「若い頃より気分が落ち込みやすくなった」
「更年期うつの症状かもしれない」
と悩んでいませんか?
何をしても楽しめず日常生活に支障が出ている状態をうつといいます。
女性の場合、更年期によってうつの症状が出ることも珍しくありません。重症化すると寝たきりになることもあるため、早めに対処することが大切です。
本記事では、更年期によるうつの原因や症状、治療法を紹介します。更年期によるうつにお悩みの女性はぜひご一読ください。
この記事でわかること
- 更年期症状とうつ病の見分け方
- 更年期によるうつの原因・症状
- 更年期でうつになりやすい人の特徴
- 更年期によるうつの治療法
「更年期症状」と「うつ病」の違いは?
更年期症状とは、閉経前後に女性ホルモンの変化によって起こる症状のことをいいます。
更年期症状は大きく分けて以下の3種類があります。
- ほてりやのぼせなどの血管拡張に関連する症状
- 気分の落ち込みやイライラなどの精神症状
- めまいや動悸などのその他症状
一方、うつ病は気分障害の一種です。
一日中気分が落ち込んだり何をしても楽しめないといった精神症状と、不眠や食欲不振などの身体症状によって日常生活に影響が出ている状況のことをいいます。
「うつ病は精神的な病気」のイメージがありますが、うつになった人の体験談では身体症状のほうがひどいケースもあります。
「更年期症状」と「うつ病」の見分け方は?
更年期症状とうつ病の見分け方として、精神症状の程度の違いが目安になります。
軽度から中等度の気分の落ち込みや意欲の低下などは、更年期の症状として婦人科などで相談ができます。
精神症状が強い場合や、消えたいなど生きることを否定するような言動がある場合は、うつ病の可能性があるため、心療内科や精神科への受診がおすすめです。
どの科に相談するべきかわからないときは、婦人科と精神科を併設している病院もあるため、医療機関を選ぶ基準の参考にしてください。
更年期による「うつの原因」は?
更年期によるうつの主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの低下です。
そのほか、加齢などの身体的な要因、性格などの心理的な要因、人間関係のストレスなど社会的な要因も影響します。さまざまな原因が複雑に絡み合い、更年期によるうつを発症させます。
特に40~50代は、子供の進学・自立や親の介護、仕事場や夫婦間などで人間関係が変化する年代です。ストレスを感じやすい環境にあるため、更年期によるうつの原因を減らせるような工夫が必要です。
更年期による「うつ症状」とは?
【精神症状】
- 気分の落ち込み
- 物事を楽しめない
- 神経質になる
【身体症状】
- 眠りづらい
- 目が覚めやすい
- 体がだるい
これらの症状が続くことで、日常生活にも影響が出ることもあります。さらに重症になると、全く動けずに寝たきりになる人もいます。
うつ症状をセルフチェックできるサイトもあるため、早めに活用して必要に応じて医療機関を受診するようにしてください。
更年期でうつになりやすい人の特徴は?
更年期にうつになりやすい人の特徴は下記のとおりです。
- 真面目で責任感が強い人
- 環境が変わった人
- 人間関係でストレスを感じている人
真面目な性格で責任感が強い人は、がんばりすぎてしまう傾向があるため無理をしてしまいます。
また、子どもの進学・自立や親の介護など大きく環境が変わった人も注意が必要です。
仕事や家庭内など人間関係にストレスを感じている場合も、更年期うつの原因となる場合があるため、軽減できるように工夫が必要です。
更年期によるうつの治療法
更年期によるうつに対する治療法は、基本的には更年期症状に対する治療法と同じです。
ただし、更年期うつの症状や体質は人によって違い、適切な治療法が異なります。更年期うつで悩んでいる人は専門家に相談することをおすすめします。
下記に具体的な方法を4つご紹介します。
休養をとる
更年期うつかもしれないと感じた時に、まず心身ともに休養をとれる環境を作ることが重要です。
人間関係で悩んでいる場合、ストレスの原因から離れて過ごして心を癒すことが必要です。ゆっくり心と体を休めて食事や睡眠を見直すことも効果が期待できます。
また、精神を安定させる働きが期待できるセロトニンのもととなるサプリなどを使用するのもよいでしょう。
休養と合わせて薬で治療することで、更年期うつが治る可能性が高まります。また、心身ともに休養できる環境を作ることで、更年期うつの再発予防にもつながります。
ホルモン補充療法(HRT)
更年期うつの治療方法としてホルモン補充療法があります。
HRT(ホルモン・リプレースメント・セラピー)は、ホルモン補充療法と呼ばれ、女性ホルモンであるエストロゲンを少量補充する方法です。
更年期うつの主な原因は、エストロゲンが大きく揺らぎながら減少することです。ホルモン補充療法では、減少しているエストロゲンを補充してホルモンバランスを整えることで更年期うつを克服する手助けをします。
飲み薬や貼り薬、塗り薬など様々なタイプのホルモン剤があり、人によって適切な薬の種類が異なるため、婦人科などで相談が必要です。
向精神薬による治療
向精神薬による治療は、精神症状がつらい状態の更年期うつに効果的な治療方法です。
向精神薬とは、抗うつ剤や抗不安薬など精神科で使う薬の総称です。医療機関での診断が必要で、更年期うつの症状や体質によって選択される向精神薬が変わります。
更年期に気分が落ち込むことは珍しくありませんが、気分の落ち込みがひどく不安感やイライラが強い場合には、向精神薬が症状の改善に有効です。
うつ症状がさらに重度な場合は、休養と向精神薬などの薬物療法に加えて精神療法を行うこともあります1)。
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漢方療法
つらい更年期症状には漢方薬の服用も有効です。
漢方薬は、その人の体質や生活習慣など様々なことを総合的に見直し、体の内側から緩やかに症状を改善していくものです。漢方薬には様々なものがありますが、更年期症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):抑うつやイライラ、ほてり、のぼせなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷えや貧血の傾向がある
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや頭痛、下腹部痛などがある
更年期うつの症状には個人差があり、症状にあった漢方薬の服用が必要です。漢方薬はゆっくり症状を改善してくれるので、生活に取り入れやすいため、すこしずつでも症状を軽くしたいといった方はぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。
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更年期によるうつは心療内科や精神科へ
更年期の女性の72%の人にうつの自覚症状があるという調査結果が出ており、多くの更年期女性がうつ症状に悩んでいます。
更年期によるうつに悩んでいる方は心療内科や精神科を受診しましょう。軽いものであれば婦人科でも相談にのってもらえるので、少しでも気になる症状がある方は足を運んでみてください。
更年期によるうつはしっかりと治療すれば症状が緩和できます。症状をそのままにしておくと、さらに重症化して治りにくくなるので1日も早い受診をおすすめします。
まとめ
更年期にうつの症状で悩んでいる女性は多く、更年期うつの原因や治療法を知ることが大切です。
更年期うつの主な原因は女性ホルモンの低下ですが、身体・心理・社会的な要因など取り巻く環境も影響します。治療法は、休養を基本として、ホルモン補充療法や向精神薬、漢方薬などがあります。
更年期に気分が落ち込むことは珍しくありませんが、ひどくなると寝たきりになる人もいるため、症状が軽いうちから適切な対処が必要です。更年期によるうつに悩んでいる方は、婦人科や心療内科など医療機関を受診しましょう。
参考文献
1) Nanette Santoro et al. Menopausal Symptoms and Their Management. Endocrinol Metab Clin North Am. 2015 Sep;44(3):497-515. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26316239/