年齢を重ねるうちに抜け毛が増えた、髪全体が薄くなってきたと感じる事があるかもしれません。更年期には、ホルモンバランスの乱れから抜け毛が増えやすくなる場合があります。
そこで本記事では更年期からくる抜け毛を予防する方法を紹介していきます。
更年期の抜け毛はいつまで続くのか
更年期の抜け毛には個人差が大きく、いつまで続くのか、一概には言えません。
なぜなら、抜け毛の原因が女性ホルモンの減少だけではないからです。 同じ更年期でも、抜け毛に悩まない女性もいるように、更年期の抜け毛の原因は、女性ホルモンの減少だけではなく様々です。
また、複数の要因が重なることもあり、原因を把握しにくい特徴があります。 更年期の抜け毛対策には、基本的な生活習慣と自分に合った頭皮ケア・ヘアケアが大切です。
更年期の抜け毛は治るのか
更年期の女性の抜け毛には、治療法があります。
抜け毛の治療では、発毛成分ミノキシジルの外用が一般的です。発毛作用が確認され、女性の薄毛治療においても有用性が認められています。
また、最近では、パントガールという女性用の薄毛治療薬が使われることもあります。パントガールは、髪を作るのに必要な栄養成分を含み、ヘアサイクルの成長期を活性化する、ドイツ発の内服薬です。
女性の抜け毛の治療薬は、専門の医療機関で取り扱われています。抜け毛がひどい、とまらない場合には、医療機関にご相談ください1)。
更年期の抜け毛で病院に行く際は医療機関へ
更年期の抜け毛で病院へ行く際は、まず皮膚科・内科、薄毛治療専門クリニックの受診をおすすめします。 抜け毛の他にも、ほてり、発汗など更年期障害の症状があるときには、婦人科を受診してみましょう。
女性ホルモンの濃度を測定し、適切な治療を受けることができます。 他にも甲状腺ホルモンの異常が抜け毛の原因となることがあります。甲状腺の値は血液検査で測定することが可能です。
甲状腺ホルモンの以上による抜け毛の場合は、適切な治療を受けることで抜け毛が改善する可能性があります。 薄毛治療専門クリニックでは、女性の抜け毛の原因を特定し、個人にあったより専門的な治療を受けることができます。
更年期以外に考えられる抜け毛の原因
実は、抜け毛の原因は更年期による女性ホルモンの減少だけではありません。
抜け毛が起こるその他の原因や日常生活での注意点、抜け毛対策について、詳しく解説します。
抜け毛や髪の量の減少が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
ストレス
「ストレスの蓄積は抜け毛の原因になる」と言われますが、実際、注意が必要です。 ストレスホルモンであるコルチゾールは、毛根を包んでいる皮膚組織の機能や、髪の成長周期の調節に影響を与えることが知られています2)。
ストレスが蓄積すると、頭皮の血行不良やヘアサイクルの乱れがおこり、髪の成長に必要な栄養素が届きにくくなり、抜け毛につながるのです。
ストレスを感じたら、早めのケアが必要です。
偏った食事・運動不足
偏った食事・運動不足・睡眠不足も抜け毛につながることがあります。 身体が健康でないと健やかな髪はつくられません。そのため、偏った食事・運動不足・睡眠不足も抜け毛の一因となり得ます。
髪を構成する主成分はケラチンというタンパク質です。タンパク質が不足すると、髪の合成の乱れ(髪のもろさ)、髪の弱さ、脱毛を引き起こします3)。
また、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンAは髪の状態にも影響を与えます3)。髪の成長に影響を与えるミネラルは、主に亜鉛、鉄です3)。
抜け毛対策には、タンパク質、ビタミンA・B群・C、鉄分、亜鉛の摂取を意識し、栄養をバランス良く摂ることが大事です。
健やかな髪をつくるためには、血液や栄養をしっかり髪に届けることも大切です。適度な運動での血行促進が、髪の健康につながります。
また、睡眠が不足すると自律神経の働きが乱れ、さらに女性ホルモンの分泌も弱まり、結果的に抜け毛の原因となります。夜には、リラックス状態を作り、質の良い眠り、適切な睡眠時間の確保が大切です。
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使ってるシャンプーやスタイリング剤
使っているシャンプーやスタイリング剤が抜け毛の原因ということもあります。
シャンプーは、配合される洗浄成分により洗浄力が異なります。頭皮に合わないシャンプーを使い続けると、頭皮や髪に負担を与え、抜け毛につながる可能性もあるので注意が必要です。自分の頭皮や髪の状態に合ったシャンプーを選ぶことをおすすめします。
また、髪のブロー乾燥、縮毛矯正、ヘアアイロンの使用、パーマが、髪にダメージを与えることも知られています4)。抜け毛が気になるときには期間を空けるなど、控えめにするほうが無難です。
髪をつくる細胞は、多くの血液と栄養を必要とします。頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、また、頭皮への刺激そのものも細胞に働きかけ、抜け毛対策、発毛に効果的です。
ほとんどの育毛剤には血行促進作用を持つ成分が含まれています。抜け毛が気になり始めたら、有効成分配合の育毛剤でケアするのもひとつの手段です。
漢方薬を取り入れることで諸症状の緩和に繋がることも
つらい更年期症状には漢方薬の服用も有効です。漢方薬は、その人の体質や生活習慣など様々なことを総合的に見直し、体の内側から緩やかに症状を改善していくものです。漢方薬には様々なものがありますが、更年期症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):抑うつやイライラ、ほてり、のぼせなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷えや貧血の傾向がある
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや頭痛、下腹部痛などがある
更年期の症状には個人差があり、症状にあった漢方薬の服用が必要です。漢方薬はゆっくり症状を改善してくれるので、生活に取り入れやすいため、すこしずつでも症状を軽くしたいといった方はぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。
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まとめ
以上、更年期に抜け毛が増える理由とその対策でした。
ホルモンバランスの乱れや栄養不足、ストレス、ダメージなど様々な原因が考えられます。まずはホルモン検査で自分の状態を知り、自分に合った対策を見つけて実践してはいかがでしょうか。
参考文献
1) Lengg, N., et al., Dietary supplement increases anagen hair rate in women with telogen effluvium: results of a double-blind, placebo-controlled trial. 2007 https://www.assospharma.com/pdf/panplus/Trueb2007.pdf
2) Erling Thom.Stress and Hair Growth Cycle:Cortisol-Induced Hair Growth Disruption.2016 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27538002/
3) Zuzanna Sabina Goluch-Koniuszy.Nutrition of women with hair loss problem during the period of menopause.2016 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4828511/
4) Ram H Malkani.Hair Styling Procedures and Hair Morphology:A Clinico-Microscopic Comparison Study.2020https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32832441/