精神が安定する漢方薬はどれ?ストレスによるイライラや不眠症などのに効果的な漢方を紹介

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

ちょっとしたことでイライラしたり怒りっぽくなる、悲しいことがないのに急に涙がでる、ある日突然強い不安や悲しみに襲われるなどの症状がある場合、情緒不安定であると言えます。

ホルモンバランスの乱れや生活習慣の乱れなどの身体的な要因と、ストレスや不安などの精神的な要因から起こると考えられています。

症状や、体力の有無などの体質で用いられる漢方が異なりますので、自身の症状にあった漢方を探すことが大切です。

ここでは、精神不安に用いられる代表的な漢方について詳しく見ていきます。

この記事でわかること

  • 情緒不安定にみられる症状と原因
  • 精神の安定に用いられる女性三大漢方とは
  • 精神の安定に用いられるその他の漢方
  • 病院で受診する
  • 医師監修のおすすめ漢方定期購入

情緒不安定にみられる症状

些細なことでイライラしてしまう、原因もないのにイライラして落ち着かない、突然悲しくなって涙が止まらない、何もやる気が起きない、といった、感情の浮き沈みが激しくなることを情緒不安定とよんでいます。

感情の急激な変化で仕事や私生活にも影響が出る場合もあります。

情緒不安定の原因

情緒が不安定になる原因は多岐に渡ると考えられますが、代表的なものとして睡眠不足、環境の変化によるストレス、PMS(月経前症候群)などが挙げられます。

精神的なものが要因と思われがちですが、睡眠不足や過度の疲労、栄養素の欠乏など身体的なストレスによって心が不安定になることもあります。

人間関係や環境が大きく変化することによるストレスも精神的な不安定を引き起こすと言われています。

そして、特に女性の情緒の安定には、ホルモンバランスが深く関わっていると言われています。

精神の安定によく利用される女性三大漢方

月経痛や更年期症状に悩む女性の多くは、冷え性や肩こりなど、「血」の巡りが滞っていることが原因であると言われています。

血液の巡りが悪くなると、痛みや疲労感、さらには自律神経の乱れから精神的な不調をも引き起こすと考えられています。

こうした女性の特有の不調や、それから引き起こされる精神的不安の改善に用いられているのが、女性三大漢方薬と呼ばれる3つの漢方です。

いずれにも「血」の働きを改善する生薬が配合されていますが、自身の体質や症状によって適した漢方薬を使い分けるのが大切です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

体力がなく、冷え症、貧血気味の人に適した漢方です。

血(けつ)の量が少ないと、身体全体に栄養素や熱がうまく行き届かず、冷えや月経不順などを引き起こします。

血(けつ)が身体にうまく回らないと水分代謝が悪くなり、体の余分なところに水分がたまり、その水分が体を冷やして冷えを引き起こします。

当帰芍薬散は、全身の血のめぐりを良くするのと同時に、余分な水分を体から取り除き、冷え症や月経不順を改善します。貧血気味、足腰が冷える方におすすめの漢方です。

加味逍遙散(かみしょうさん)

加味逍遙散は、乱れた気のバランスを整えるため、イライラや抑鬱など精神的な不安を改善します。

さらに、余分な身体の熱が溜まらないように全身に送り出し、溜まった熱も抑えてくれるので、のぼせやほてりを改善します。

また、血(けつ)を補い、水の巡りを良くするなど、気・血・水全体をバランスよく整える生薬が配合されています。

月経不順や月経困難など女性特有の悩みとともにイライラや不安、精神的な落ち込みなどの精神症状に悩む女性におすすめです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は、滞った血(けつ)のめぐりを良くすることで、のぼせや手足が冷えやすい女性の月経痛、月経不順、月経異常を改善します。

また、女性ホルモンの変動に伴って現れやすい精神的な不安やイライラなども改善します。

肩こり、めまい、冷え、のぼせやほてりを伴う女性特有の不順に悩む方に向いています。

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その他の情緒不安定に効果的な漢方

漢方では、西洋医学でいう肝臓とは少し異なる意味で使われる「肝」という考え方があり、精神や自律神経の機能のための大事な働きを担っているとされています。

肝は、気の巡りをよくし、血(けつ)を十分に貯蔵させて、全身の血液量を調整する働きがあります。

それに伴って筋肉の動き、関節の動きなどの働きも支えています。

この「気」のめぐりを調整する「肝」は、精神的な安定に必要な働きをもつと考えられています

例えば、「肝が高ぶる」とは、精神が高ぶることであり、怒りやイライラが現れることを言います。

精神的な部分を安定させたり改善させたりする漢方をいくつかご紹介します。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散加陳皮半夏は、「肝」の高揚を抑える作用のある「抑肝散」に「陳皮」と「半夏」を加えた漢方です。

