更年期太りと漢方について解説

この記事の監修者

前田 裕斗

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

更年期の女性は、代謝の低下やホルモンのゆらぎによって体重が増えやすくなると言われています。

実は、ホルモンの揺らぎについて知ることで体重の管理がよりしやすくなります

そこでこの記事では更年期太りと漢方の使用、お酒の関係について解説していきます。

更年期太りはいつまでつづくのか

更年期太りとは、更年期に女性ホルモンが減ることによって起こる現象のことです。女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2つがありますが、先にプロゲステロンが減少していきます。すると、エストロゲンが優位な状態になることで、むくみや体重増加といった現象が起こるようになります。

運動量や代謝の低下は年を取るにつれて進みますが、女性ホルモンや自律神経の乱れから体重が増えやすく、脂肪がつきやすい時期は更年期を過ぎる60〜65歳を目安に落ち着くと考えられます1)。

また、更年期太りが始まる時期については、女性ホルモンの揺らぎは30代後半から大きくなり、いわゆる「プレ更年期」に入る可能性が示唆されており、30代から更年期太りが始まる可能性もあります。

更年期太りとお酒の関係

お酒

更年期は代謝が落ちているため、太りやすくなっています。つまり、痩せにくく、運動や食事制限などのダイエットも成果が出にくいということです。

そこでここでは、食事の観点から「お酒」について書いていきます。

更年期のお酒の影響

更年期は代謝が低下し、消費しきれないエネルギーが皮下脂肪として蓄積していきます。

特にお酒は糖質が高いものが多いため、脂肪蓄積を増加させてしまうので注意が必要です。

さらに、お酒は肝臓にダメージを与えます。肝臓には摂取した栄養を代謝する働きがあるため、更年期による代謝低下に加えて、お酒により肝臓がダメージを受けることでどんどん代謝が下がってしまいます。

また、更年期は糖尿病のリスクが高まる傾向にあります。エストロゲンという女性ホルモンはインスリン(血糖を下げる作用のあるホルモン)の働きを高める効果があります2)。しかし、更年期ではそのエストロゲンが低下することで、インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりにくくなってしまうのです。

糖尿病になると、めまいやほてり、冷や汗や動悸、むくみなど、更年期障害に似た症状が出ることがあります。

更年期にお酒を飲む際の注意点

更年期とはいえ、ダイエットのために禁酒や食事制限は辛いものです。

そこで、ここでは更年期にお酒を飲む際の注意点を見ていきます。

  • 飲む量を適量にする。
  • 特に糖質の高いお酒は避ける。
  • 適度に運動も加える

ひとつずつ理由とともに説明していきます。

飲む量を適量にする

1日あたり缶ビールは500mlのロング缶1本、焼酎であればグラス1/2杯、ウイスキーではダブル1杯以下が適量と考えられます。

厚生労働省が掲げる「健康日本21」で「適度な飲酒は純アルコール20g程度である」としています3)。その純アルコール20gの具体例がロング缶ビール1本等に相当します。

しかし、女性は男性に比べてアルコールを分解する速度も遅く、アルコールによる健康への影響が男性より出やすいことが危惧されているため、「多くてもこの程度に留めておく。」という気持ちが大切です。

特に糖質の高いお酒は避ける

一般に醸造酒ではなく、蒸留酒を選ぶようにしましょう。

醸造酒とはビール、ワイン、日本酒などが挙げられますが、特に糖質がダントツで高く注意したいのは梅酒です。

醸造酒はもともと原料に入っている糖を酵母によってアルコールに発酵させることでできるお酒です。つまり、多かれ少なかれ糖が含まれているということです。

一方、糖が含まれないお酒として蒸留酒があります。蒸留酒は焼酎やウイスキー、ブランデーなどのことを言います。

蒸留酒は、醸造酒をさらに蒸留(一度温度を上げ、アルコールのみ気体にし、冷却することでアルコール分のみ取り出すこと)をするため、糖質が含まれないお酒になるわけです。

適度に運動も加える

更年期に限らず、運動で有効と言われているのは「ウォーキング」と「筋トレ」です。

これは有酸素運動と無酸素運動を組み合わせるということです。有酸素運動による脂肪燃焼効果と、無酸素運動による筋力増加に伴う基礎代謝の向上が得られるからです。

また無酸素運動におすすめなのはスクワットです。

スクワットを行うことで、下半身の筋肉を鍛え、腰回りがスッキリする効果と全身の筋肉も増強していく効果があるので、代謝向上にも役立ちます。

更年期太りには漢方という選択肢も

漢方

更年期障害には様々な改善方法がありますが漢方を用いることで更年期太りの改善が見込める可能性があります。

漢方は、様々な症状に対して使い分けることができます。尚且つ、自然由来であるため、体への負担が少ないと言われています。

特に更年期太りに効果があるとされているのは、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」と「大柴胡湯(だいさいことう)」です。

防已黄耆湯には水分代謝を向上させ、体内から余分な水分を排出する効果があり、大柴胡湯には脂肪代謝を改善する効果が期待されます。それぞれの体質によってどちらが効きやすいかが異なるため、実際の服用に当たっては薬剤師や医師などのアドバイスをもらうか、それぞれを試してみて、体に合う方を取り入れる、などするのがおすすめです。

だたし、漢方療法を行う際注意しなければいけないのは、継続して服用するということです。漢方は少なくとも3ヶ月〜半年は継続しないと効果が安定してこないと言われています。漢方治療は根気強く行うことが大切です。

参考文献

1)S R Davis.Understanding weight gain at menopause.2012

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22978257/

2) 奥山朋子.寺内康夫:糖尿病における性差医療.2013

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/56/8/56_522/_pdf/-char/ja

3)厚生労働省:健康日本21 3.現状と目標(3)節度ある適度な飲酒.2013

https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html#A56

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