桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、婦人科疾患やお肌の悩みで使われることの多い、有名な漢方薬です。耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
漢方薬は効果や効能の説明を見ても分かりにくく、どの漢方薬を選べばいいか悩む方も多いでしょう。また、漢方薬は長く飲み続けないと効かないといわれることもあります。
今回の記事では桂枝茯苓丸の効果を分かりやすく解説し、さらに効果が出るまでの期間や効果的な飲み方も紹介します。
この記事でわかること
- 桂枝茯苓丸の効果・効能
- 効果が出るまでの期間
- 桂枝茯苓丸の副作用や服用時の注意点
- 桂枝茯苓丸を手に入れる方法
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)とは?
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、婦人科系の悩みのある方に使われることの多い漢方薬です。加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と合わせて、「婦人科三大処方」と呼ばれています。
漢方の考え方は、「気・血・水」のバランスや流れを整えることを重視します。気・血・水はそれぞれ以下のようなイメージです。- 気:体のエネルギーのようなもの
- 血:血液、栄養、ホルモンなど
- 水:リンパ液、汗など
桂枝茯苓丸は、主に血の流れを助けて、全身のバランスを整える働きがあります。また、婦人科三大処方の中では、比較的体力がある方に合う漢方薬です。
どんな効果・効能がある?
桂枝茯苓丸の効能・効果は、薬の説明書に以下のように記載されています。
体質 |
比較的体力がある ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える |
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症状 |
月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症※などの婦人科系 しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびなどの皮膚の症状 肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症) (※血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと) |
桂枝茯苓丸は、幅広く効果のある漢方薬であるとわかりますね。ここでは、婦人科系の悩みである月経、妊娠・出産・産後、更年期障害と、皮膚の症状について解説します。
月経
桂枝茯苓丸は、月経不順、月経異常、月経痛などに効果があります。月経に関係する症状は、漢方では主に「血」に関係していると考えます。「血」の量が少なすぎる、多すぎる、流れが悪くなっているなどです。特に月経痛は「瘀血(おけつ)」と呼ばれる、血の滞りが原因の場合が多いです。
桂枝茯苓丸は、血のバランスを整えてめぐりを改善し、月経不順、月経異常、月経痛を和らげてくれます。
妊娠・出産・産後
妊娠中は桂枝茯苓丸の服用を中止するのが安心です。桂枝茯苓丸は、血のめぐりを助ける働きがあります。妊娠中は血のめぐりがよくなりすぎると、妊娠の継続に良くない場合があるためです。
一方で不妊治療として、桂枝茯苓丸を服用することは多くあります。妊娠が分かったら、処方してくれた医師や薬剤師に相談してください。薬局などで購入して自己判断で服用している場合は中止するのがいいでしょう。
出産後は、桂枝茯苓丸を服用できます。産後のホルモンバランスを整えて、体調の回復を助けてくれます。
更年期障害
そして桂枝茯苓丸は、更年期障害の症状にも効果があります。更年期の症状は人によってさまざまですが、中でも血のめぐりが滞っている症状が強い方におすすめです。
具体的な症状は、頭痛や肩こり、冷えのぼせ、イライラなどです。桂枝茯苓丸は血のめぐりを助けて、更年期障害の症状を和らげてくれます。
皮膚の症状
さらに、桂枝茯苓丸に薏苡仁(よくいにん)という生薬を加えた、「桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」はしもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびなどの皮膚症状にも効果的です。
漢方では、肌は「血」と関係が深いと考えられています。桂枝茯苓丸は、肌をつくる元となる血のバランスを整え、めぐりを良くする働きがあります。
そして、桂枝茯苓丸加薏苡仁は炎症を抑えるはたらきや美肌作用のある薏苡仁が加わることで、桂枝茯苓丸よりさらに皮膚の症状に効果的です。
効果がでるまでの期間は?
桂枝茯苓丸の効果がでるまでの期間は、個人差があるため一概にはいえません。しかし、服用を始めて1カ月程度が効果判定の目安です。1カ月という期間は、完全に症状がなくなるというよりは、良い実感が現れ始めるかどうかを判断する目安になります。
漢方薬は、長く飲まないと効かないというイメージの方が多いでしょう。しかし風邪などの急性症状に使う漢方薬には、数十分で効果が出る薬もあります。ただ、桂枝茯苓丸を飲む場合のように、慢性的な症状を改善するには多少時間がかかります。
効果的な服用方法は?