血(けつ)を補い、血の循環を改善しその結果、ストレスによる身体への影響を減らし、自律神経を安定させます。

胃腸のはたらきを整える作用があるため、胃腸の弱い方でも服用しやすい処方です。

小児の夜泣きに用いられますが、母子ともに精神を安定させるという意味で母親にも勧めることもあります。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

半夏厚朴湯は、原因がないのに喉に何かつまった感じがする方、つい咳払いをしてしまうという方におすすめです。

精神的な不安があると咳や喉のつかえを感じる人にも向いています。

喉の部分の気のめぐりが滞ると、のどに何かつまった感じがしたり、異物感を覚えたりするようになります。

のどの部分の気の巡りをよくする漢方です。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

桂枝加竜骨牡蛎湯は、神経の高揚を抑えて、イライラや不安を取り除き、気や血(けつ)を補い、不安定な精神を落ち着かせる働きがあります。

神経の興奮から起こると言われている小児の夜泣きや、夜尿症などにも使用されます。

また、神経質、不眠症、眠りが浅く夢を見ることが多い人などにも向いています。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、ささいなことや小さなことが原因で思い悩んでしまう人や、何かを考えすぎて落ち着かない、眠れないという人におすすめの漢方です。

肉体疲労と精神的ストレスによって身体の気が滞り、全身に十分に気が巡らないと体に熱がこもり、温かい熱は上に行くため脳が疲労してしまうのです。

この漢方は、体にこもった熱を冷まし、脳の興奮を抑えて不眠や神経症を改善します。

加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、気のエネルギーを抑えて、不眠を改善します。

血(けつ)を補い、脳に溜まった気を全身に巡らせる作用によって、気持ちを落ち着かせ、精神を安定させる作用があります。

顔色が悪く疲れやすい、貧血気味、精神的なストレスや不安感が多い、不眠気味、夢をよく見るなどの神経が高ぶって眠れない人におすすめです。

消化器の働きを助けるため、胃腸の弱い方などに向いています。

効果的な漢方を手に入れるには

漢方は、病院、漢方専門クリニック、漢方薬局、ドラッグストアで入手できます。

病院やクリニックでは、医師による問診や診療がありますので安心ですが、保険診療と保険がきかない自由診療がありますので注意してください。

医師による診療はありませんが、問診や舌の色などをチェックして適切な漢方薬をその場で処方してくれるのが漢方薬局です。

保険がきかないため費用が高めですが質の良い漢方を処方してくれます。

最も手軽なのがドラッグストアでの購入です。

ただ、知識がない場合、どれを選んだらよいのかわからなかったり、組み合わせなどにより過剰摂取になったりするので注意が必要です。

含量も処方の漢方薬に比べて少ない物が多いです。

病院で受診して処方を受ける

日本での漢方は、1976年に保険適用が開始されてから30年以上の歴史があり、現在約140種類の効果が証明された医療用漢方薬があります。

そしてその多くが保険診療にて処方が可能となっています。

即効性があるものや、慢性的な症状に対しては数か月間続けることで効果が出てくるものもあります。

患者さんの健康状態や症状にあった適切な漢方薬を処方してくれるので安心です。

漢方内科と呼ばれる漢方薬を専門に扱う診療科がある病院もありますが、ない場合は症状にあった診療科に相談してみましょう。

ネットで漢方薬を購入する

  • 漢方を飲んでみたいけどどれを選んだらよいかわからない
  • 漢方薬の知識がない
  • 相談できるようなかかりつけ薬剤師がいない
  • かかりつけ薬剤師がいても漢方についての専門知識があるのか不安なので聞きにくい

など、漢方についての不安や疑問を持つ女性にはオンラインでの漢方の購入がおすすめです。

LINEで簡単な無料の問診を受けることができ、婦人科医や薬剤師などによる医療専門家があなたに合った高品質の漢方を、続けやすい価格でご提案してもらえます。

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まとめ

精神の安定は、原因となるものがあればそれを解決する、ストレスを減らす、十分な休息を取る、趣味や気分転換を取り入れるなど、日常生活の中で意識することが大切ですが、なかなか改善しない場合やピンポイントで改善したい部分がある場合、自分の身体にあった漢方を見つけるのもよいでしょう。

ストレスなく続けられるよう、漢方の専門医や薬剤師さんに相談し、自分に合った漢方ライフをスタートさせましょう。

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