更年期を迎える女性は身体的にも精神的にもさまざまな不調がでやすくなります。また更年期の不調は個人差が大きく、動悸・めまい・ほてり・イライラ・不安感など症状もバラバラです。今まで感じたことのなかった不調が起こることで不安を感じる方も多いです。
そこで今回は更年期に感じる動悸にフォーカスを当てて、具体的な症状や原因、そしてその対処方法について解説します。更年期以外にも考えられる動悸の原因についてもご紹介しますので、すでに症状のある方はもちろん、これから更年期を迎える方もぜひお読みください。
この記事でわかること
- 更年期における動悸の症状
- 更年期に以外に考えられる動悸の原因
- 動悸の症状を抑える対処方法
更年期の動悸とは
更年期の動悸とは、体を激しく動かしていないにも関わらず、急に胸がドキドキと、心臓の鼓動を感じることです。大きく脈を感じたり、脈が早くなるのを感じます。
更年期の症状は複数の症状が同時に現れることが多く、動悸のような胸のドキドキに加えて、息切れ・耳鳴り・めまいなどの症状を伴う場合もあります。
動悸を感じる主な原因を探ろう
動悸がどのようなものかおわかりいただけたところで、実際に動悸が現れる原因について解説します。
動悸の原因には更年期によるもの以外にも複数の可能性が考えられ、中には早めの治療が必要な場合もあります。考えられる原因を理解して、ご自身の症状は病院へ行くべきなのかを検討しましょう。
自分で脈を測ってみましょう
動悸を感じる方は状態を医師に伝えられるようにするためにも、まずご自身で脈拍を測定できるようになってみましょう。
測定といっても的確に脈を測れるようになるということではありません。もちろん測定できるのが理想ではありますが、脈が早い・遅い・飛ぶ・不規則といった状態を感じるだけでも十分な情報になります。
脈の測り方
- 見やすいところに秒針つきの時計を用意します(脈を感じる方の腕に時計を装着するとみやすくおすすめです)。
- ご自身で脈が触れやすい部位に指または手のひらを軽くあてます。このとき、指を置く場合は1本ではなく、2~3本の指を揃えて添えるようにしましょう。
- 脈を感じる状態で15秒間、トクトクと脈打つ回数を数えてください。
- 脈拍とは1分間に拍動する回数なので、15秒間で感じた脈拍数を4倍にします。一般的な方の脈拍は1分間に50~100回程度です。
- 脈拍を測定できたら後は、拍動のリズムに異常はないかも確認してみましょう。
脈の測定は基本的にリラックスした安静時に行います。また脈拍を感じられる部位は、動脈に近い部分である手首・首のつけ根・左胸・鼠径部など複数あります。どの部位でも脈は感じ取れますが、一般的に測定しやすく汎用されるのは手首です。
動悸症状チェックリスト
一言で動悸といっても、以下のようなさまざまな症状があります。
- ドキドキと拍動が大きく・早くなる感覚、それに伴ってめまいやほてりといった諸症状も現れることが多い→更年期障害の疑いがある
- 胸が圧迫されているような感覚、また息切れや痛みを伴う場合もある→心臓の病気の疑いがある
- 拍動が大きく・早くなる感覚、また倦怠感や体重の減少などが見られることもある→甲状腺機能亢進症の疑いがある
- 拍動が大きく・早くなり、冷や汗がでる。中には手足が震えることもある。→緊張性や精神的ストレスが原因の疑いがある
動悸は単体で現れることよりも、その他の諸症状とともに現れることが多いです。
特に更年期の動悸はホルモンバランスの乱れによって生じるため、ホルモンや自律神経に支配されているさまざまな部位から不調が見られることがあります。以下の項目に3つ以上当てはまる方は、更年期からくる動悸の可能性が考えられます。
- 年齢40~50代の女性
- 動悸が現れたとき、胸に痛みや圧迫感は伴わない
- ほてりや汗をかくといった熱感症状がある
- 疲れやすかったり、倦怠感がある
- イライラしたり、怒りやすい
- 頭痛・めまい・肩こりがある
- 眠りが浅い、または寝つきが悪い
上記に挙げた項目はすべて更年期に起こり得る症状の代表例です。当てはまる項目が多ければ多いほど、更年期が原因の可能性が高くなります。また、これまで他の病気、特に心臓の病気や不整脈があると言われていない、という情報も重要です。
これらに当てはまる場合でも別の病が同時に隠れている可能性がないとは限りませんので、心配な方は一度病院で診てもらうことをおすすめします。
更年期障害が原因の場合
今回のテーマでもあるように、更年期によって動悸が現れる場合があります。これは女性ホルモンの揺らぎが原因です。
更年期を迎えると急激にホルモンの分泌が減少することで、自律神経が乱れてしまい、体や心にさまざまな影響を及ぼすのです。
そのため、更年期の動悸症状は単体で現れることよりも、めまい・ほてり・イライラなど、他の更年期症状と一緒に現れることが多いといえます。
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緊張性や精神的ストレスが原因の場合
