更年期に差し掛かるとホルモンバランスや自律神経の乱れからほてりや発汗、のぼせ感などのホットフラッシュの症状が現れやすくなると言われています。
ホットフラッシュの症状が強い場合には医師に相談することが勧められますが、セルフケアとして食事内容を改善することにより症状を緩和できる可能性もあると数々の研究で報告されています。
この記事では、研究データを元にホットフラッシュの症状緩和に効く食べ物や飲み物、栄養素を紹介していきます。通院や服薬をしている場合は必ず医師の指導の下行ってください。
この記事でわかること
- ホットフラッシュ時におすすめな食べ物・飲み物
- ホットフラッシュに効果的な栄養素
- ホットフラッシュ時に避けた方がよい食べ物・飲み物
ホットフラッシュに効果的な食べ物・飲み物・栄養素
ホットフラッシュに効果的な食べ物・飲み物・栄養素についてご紹介します。
食べ物や飲み物の種類によって、ホットフラッシュを悪化または助長してしまう可能性が考えられます。日常的に食しているものを一度見直してみましょう。
ホットフラッシュに効果的な栄養素は?
ホットフラッシュには以下の栄養素が効果的とされています。
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ω3(オメガ3)脂肪酸
一部の研究では、オメガ3脂肪酸を補給したところ、ホットフラッシュの頻度が低下したというデータが報告されています8)。
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イソフラボン
女性ホルモンに似た作用のある大豆イソフラボンは、ホットフラッシュを軽減させる効果があります。
<大豆製品がおすすめ>
前述でご紹介した成分「イソフラボン」は大豆製品に多く含まれているため、ホットフラッシュはもちろん、更年期のホルモンバランスの乱れの緩和には大豆製品がおすすめです。
大豆製品には豆腐・豆乳・納豆など、食べ物だけでなく飲み物にも加工しやすく、幅広い食品に利用されています。
<ホットフラッシュに効く食べ物・飲み物>
ホットフラッシュに効果的な食べ物や飲み物には、イソフラボンが多く含まれる「大豆製品」の他に、オメガ3脂肪酸を多く含む「魚介類(特にサバなどの青魚)」などがおすすめです。
また、老化を防いでくれる抗酸化物質が多く含まれている「野菜、果物、大豆類」を多く摂取する女性は、食べない女性に比べて、ほてりが19%減少しているというデータが報告されています9)。
- イソフラボンを含む「大豆製品」:豆腐、納豆、豆乳 など
- オメガ3を含む「魚介類」:サバ、イワシ、ニシン など
- ビタミン・ミネラル、食物繊維などを含む「野菜・果物」
<その他に合わせて摂取したい食べ物>
ホットフラッシュに効く食べ物や飲み物を紹介しましたが、それだけ摂取していれば改善するというわけではありません。
大切なことは食事の内容を、主食、副菜、主菜のバランス、肉や野菜なども満遍なく意識して摂ることです。肉や野菜など、さまざまな食品を摂ることで、更年期のほてりを軽減できる可能性があります7)。
<良質な食物繊維、低GIを含む食品も積極的に摂ろう>
食事の内容については、血糖値の乱高下に伴ってホットフラッシュが出やすいことが知られているので、穏やかに血糖値を上げる、いわゆる低GI(グリセミック・インデックス)食を心がけるのがよいでしょう3)。
また、食物繊維が多い食事を意識し、糖分が入った飲料の摂取量を少なくすることも重要です 食物繊維が多く、低GI食を意識した食事をするために、主食を全粒穀物に置き換えるのがおすすめです。
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ホットフラッシュの症状を感じたら注意したい食べ物
ホットフラッシュを強く感じる人は、飲み物や食べ物に注意することで、症状を軽減できるかもしれません。具体的に、注意したい飲み物や食べ物を紹介します。
トウガラシなどの刺激が強い物は避ける
トウガラシなど刺激が強い物がホットフラッシュに直接の原因になることはわかっていません。ですが、刺激がきっかけで顔のほてりなどを感じる可能性があり、注意が必要です。
カフェイン飲料、アルコールに注意が必要
カフェイン飲料に関しては、カフェイン摂取量が増えるとホットフラッシュの頻度も増加すると言われています1)。
また、アルコールを飲むと顔がほてる感覚を感じやすくなるため、アルコールもホットフラッシュを感じている人では注意したい飲み物です2)。
食事の間隔は規則正しく
ホットフラッシュの症状を感じる場合は、食事のタイミングにも注意しましょう。あまりに空腹が続き血糖値が低い状態が続くとホットフラッシュが悪化する可能性があります4)。
食事内容だけでなく、食事の間隔も意識するようにしてくださいね。
漢方薬を取り入れることで諸症状の緩和に繋がることも
つらい更年期症状には漢方薬の服用も有効です。漢方薬は、その人の体質や生活習慣など様々なことを総合的に見直し、体の内側から緩やかに症状を改善していくものです。漢方薬には様々なものがありますが、更年期症状に有効な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(カミショウヨウサン):抑うつやイライラ、ほてり、のぼせなど
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷えや貧血の傾向がある
