「最近身体がむくむようになった」
「朝起きたら顔がパンパン」
「足のむくみをなんとかしたい」
というむくみにまつわる悩みを抱えていませんか?
むくみには一過性のものと慢性的なものの2つのタイプがあります。実は病気の症状としてむくみがあらわれていた…なんてケースもあり、むくみを放置するのは危険です。
むくみを改善するには、まずむくみを引き起こす原因を知るところから始めましょう。原因を把握した方が、むくみにアプローチしやすくなります。
この記事でわかること
- むくみを引き起こす原因
- 顔のむくみを改善する方法
- 身体のむくみを改善する方法
むくみとは
むくみとは、毛細血管からしみ出た水分が、細胞と細胞の間にたまってしまう症状です。
「朝起きたらまぶたが腫れていた」「立ち仕事をすると夕方には足がパンパンになる」といった経験のある方もいるのではないでしょうか。
私たちの身体の毛細血管には、全身の細胞に酸素や栄養を届けたり、たまった老廃物を回収する働きがあります。細胞と毛細血管の間で酸素や老廃物などの物質交換を担っているのが間質液と呼ばれる水分です。
この水分は通常、毛細血管から出たり入ったりする量が決まっています。しかし、さまざまな原因によって水分バランスが崩れると皮下組織に過剰に溜まってしまうことがあります。
むくみの原因
むくみを改善するには、むくみを引き起こす原因を知るところから始めましょう。むくみには一過性のものや慢性のものがあり、それぞれのむくみを引き起こす原因は異なります。
どのようなケースがあるのか、詳しく見ていきましょう。
「一過性」のむくみが原因の場合
数時間〜数日で治る「一過性」のむくみを引き起こす原因には、次のようなものが挙げられます。
【塩分の摂りすぎ】
私たちの身体は、体内の塩分濃度を一定に保つようにできています。塩分の摂りすぎによって体内の塩分濃度が高くなると、水分を溜め込んで濃度を下げようとするため、身体がむくみやすくなります1)。
【お酒の飲み過ぎ】
血液の中のアルコール濃度が高くなった場合も塩分の時と同じです。血液中のアルコール濃度を下げるために水分を溜め込もうとするため、むくみやすくなります。
【ホルモンバランス】
女性の場合、PMS(月経前症候群)の症状としてむくみが見られることがあります2)。月経前は水分を溜め込もうと身体が働くためです。
【同じ姿勢の保持】
立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢が長時間続くと、血液が下半身に溜まりやすくなります3)。通常、ふくらはぎの筋肉がポンプとなり血液の循環が良好に保たれますが、動きが少なくなると血流が悪くなり、むくみを引き起こします。
「慢性」のむくみが原因の場合
一過性のむくみではなく、長期的に引き起こす原因には、次のようなものが挙げられます。
【心臓の障害】
心臓のポンプ機能が低下すると、全身の血液循環が悪くなるため、むくみが発生します。原因となる疾患は、心筋梗塞などの虚血性心疾患、高血圧性心不全、心臓弁膜症、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患などです4)。
【肝臓の障害】
肝臓の機能障害により血管内の水分量がコントロールできなくなると、むくみを引き起こします。原因となる疾患は、肝硬変などの肝機能障害です4)。
【腎臓の障害】
腎臓の機能が低下すると血管内の濾過作業がうまく行えないため、老廃物を含んだ水分を排泄できなくなり、むくみが起こります。原因となる疾患は、ネフローゼ症候群と急性糸球体腎炎などです4)。
【リンパの障害】
生まれつきのリンパ障害、もしくは手術でリンパ管を切除した影響などでリンパの流れが傷害されるとむくみが発生します。リンパ節を切除する手術には、大腸がん、子宮がん、乳がんなどがあります。
【静脈の障害】