動悸の中には緊張や精神的ストレスが原因になるものもあります。みなさんも大事な場面で緊張したり、怖い思いをしたり、ビックリしたりすると胸がドキドキして、脈拍が早く・大きくなった経験があるはずです。
緊張したり、驚いたりする原因があったときにドキドキと動悸が現れるのはごく普通の反応といえます。
しかし、常にストレスを感じている状態が続くと、脳がいつも緊張した不安定な状態になってしまうため、ふとしたときに動悸が現れるようになってしまいます。
この場合、動悸を改善するためには緊張やストレスを和らげることが必要です。更年期の動悸の対処方法で、有効なリラックス法を後半でご紹介していますのでぜひご覧ください。
心臓病や甲状腺機能亢進症などの場合は病院へ受診を
動悸の原因には、心臓病や甲状腺機能亢進症などの病気が潜んでいる可能性があります。そして、心臓病などの病気は、更年期やストレスが原因の動悸のように自然治癒しません。そのため、必ず病院を受診して適切な治療を受ける必要があります。
心臓関連の病気は循環器内科、甲状腺関連の病気は内分泌科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。どちらの病気か見当がつかない場合や近くに専門外来がない場合は、まず総合的に診察してくれる内科を受診してみてください。
更年期の動悸症状の治し方
更年期の動悸症状はホルモンバランスの揺らぎからくる、交感神経の興奮が原因です。そのため、対処方法もホルモンの揺らぎを整えたり、交感神経の興奮を落ち着かせるような方法をとります。
生活習慣を見直す
動悸の改善には、まず生活習慣を見直すのが最もとりかかりやすい改善方法です。栄養バランスの整った食事・適度な運動・十分な睡眠を目標として少しずつ生活習慣を改善してみましょう。
生活が不規則になるだけでも、ホルモンの分泌や自律神経が不安定になってしまうことがあります。年齢を重ねれば重ねるほど、生活習慣の乱れの影響が強くなってしまいます。
特に更年期は不規則な生活を送ってしまうことで、さらに症状が悪化する可能性もあります。逆に言えば、生活習慣を改善することで、更年期の症状が大幅に和らぐことも考えられるのです。
漢方薬
動悸の症状を改善する方法として、漢方薬を用いるのも有効です。漢方薬は体質からゆっくりと改善させていくとされ、更年期における他の諸症状に対しても効果を発揮します。
更年期症状に使用される漢方薬は複数ありますが、特に動悸を感じる諸症状には、
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
動悸の他にめまい・のぼせ・耳鳴りといった上半身に症状が多い方
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
イライラや不安などの精神症状が多い方
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
肌荒れやほてりなど体に熱がこもっている症状
の3つがおすすめです。
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ツボを知っておく
動悸を楽にするツボを知っておくのも一つの対処法です。動悸に効果があるとされるツボは神門(しんもん)と膻中(だんちゅう)といいます。
神門は手首の内側、小指寄りのところにあり、押すとへこむ感触があります。膻中は乳首どうしを結んだ線の真ん中にあり、ちょうど骨が触れるところです。
2箇所のツボをやさしく押しながら、ゆっくりと深呼吸を行い、体を落ち着けます。
ツボ押しはどこにいても試しやすい方法なため、覚えておくと外出先でもいざというときに便利です。
リラックスする
動悸の症状が現れたときには無理に動こうとせず、椅子に腰掛けたり、横になったり、リラックスできる体勢になりましょう。
動悸のような心臓がドキドキと脈を打つ状態は、交感神経が興奮した状態です。体は「もっとがんばろう!」としているので、無理をしている状態といえます。
そのため、できるだけ安静にして、リラックスできる環境をつくりましょう。好きな音楽を流したり、ストレッチや深呼吸をしたり、アロマを焚いたり体をゆっくり落ち着かせてあげることが大切です。
まとめ
今回は更年期による動悸の原因・症状・対処方法、また動悸が関係する他の病気との違いについてもご紹介しました。
- 動悸症状をよく観察して、脈拍を自分で測ってみる
- 規則正しい生活
- 漢方薬の服用やツボ押しをしてみる
- ゆっくりとリラックスできる環境を整える
- 動悸の症状の他に圧迫感や痛みなどを感じるときは病院を受診する
動悸が生じる原因にはさまざまなものがあるため、動悸が現れたときの状態をできるだけ具体的に把握しておくことが必要です。その一つの手段として脈拍の測定があります。
また、更年期症状が強く現れているときは、心身のバランスが特に崩れている状態と言えます。できるだけ無理をせず、体と心をしっかりと休めてあげるようにしましょう。