産後ダイエットに効果的な方法は?気をつけることやタイミングも詳しく解説

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

出産で増えた体重や変わってしまった体型を戻したいという女性は多いようですが、出産でダメージを受けたデリケートな体をいたわるためには無理なダイエットは禁物です。

また、授乳しているのであれば健康的な栄養のある母乳のためにも、正しい知識を持って適切な方法と時期に開始しましょう。

この記事では、産後ダイエットを始める時期や方法、さらには食事や運動以外のダイエット方法についてもご紹介します。

この記事でわかること

  • 産後ダイエットとは?
  • 産後ダイエットの方法
  • 食事や運動以外のダイエット方法
  • 医療ダイエットについて

産後、痩せにくいのはなぜ?

妊娠中から出産、産後までの間、大きなお腹を抱えていたことや、過度な運動を避けてきたことで、普段よりも運動する機会が減り、多くの女性が出産後の筋肉量は大きく低下してしまいます。

身体の筋肉量が減ると消費カロリーが減ってしまい、基礎代謝が低下することで、痩せにくい身体になってしまう原因の一つとされています。

そのほか、出産で開いた骨盤も産後に痩せにくくなる原因の一つと言われています。骨盤が開いたままだと身体がゆがみ、体型も変わってしまうため、産前の体型に戻れないと感じる女性も多いのです。

産後ダイエットとは?

産後ダイエットとは、妊娠から出産にかけて増えてしまった体重や、骨盤が開いたりしたことで、身体がゆがんだり崩れてしまった体型を妊娠前の状態に戻そうとするダイエットのことです。

多くの女性が産後の体重の戻りに悩んでおり、産後ダイエットという言葉をよく耳にするかと思います。

産後ダイエットはいつからしていい?

一言で「産後ダイエット」といえど、出産後すぐにダイエットを開始できるのか不安な方も多いと思います。出産は想像以上に体力を使いますし、身体的にも大きなダメージがあると言われています。

また、精神的にも赤ちゃんのお世話などで忙しく、すぐにダイエットをしようという気持ちにもなるのは難しいところです。どうしてもダイエットを早くから開始したい場合は、身体のダメージが落ち着いて、赤ちゃんとの生活も落ち着く産後3ヵ月以降を目安にすると良いでしょう。

ただし、体の回復は個人差が大きく、特に帝王切開をした場合は傷口の回復に時間がかかるため、心配な方は医師に相談して進めるのもよいでしょう。

産後ダイエットが効果的な時期は?

産後ダイエットは、産後3か月以降、半年頃までに開始するのが効果的と言われています。

この期間は妊娠前の体に戻ろうとする作用も強くなり、ホルモンバランスが正常に戻るとともに、妊娠中に蓄えた水分や脂肪が落ちるため、ダイエットの効果が出やすいと言われています。

ただ、授乳中かどうかでホルモンの状態も変わってきます。目安として、月経が再開する頃がホルモンバランスが正常に戻った頃とみなされるので、月経の再開を機に産後ダイエットを始めるのもよいかもしれません。

産後ダイエットで気をつけること

産後ダイエットを始めるにあたって気を付ける点として、産褥期(出産後の身体が元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間の期間)のダイエットは避けることが挙げられます。

この時期は身体のダメージが激しく、産前の元の身体の状態に自然に戻ろうとしている大切な時期なので、無理は避けましょう。

そのほか、ゆがんだ骨盤を徐々に戻していくことを念頭に置きながら無理のないストレッチや運動をするなど、産後ダイエット特有の無理のない範囲で行える運動を行うことも大切です。

産後ダイエットはメンタルを保つことも大切

産後は女性ホルモンの分泌が急速に変化することから、精神的にも不安定にもなります。

さらには赤ちゃんのお世話から寝不足などが続いて体力的にも元気が無くなる人も多いです。そんな時に、出産で変わってしまった体型を考えるとさらに落ち込んでしまいます。

心も身体も不安定な時にダイエットをしても効果的なダイエットはできません。

産後ダイエットは、身体の準備以外にも、心が安定した状態になった時に始めましょう

十分な睡眠を心がける

産後の数か月は、日夜を問わず赤ちゃんが2~3時間おきに泣くため、その度に授乳したりミルクを与えたりしなければならず、必然的に寝不足になってしまいます。

夜にまとめて寝れない分、昼間に赤ちゃんが長く寝ている間に一緒に昼寝をするなどして、こまめに睡眠をとりましょう。

睡眠不足はイライラを招きやすいため、精神的な安定のためにも十分な睡眠を心がけましょう

メンタル回復のために周りにも協力してもらう

産後は身体がダメージを受けている上、赤ちゃんのお世話が24時間続き、身体も心も休む暇がありません。

赤ちゃんが寝ている時に昼寝をしてしまうと、家事や家の仕事ができないからと無理をしがちですが、身体の回復が遅くなってしまいます。

身近な家族の人に協力してもらい、

  • 赤ちゃんの面倒を見てもらう瞬間を作る
  • ゆっくり昼寝をする時間を儲けさせてもらう
  • 外の空気を味わいに散歩に出る

など、休める瞬間に身体を休め、心身穏やかに過ごせるように心がけ、周りの人の助けには甘えてみましょう

産後ダイエットに効果的な「食事方法」

産後ダイエットといえば、食事によるダイエットが重要です。運動などのダイエットもありますが、過食や栄養バランスの悪い食事では健康的とは言えず、体重もなかなか落ちません。