漢方薬は、食前や食間に服用するように指示されている場合がほとんどです。
- 食前:食事の30分~1時間前
- 食間:食事と食事の中間くらいのタイミング
食間を、食事中と解釈している方もいますが、食事と食事の間の空腹に近いタイミングをさすので注意してください。食前や食間の空腹時に服用すると、漢方薬がより吸収されやすいと考えられています。食前や食間に服用できなかった場合は、食後に服用しても問題はありませんが、なるべく食前や食間に飲む習慣をつけましょう。
また、漢方薬はなるべく温かく服用すると効果的とされています。冷たい水ではなく、常温以上の温度の水、できれば白湯で服用するのがおすすめです。
副作用はどんなものがある?
桂枝茯苓丸の副作用は、以下の3点が薬の説明書に記載されています
- 皮膚:発疹・発赤、かゆみ
- 消化器:食欲不振
- 肝機能障害:発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等
漢方薬は植物など自然の成分が原料なので、副作用がおこる可能性は高くはありません。しかし、服用後に上記のような症状が出る場合もあります。症状が出たら服用を中止して、医師に相談してください。
服用時の注意点
桂枝茯苓丸を服用する際の注意点は、「体質に合っているか見極めること」「不調を感じたらすぐに服用を中止し、専門家に相談すること」の2点です。
上でも述べたように、桂枝茯苓丸は比較的体力がある方向けの漢方薬です。疲れやすかったり、すぐに風邪をひきやすかったり、胃腸が弱いなど虚弱体質の方には合わない場合が多いでしょう。
桂枝茯苓丸に限らず、漢方薬は体質にあったものを服用することが重要です。心配な場合は、服用前に医師や薬剤師に相談してください。
そして、不調を感じたらすぐに服用を中止しましょう。一般的に漢方薬は副作用がおこりにくいとされていますが、まれに合わない反応が出ることもあります。特に飲み始めは体調の変化に注意してください。
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漢方薬「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を手に入れるには
桂枝茯苓丸の効果を理解し、飲んでみたいと思った時に手に入れる方法はいくつかあります。ひとつは、病院を受診して医師に処方してもらう方法です。そのほかに、ネットで漢方薬を注文する方法も紹介します。
病院で受診して処方を受ける
桂枝茯苓丸を手に入れるには、病院を受診して医師に処方してもらう方法があります。月経や更年期など女性ホルモンに関わる相談は、産婦人科を受診しましょう。しもやけ、しみ、湿疹など肌の悩みの場合は皮膚科を受診して相談してみてください。
病院では一般的に、エキス剤や丸剤が処方されます。エキス剤は、粒がやや大きい粉薬です。粉薬を飲むのが苦手な方は、丸剤で処方してもらうよう医師に相談してみるのもいいでしょう。ネットで漢方薬を注文するには
そして、ネットで漢方薬を注文する方法もあります。病院は待ち時間が長くて受診が面倒な方や、漢方薬局は値段が心配という方には非常に便利です。
ネットで購入する場合は、SNSやメールなどで悩みや体質を相談します。そして、体にあった漢方薬を発送してもらうという方法が多いようです。
中でも、医師が監修しており手軽にLINEで問診や相談を受けられるサービスもあります。さらに相談は無料の場合が多いので、まずは無料相談してみるといいですね。
まとめ
桂枝茯苓丸は、婦人科系や肌の悩み、肩こり、頭痛、めまいなど多くの症状に効果のある漢方薬です。
漢方薬は通常の薬と比べて、効果が出るまでに少し時間がかかります。まずは1カ月服用を続け、効果が現れ始めるか確認するといいでしょう。
また、漢方薬も副作用が出る可能性もあります。不調を感じたら、すぐに服用を中止して医師や薬剤師など漢方に詳しい専門科に相談してください。
桂枝茯苓丸を手に入れるには、産婦人科や皮膚科など悩みに合わせた病院を受診し処方してもらうほかに、ネットで注文する方法もあります。ネットでは、無料で問診や相談ができ、体にあった漢方薬を選んでもらえるので安心ですね。