- 桂枝茯苓丸(キエシブクリョウガン):のぼせや頭痛、下腹部痛などがある
更年期の症状には個人差があり、症状にあった漢方薬の服用が必要です。漢方薬はゆっくり症状を改善してくれるので、生活に取り入れやすいため、すこしずつでも症状を軽くしたいといった方はぜひ医師や薬剤師に相談してみてください。
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まとめ
今回は更年期にみられるホットフラッシュの症状におすすめな食べ物・飲み物・栄養素についてご紹介しました。
症状が改善しない、長く続く場合には医療機関への受診をご検討ください。
ホルモンバランスの状態が気になる場合はcanvasのホルモン検査キットで自宅でセルフチェックすることもできます。
canvasの検査キットはこちらより詳しくご覧いただけます。
参考文献
1) Kandiah, Jay and Valerie Amend. “An Exploratory Study on Perceived Relationship of Alcohol, Caffeine, and Physical Activity on Hot Flashes in Menopausal Women.” Health 2 (2010): https://api.semanticscholar.org/CorpusID:25675544
2) Mohyi D, et al. Differential diagnosis of hot flashes. 1997 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9288692/
3) "Sharon Dormire.The Effect of Dietary Intake on Hot Flashes in Menopausal Women.2007" https://www.maturitas.org/article/S0378-5122(21)00076-1/fulltext
4) Mohsenian S, t al. Carbohydrate quality index: Its relationship to menopausal symptoms in postmenopausal women.2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34274075/
5) Cas sidy A, Albertazzi P, Lise Nielsen I, Hall W, Williamson G, Tetens I, Atkins S, Cross H, Manios Y, Wolk A, Steiner C, Branca F. Critical review of health effects of soyabean phyto-oestrogens in post-menopausal women. Proc Nutr Soc. 2006. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16441947/
6) Chen L R, Chen KH. Utilization of Isoflavones in Soybeans for Women with Menopausal Syndrome: An Overview. Int J Mol Sci. 2021.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33809928/
7) Zhang Q, Li F, Yu Y, Yu X, Sheng Q, Zhang X. Differential factors associated with hot flashes in Chinese perimenopausal and postmenopausal women. Maturitas. 2009 May 20;63(1):94-8. doi: 10.1016/j.maturitas.2009.02.007. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19321276/
8) Lucas, Michel.Effects of ethyl-eicosapentaenoic acid omega-3 fatty acid supplementation on hot flashes and quality of life among middle-aged women.2009 https://journals.lww.com/menopausejournal/Abstract/2009/16020/Effects_of_ethyl_eicosapentaenoic_acid_omega_3.2
9) Candyce H. Kroenke.Effects of a dietary intervention and weight change on vasomotor symptoms in the Women’s Health Initiative.2013 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3428489/