食事によるダイエットを中心として、運動やそのほか方法も一緒に行いながら無理のないダイエットを進めていきましょう。

高たんぱく・低カロリーの食事をする

高たんぱく・低カロリーの食事をすることが大切です。

たんぱく質は、産後で落ちてしまった筋肉量の増加につながり、筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすい体につながります。

また、臓器や肌、爪、髪の毛等にもなりますので大事な栄養素です。カロリーを摂り過ぎると体重増加につながりますので気を付けましょう。

栄養バランスの良い食事をする

食事によるダイエットでは栄養バランスの良い食事が不可欠です。特に出産直後は、「鉄分、ビタミン、たんぱく質」などが不足しがちです。

無理なダイエットは控え、栄養バランスのよい食事を3食きちんととることを心がけましょう

身体が落ち着いて産後ダイエットを始める場合でも、

  • 脂肪や糖分が多い食品
  • カフェイン
  • アルコール

などは控えて、

  • 鉄分
  • ビタミン
  • タンパク質
  • カルシウム

など出産期に不足しがちな栄養素を意識しましょう。

これらの栄養素は血液の形成に関わり貧血を防いでくれたり、筋肉や骨を丈夫にしてくれます。特に母乳を与えている女性は、自身で摂取する栄養素が赤ちゃんの栄養素にもなるため、バランスの良い食事を心がけましょう。

水分補給にも気をつける

産後ダイエットで食事制限をしようとすると水分まで減ってしまうケースが多くみられます。身体の水分が減ると代謝が悪くなったり、血液やリンパの流れが悪くなったり、便秘やむくみが起こりやすくなります

これらの症状は、効果的なダイエットには逆効果となり、痩せにくい体質になってしまいます。特に母乳育児をしている女性は、常に身体の水分が不足している状態になります。

意識的に多く水分を摂るようにしましょう。その際、砂糖のジュースやカフェイン入りのコーヒーなどは避け、水を飲みましょう。

産後ダイエットに効果的な「運動・ストレッチ」

産後はお腹の中の筋肉も出産前から変化しています。

身体の中の筋肉であるインナーマッスル、見た目に影響する外側の筋肉の両方を無理なく鍛えていくのがよいでしょう。

赤ちゃんがいてジムに行くゆとりを作るのは難しいと思いますので、隙間時間に自宅でできる軽い運動やストレッチがおすすめです。

運動をする

赤ちゃんと一緒に散歩に出る、ゆっくりウォーキングする程度の運動から始めてみましょう。産後は想像以上に筋肉が落ちていて、最初はきついかもしれません。

突然ランニングなどを開始せず、ヨガマットを使って室内でインナーマッスルを鍛え、少しずつ内と外の筋肉を鍛えていきます。

慣れてきたら、軽いジョギングなどで有酸素運動を行うことで身体の代謝が上げることで痩せやすくなります

メンタルも大切なので、無理をせずに楽しめる程度で行いましょう。

骨盤ストレッチを行う

出産により骨盤がゆがむ女性は多いです。骨盤を締めるために骨盤ベルトなどを使用して骨盤を締めた状態にしていた妊婦さんも多いはず。

実際、ぎゅっとしまって気持ちよく、見た目のサイズとしても締まって見えます。ただし、これらに頼りすぎると、自力で骨盤を締める筋肉が育ちません。

そこで、少しずつ自力で骨盤を締められる体づくりを心がけることが大切です。

産後すぐから開始できる骨盤ストレッチがありますので、毎日無理のない程度に継続しましょう。

【うつぶせ骨盤ストレッチのやり方】

うつぶせになると骨盤がまっすぐになりやすいので、うつぶせのストレッチはおすすめです。

  1. うつぶせになり、頭からつま先までまっすぐに伸ばす。
  2. 力を抜いたまま、足の親指どうしをくっつける。
  3. 親指どうしをくっつけたまま、かかとどうしもくっつける。このとき足全体を内側に巻き込むようにしながら、お尻を締める感覚を意識する
  4. ①~③の動きを何度か繰り返しましょう。

産後ダイエットに効果的なその他の方法

産後ダイエットは、食事、運動が中心となりますが、それ以外の方法もあります。たとえば漢方薬、そして最近話題の医療ダイエットもあります。

食事や運動でのダイエットと併用していくことで効果が上がるでしょう。

漢方薬を服用する

出産の大仕事を終えた後も、休む暇なく赤ちゃんのお世話などが始まり、疲れた体を休める時間もないのが産後のお母さんたち。食事や運動で体重を減らし体型も戻せれば一番良いのですが、無理なダイエットは体力のないこの時期の身体には禁物です。