寝たきりや同じ姿勢の保持により静脈のめぐりが悪くなると、むくみを引き起こします。原因となる疾患は、下肢静脈瘤、エコノミー症候群(深部静脈血栓症)などです4)。
顔|むくみの改善方法
顔のむくみを改善するには、顔や顔まわりの血液やリンパの流れをよくすることが大切です。具体的にはホットタオルで温めたり、温水冷水を交互にかけたり、マッサージをする方法があります。詳しい方法についてご紹介しましょう。
ホットタオルを使用する
ホットタオルを顔に当てると、皮膚が温められて血行が良くなり、むくみが改善します。「起きたら顔がむくんでた!」なんてこともありますよね。顔がむくんでいるとメイクをしても腫れぼったい印象までは隠せません。
ホットタオルの用意は簡単です。メイクをする前にホットタオルを当てると良いでしょう。タオルが熱すぎるとやけどしてしまいますので、ホットタオルの取り扱いにはご注意ください。
【ホットタオルの作り方】
- タオルを濡らす
- 電子レンジ500Wで1分加熱
温水冷水を交互に
朝、顔を洗う時に温水と冷水で交互に洗うと、むくみを改善できます。温水で皮膚が温まると血管が拡張し、冷水で皮膚が冷えると血管が収縮します。血管の拡張と収縮を繰り返すことで顔の血行が促進されむくみが解消されるのです。
温水は42度がおすすめです。42度は代謝を上げるタンパク質(ヒートショックプロテイン:HSP)を増やすのに効果的な温度といわれています。熱すぎるお湯で顔を洗ってしまうと、肌に必要な油分まで洗い流してしまうので注意しましょう。
マッサージをする
顔のむくみを解消するには、マッサージで血行を促進するのも効果的です。
まず、首のストレッチを行ってから顔のマッサージを行うと、顔に溜まった余分な水分や老廃物が流れやすくなります。マッサージをする際は、乳液やクリームを使って肌への摩擦を軽減しましょう。
【顔のむくみ解消マッサージ】
- 首を左右に10秒ずつ傾ける×3回
- 鎖骨の上のくぼみを親指以外の4本の指で圧迫する×20回
- あご→こめかみ→耳の後ろ→首の順に流れるように優しくさする×1分間
身体|むくみの改善方法
身体のむくみを改善するには、運動や入浴で全身の血流を良くすることがおすすめです。さらに、血流が悪くなりやすい足のマッサージやストレッチなどを取り入れると、より効果的にむくみを改善できます。詳しい方法についてご紹介していきます。
運動をする
運動をすると、むくみの解消や冷え性の改善に効果的です。
特に「ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、なわとび」などの有酸素運動は、ふくらはぎの筋肉を使うことで下半身に溜まりがちな水分や老廃物の排出を促します。
また、運動をすると身体を動かすことで体温が上がるため、冷え性が改善されます。冷え性は血行不良を引き起こす原因のひとつです。むくみの解消や冷え性の改善のために、積極的に身体を動かしていきましょう。
入浴をする
全身の血行を促進するには入浴も効果的です。ぬるめのお湯に浸かると副交感神経が働き、筋肉の緊張が和らいだり、血管が拡張したりするため、血行が良くなります。また湯船に浸かることで身体に水圧がかかると、下半身の血液を心臓まで運びやすくなります。
ぬるめのお湯は、「38〜40度」がおすすめです。入浴時間は「15〜20分間」ゆったりした気持ちで入浴すると良いでしょう。湯船が苦手な方は、足湯でも構いません。 入浴前と入浴後には水分を摂るようにしましょう。
マッサージをする
足のむくみがひどい時は、マッサージをすることでむくみを改善できます。血流を意識しながら行うと良いでしょう。
【足のマッサージ①】
- イスに座り、片足を反対の太ももに乗せる
- 乗せた足を持ち、足首を回す(時計回り20回、反時計回り20回)
- すねの内側を足首から膝に向かってさする
- 反対足も1〜3を行う
【足のマッサージ②】
- 床に座り、片膝を立てる
- すねの両脇を両手のこぶしではさむ
- 足首から膝までこすり上げる(左右10回ずつ)
