基礎体温を記録すると何がわかるのか徹底解説!

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

「基礎体温は、妊娠したい人が測るもの」と思っていませんか?妊娠をすぐに望まない方も基礎体温を測ることで、月経や排卵の周期が分かったり、婦人科系の病気に気付くきっかけになったり、メリットがたくさんありますよ。

しかし、「忙しい朝に起きてすぐ測れるかな……」「基礎体温表の見方がよく分からない……」という不安もあるでしょう。

今回の記事では、基礎体温表の見方や基本的な知識を説明します。また、忙しい朝に少しでも楽に測定できる、オススメの基礎体温計の選び方も紹介するので参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 基礎体温を測ると分かること
  • 基礎体温表の見方
  • オススメの基礎体温計の選び方

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基礎体温とは

基礎体温とは、生きるのに必要な最低限のエネルギーしか消費していない、安静状態の体温のことです。起床直後に安静状態の体温を測ると、ホルモン分泌量の微細な変化が反映されます。

基礎体温を測ると何がわかる?

基礎体温は女性ホルモンの変化が反映されるので、月経や排卵日の目安、妊娠しやすい時期・妊娠しにくい時期が分かります

基礎体温は、月経開始から月経終了後しばらくは低温期、その後、約2週間の高温期、そして次の月経が始まる頃から次の低温期というサイクルを繰り返します。低温期はエストロゲン、高温期はプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが働くことで引き起こされます。そして、これらのホルモンのバランスが変化する低温期と高温期の境目である排卵日に排卵が起こります。
基礎体温を測ることで女性ホルモンの動きや排卵日をある程度予測することが可能です。そして、排卵前後に性交を行うと妊娠する可能性が高い時期になります。つまり、次回の月経までの期間にあなたが妊娠しやすい時期が分かるのです。

基礎体温の測り方

基礎体温は、婦人体温計で測ります。婦人体温計は通常の体温計(例:36.0℃)より、さらにもう1目盛り小さい数値(例:36.00℃)まで測定できるのが特徴です。ホルモンの微妙な変化を計測するためには、婦人体温計を使う必要があります。

基礎体温の測り方

  1. 起床時に体を動かさずに、布団の中で寝たまま婦人体温計を舌の裏側の付け根にあてます。
  2. 測定が終わるまで口を閉じて、動かずに待ちます。この時、なるべく口で息をしないように注意しましょう。
  3. 結果の数値を基礎体温表に記入しましょう。必ず36.00℃まで記入をしましょう。

基礎体温表のつけかた

基礎体温表には、測定した体温を点で記録し、点と点を結んで線にします。また、基礎体温表には基礎体温の数値以外にも月経や体調不調、性交日などを記録しておくと良いでしょう。基礎体温にどんなことが影響するのかあとで確認できます。

基礎体温表の見方

基礎体温表の見方のポイントは、以下の3点です

  1. 低温期と高温期の2相に分かれ、0.3度以上の体温差のことが多い。
  2. 低温期は月経開始頃から始まり、約2週間続く。
  3. 高温期は11〜16日続く。

しかし、体やホルモンの状態によって基礎体温表もばらつきが出ることがあります。

低温相と高温相の2相に分かれない場合

低温期と高温期の2相に分かれていない場合は、排卵が起きていない可能性があります。基礎体温に分かれるのは、排卵後にプロゲステロンの分泌が増え、体温が上がり高温期になるためです。排卵が起きない場合は、プロゲステロンの分泌は増えないので体温が上がりません。

また、無排卵周期の場合も月経のような出血がおこることがありますが、出血量が少ない、長期間少量の出血が続くなどの変化が見られる場合があります。

低温期が長く続く場合

低温期が長く続く場合は、排卵障害の可能性があります。排卵障害が起こる原因のひとつに、多嚢胞卵巣症候群があります。

正常な排卵は、ひとつの卵子が成長し、排卵できる状態になると卵巣を飛び出します。しかし、多嚢胞卵巣症候群では、複数の卵子が成長してしまうため、排卵がうまくいきません。そのため、ホルモン剤での治療などが必要です。

多嚢胞性卵巣以外にも、ストレスやダイエットが関係する視床下部性排卵障害があります。いずれの場合も、婦人科で検査をうけるのがおすすめです。

高温相が短かい場合

高温期が短い場合は、黄体機能が低下している可能性があります。高温期は一般的に12日以上ありますが、これが10日未満の場合は黄体機能が低下していることが疑われます。
しかし基礎体温表は多少の上下があるため、何日から何日までが高温期か、厳密に判断することは難しいです。黄体機能が低下しているかどうかの判断は、婦人科で黄体ホルモンの数値を測定する必要があります。

黄体機能不全の場合は、子宮内膜の形成がうまくいかず受精卵が着床しにくくなったり、流産しやすくなったりします。妊娠を望む方で高温期が短くて心配な方は、早めに受診するのが良いでしょう。

高温相が続く場合

高温期が続く場合は、妊娠している可能性があります。妊娠すると、高温期に分泌されるプロゲステロンの分泌が続き、妊娠を継続させるために子宮内膜を厚い状態で維持するようはたらきます。

次の月経予定日になっても月経が始まらず、妊娠している可能性がある場合は、産婦人科でホルモン検査を行うと妊娠の有無が分かりますよ。また、市販の妊娠検査薬でも月経予定日から測定可能なタイプもあります。

オススメの基礎体温計

基礎体温計の測定法は、実測式と予測式の2つがあります。実測式はその時の温度を測定・表示します。正確な数値が測定できますが、口の中で約5分の時間が必要です。

一方の予測式は、温度の上がり方を分析・演算し、口の中の5分後の体温を数十秒で測定可能です。予測式は、口の中に入れ続けることで実測検温もできます。

基礎体温は、寝起きに測定する必要があるので、予測式がおすすめです。また、最近は計測した数値が、自動でスマホに転送できる体温計もあり便利ですよ。

基礎体温がガタガタの場合どうすればいい?

基礎体温は、体調や室温などの影響を受けますし、いつもより朝早いと低くなるなどの変化もあります。そのため、基礎体温がある程度ガタガタになるのは当然で、およそ高温期と低温期に分かれていれば問題ありません。

また、自分で基礎体温表を見るとグラフがガタガタの場合も、専門の医師が見るとしっかり2相に分かれていると判断できることも多くあります。基礎体温で気になることがある場合は、産婦人科を受診するのがおすすめです。

以下の記事を合わせて読む
基礎体温で排卵日がわかる?

まとめ

基礎体温を測定すると、月経や排卵の周期、妊娠しやすい時期・しにくい時期など多くの情報が得られます。起床時に安静のまま測定するのが大変に感じる方もいるかもしれませんが、予測式の体温計では数十秒で測定可能です。さらに、スマホと連動して計測値を自動でグラフにしてくれる体温計もありますよ。

また、排卵していない場合や、黄体ホルモンの分泌量が少ない場合、妊娠している場合などは基礎体温表に変化が現れます。基礎体温表の見方を紹介しましたが、自分で判断するのは難しいので、気になることがある場合は、産婦人科医を受診してください。

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