といった治療方法もあります。
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まとめ
月経困難症に悩んでいる女性は全体の約7割と、とても多いです。月経困難症の治療には主にピルが使用され、女性ホルモンのバランスを整えることで月経痛を緩和する効果が期待できます。ピルが使えない場合も漢方薬や鎮痛剤などさまざまな治療方法があるので、どれがいいのか分からない方は婦人科へ相談してみてください。
月経困難症は婦人科系の疾患が隠れている可能性があり、放置すると疾患が悪化したり最悪の場合は不妊に繋がります。月経痛が辛いときには我慢をせず、早めの治療をおすすめします。