ストレッチ・エクササイズをする
普段の生活の中にストレッチやエクササイズを取り入れると、むくみの予防や美脚効果が期待できます。
【かかとの上げ下ろし運動】
- 足の間にこぶし1個分の間隔をあけて立つ
- ゆっくりかかとを上げ、つま先立ちをする
- ゆっくりかかとを下げ、地面スレスレでストップ
- 2〜3を10回くり返す×3セット
【足指ジャンケン】
- 足の指でグーを作り、15秒キープ
- 足の指でチョキを作り、15秒キープ
- 足の指でパーを作り、15秒キープ
むくみ部分を高くする
むくんだ部分を心臓より高く上げると、血液が心臓に向かって戻りやすくなります。水分は高いところから低いところへと流れる特徴があり、物理的に高低差を作ることで血液の流れをサポートすることができます。
寝転んだ状態で手足を上げぶらぶらさせたり、クッションなどを足の下に敷いて横になったりすると良いでしょう。足を高く上げ過ぎると、腰やおしりなどに負担がかかるかもしれません。心臓より10cm高くするだけで十分な効果が得られますので、無理な体勢を取らないようにしましょう。
食生活|むくみの改善方法
むくみを改善するには、食生活にも気をつけましょう。乱れた食習慣が顔や身体のむくみを増強させているかもしれません。身の回りにある食べ物には、むくみに効果的な食べ物や反対に避けた方が良い食べ物があります。詳しくご紹介します。
充分な水分を摂る
むくみの改善には、充分な水分摂取が必要です。「水分を摂るとむくみがひどくなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、身体の水分が不足すると余計に水分を溜め込もうとする働きが強くなります。
余分な水分は尿として排出されるため、摂り過ぎた水分が身体に溜まるわけではありません。むくみの原因となる塩分や老廃物の排出を促すためにも、こまめに水分を摂取しましょう。体重50kgの方が1日に必要な水分量の目安は1.5Lです。
むくみ改善に効果的な食べ物を摂取する
カリウム、ビタミンB、ビタミンE、タンパク質、クエン酸を多く含む食べ物は、むくみの改善に効果的です。水分量の調節、塩分の排出、血行の促進などに働きかけてくれます。
栄養素 | 働き | 含まれる食べ物 |
---|---|---|
カリウム | 細胞の水分調節、塩分の排出 | いも類、海藻、魚介類、くだもの、肉類、豆類 |
ビタミンB、E | アルコールや水分代謝をあげる、PMSの改善 | 魚介類、穀物、卵、肉類、乳製品、豆類 |
タンパク質 | 血管内の水分調節 | 魚介類、卵、肉類、乳製品、大豆 |
クエン酸 | 代謝や血行促進 | 梅干し、くだもの、酢 |
むくみの原因になる食べ物を控える
身体を冷やす食べ物、塩分や糖分を多く含む食べ物の摂り過ぎは、むくみの原因になります。身体を冷やす食べ物は血流の低下を引き起こし、塩分や糖分を多く含む食べ物は塩分や糖分の濃度を薄めるために身体が水分を溜め込もうと働くためです。
身体を冷やす食べ物 | オクラ、きゅうり、トマト、なす、メロン、マンゴー |
---|---|
塩分を多く含む食べ物 | インスタント食品、スナック菓子、漬物、ハンバーガー、ピザ、ラーメン、レトルト食品 |
糖分を多く含む食べ物 | 甘いお菓子、甘い飲み物、ジュース |
野菜やくだものにはむくみを改善する栄養素が含まれているものもあります。そのため、該当する食べ物を食べてはいけないというわけではありませんが、過剰に摂取するのはやめましょう。
漢方でむくみを改善する
むくみを改善するために漢方を服用するのも効果的です。
むくみの改善に働きかける漢方としては、以下のようなものがあります。
漢方薬 | 効果・効能 |
---|---|
五苓散 (ごれいさん) |
身体に溜まった余分な水分を排出し、水分量の調節を行う。二日酔い、熱中症対策などにも使用。 |
防已黄耆湯 (ぼういおうぎとう) |
