更年期以外が原因のうつについて
40代になってから若い頃と比べて精神的に落ち込みやすくなり、「更年期によるうつなのか」「うつ症状は治るのか」と悩む女性はたくさんいます。
更年期以外でもうつの症状が出る原因はいくつかあります。
そこで今回は更年期以外が原因のうつについて、うつの症状や考えられる原因、治療法を解説しましょう。
症状
うつとは一日中気分が落ち込み何をしていても楽しめない精神的な症状が続く状態のことをいいます。主な症状は気分の落ち込みややる気が出ない、イライラ、悲観的になる、集中力の低下などです。
重症化するとやる気が起きず寝たきりの状態になる人もいます。
また、うつは精神的な症状だけではなく、一般的には下記のような身体的な症状も現れます。 睡眠障害 疲れやすい 頭痛 動悸 食欲不振・過食 腹痛・胃の不快感 など 「うつ=精神的な病気」と考えている人も多いですが、うつになった人の体験談を見ると精神的な症状よりも身体的な症状の方が強く出るケースもあります。
特に女性は男性よりもうつになりやすい傾向があるので注意が必要です。 もし一日中気分が落ち込んだり、何をしても気分が晴れない状態が続いている場合には、うつの可能性があるので医療機関を受診することをおすすめします。
また、うつ症状のセルフチェックができるサイトもあるので活用してみてください。
考えられる原因
うつの主な原因はストレスです。仕事や人間関係のトラブル、家族が亡くなるといった悪いことだけではなく、昇進や引越し、進学など良い出来事でも環境の変化によるストレスを感じてうつになることがあります。
また、女性の場合は妊娠や出産、月経、更年期など女性特有のホルモンの変化もうつの原因になると考えられています。 性格面では真面目で周囲からの評価も良く、責任感のある人は他の人よりも頑張り過ぎてしまう傾向があり、うつになりやすいので注意が必要です。
治療法

うつの治療法は主に4つに分けられます。
- 休養をとる
- 薬物治療(抗うつ剤、サプリ、ホルモン補充療法など)
- 精神療法
- その他専門的な治療法(修正型電気けいれん療法、高照度光療法など)
うつはしっかりと休養をとれるよう環境を整えて薬を服用すれば症状の改善・克服が見込めます。
うつ症状が重度な場合は休養と薬物療法に加えて精神療法を行います1)。
精神療法はうつの原因となったストレスの対処法を学ぶため、うつの再発を防ぐことも可能です。
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漢方薬を取り入れることで諸症状の緩和に繋がることも
つらい更年期症状には漢方薬の服用も有効です。漢方薬は、その人の体質や生活習慣など様々なことを総合的に見直し、体の内側から緩やかに症状を改善していくものです。漢方薬には様々なものがありますが、更年期症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):抑うつやイライラ、ほてり、のぼせなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷えや貧血の傾向がある
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや頭痛、下腹部痛などがある
更年期の症状には個人差があり、症状にあった漢方薬の服用が必要です。漢方薬はゆっくり症状を改善してくれるので、生活に取り入れやすいため、すこしずつでも症状を軽くしたいといった方はぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。
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更年期によるうつは心療内科や精神科へ
更年期の女性の72%の人にうつの自覚症状があるという調査結果が出ており、多くの更年期女性がうつ症状に悩んでいます。
更年期によるうつに悩んでいる方は心療内科や精神科を受診しましょう。軽いものであれば婦人科でも相談にのってもらえるので、少しでも気になる症状がある方は足を運んでみてください。
更年期によるうつはしっかりと治療すれば症状が緩和できます。症状をそのままにしておくと、さらに重症化して治りにくくなるので1日も早い受診をおすすめします。
参考文献
1) Nanette Santoro et al. Menopausal Symptoms and Their Management. Endocrinol Metab Clin North Am. 2015 Sep;44(3):497-515. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26316239/