水分の代謝を促進。汗っかき、色白で肥満気味など、水太り体質の人に効果的。 |
防風通聖散 (ぼうふうつうしょうさん) |
汗っかき、暑がり、肥満気味など、身体の水分が溜まりがちな人に効果的。細身や虚弱体質の人には適しません。 |
当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん) |
全身のむくみが気になり、冷え性や貧血気味の人に使用。月経、産前産後、更年期障害によるむくみがある方に効果的。 |
ホルモンバランスが影響してむくみが起きることも
PMS(月経前症候群)や更年期障害など、ホルモンバランスの影響でむくみが見られる場合、ホルモンバランスを整えることでむくみが改善することもあります。PMS(月経前症候群)や更年期障害は女性特有の悩みです。婦人科や女性外来を受診すると良いでしょう。
「病院に行くのは面倒」「忙しくて受診する時間がない」という方は、自宅にいながら医師に無料で相談できるcanvasがおすすめです。
医師監修の問診をLINEで回答するだけで、あなたの体質や悩みに適したオーダーメイドの漢方を提案してくれます。自分のホルモンバランスを詳しく知りたい方は、自宅でできる検査キットを活用すると良いでしょう。
【全身に使用可能】むくみが改善できる「美顔器」もおすすめ
美顔器とは、超音波、低周波、ラジオ波などの刺激を肌に与えることで、引き締め効果が期待できる器具のことです。自宅にいながらエステのような体験ができるので大変人気があります。
最近では「デンキバリブラシ」がテレビや雑誌などで話題です。芸能人やプロのメイクさんなどが使用していることから注目を浴びています。デンキバリブラシは、顔だけでなく全身にも使用できるため、顔や足などむくみが気になる部位に使えます。
「フェイスラインがスッキリした」「顔が一回り小さくなる」「即効性があっていい」など、高評価の口コミが多い美容器具です。
まとめ
むくみとは、毛細血管からしみ出た水分が、細胞と細胞の間にたまってしまう症状のことです。一時的なむくみは、塩分の摂り過ぎ、飲酒、ホルモンバランスの影響、同じ姿勢の保持によって引き起こされます。
むくみの改善には、次のような方法が効果的です。
- ホットタオルを使用する
- 温水冷水を交互に当てる
- マッサージをする
- 運動をする
- 入浴をする
- ストレッチ・エクササイズをする
- むくみ部分を高くする
- 充分な水分を摂る
- むくみ改善に効果的な食べ物を摂取する
- むくみの原因になる食べ物を控える
- 漢方でむくみを改善する
- ホルモンバランスを整える
- 美顔器を使用する
慢性的なむくみは、心臓、腎臓、肝臓、リンパ、静脈などの病気が関係している可能性があります。改善方法を試してみても効果がなく、むくみが長期化している場合は、内科の病院を受診しましょう。
参考文献
1) 日本フットケア学会雑誌:「特集:下肢の浮腫を視る」50〜54,2017 https://www.jstage.jst.go.jp/article/footcare/15/2/15_8/_pdf/-char/ja
2) 日本女性心身医学会雑誌:「PMSの生活援助」218〜222,2001 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/6/2/6_KJ00003256427/_pdf/-char/ja
3) バイオメカニズム学会誌:「長時間歩行および立位姿勢中の下肢のむくみに起因する不快感に関する研究」Vol. 40 No.2,2016 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/40/2/40_121/_pdf
4) 日本理学療法士協会:「浮腫の基礎」理学療法の歩み21巻1号,2010 https://www.jstage.jst.go.jp/article/mpta/21/1/21_1_32/_pdf