食事制限や運動に自信がない人や、まだ身体が回復しておらずダイエットできる準備が整っていない人には、身体をゆっくり元の状態に戻すことをサポートする漢方がおすすめです。

canvasから処方している漢方は、産後の不調などにも使用され授乳中でも服用できます。

もし気になる場合は、母乳中の薬の濃度が高くなるのは2~3時間後と言われていて、その時間帯を避けていただくことをおすすめしています。産後のお母さんでも安心して飲める漢方です。

オーダーメイド漢方定期便

医療ダイエット

最近よく耳にするようになった医療ダイエット。きつい食事制限や、運動が不要なため、食事や運動のダイエットに比べて楽に続けられると言われています。

しかもリバウンドしにくく、健康的に痩せることができると話題です。一昔前までは、脂肪吸引といえば体にメスを入れる方法しかなく、痛いイメージでした。

しかし、最近の医療ダイエットによる脂肪吸引は痛みもなく、安全性の高い治療法が確立されてきています。

「医療ダイエット」とは?

医療ダイエットとは、クリニックなどの医療機関で医師が行うダイエットのことで、手術や手術以外の施術、または薬で体脂肪を減らしたり、脂肪が溜まらないようにできます。

医療ダイエットは「医療行為」とされているため、医師や看護師が行います。

医療ダイエットにはどんな治療がある?

医療ダイエットには、大きく分けて食事管理、運動に代わる筋肉トレーニング、脂肪細胞へのアプローチの3種類があります。

①食事管理

方法 薬や薬剤の摂取
作用機序 ・食欲を抑える
・脂肪燃焼を促進
・食事の吸収を抑える
効果 食欲が減ることで体重減
脂肪燃焼でカロリー消費が増える

⓶運動に代わる筋肉トレーニング

方法 電磁パルス
作用機序 MRIの磁場の原理を利用して意図的に筋肉を収縮
効果 運動をしなくても筋肉が鍛えられる

③脂肪細胞へのアプローチ

方法 脂肪溶解注射/脂肪冷却
作用機序 ・脂肪を冷やして脂肪細胞を壊し、一部を体外に排出する(脂肪冷却)
・脂肪を溶かす薬剤を施術部位に注入し、体外に排出させる(脂肪溶解注射)
効果 体脂肪が減る

医療ダイエットの効果は?

通常のダイエットでは、食事制限で摂取エネルギーを減らしたり、運動で消費エネルギー量を増やしたりしますが、効果が実感できるまでに数カ月以上かかります。効果がなかなか目に見えないと途中であきらめてしまう方も多いと思います。

対して医療ダイエットは、食事制限や運動などのダイエットよりも早く目に見えたり効果を実感できます。

例えば、脂肪吸引は、身体にある脂肪を吸引して脂肪量を減らす施術で、その場で施術箇所が細くなるのが目に見えます。

具体的な目的のためのピンポイント施術をするので、効果が見られないことはほとんどありません。また、一度減らした脂肪細胞は元に戻らないため、リバウンドしにくいとされています。

医療ダイエットの流れ

医療ダイエットの一般的な流れは、以下の通りです。

  1. カウンセリング
  2. 身体測定
  3. 遺伝子、血液検査
  4. ご自身の要望にあった施術の選択
  5. 治療の開始
  6. 事後のカウンセリング

漢方薬の栄養指導などを含む月額プランなどがある場合もあります。

産後ダイエットで「医療ダイエット」をするメリット

医療ダイエットのメリットは、無理なく楽に続けることが可能、そして自分の理想にあわせてパーツパーツを理想のボディにできます

食事だけのダイエットの場合、体重のみが落ちてしまったり、顔がこけてしまった割には体型はあまり変わらないなど、理想と違った痩せ方をすることも。その点、医療ダイエットはピンポイントで身体の改善ができるのでとても効率的です。

産後ダイエットで「医療ダイエット」をするデメリット

医療ダイエットのデメリットとしては、自費での治療となるためコストがかかることです。そのほか、医療行為なので薬の副作用や合併症が現れる可能性もあります。

薬の副作用、医療行為による多少のダメージ、施術によってはダウンタイムが必要で、その間は行動に制限も出てしまいます。そのため、信頼のおける医療機関やクリニックを探しましょう。

十分なカウンセリングがあるか、信頼できそうなスタッフがいるか、アフターフォローがしっかりしているかなども確認をしましょう。

医療ダイエットはどんな人におすすめ?

医療ダイエットは、以下のような方におすすめです。

  • 部分痩せをしたい人
  • 食事制限が苦手な人
  • 運動しなくても身体を引き締めたい人

通常のダイエットは目に見えるまでの変化が現れるまで数か月かかりますが、医療ダイエットであれば目的の箇所のみであれば短期間で変化が見られます。

そのため、長いダイエットに自信がない人にもおすすめです。

医療ダイエットの病院の選び方

医療ダイエットの病院を選ぶ際には、以下の3点に気を付けて選びましょう。
施術をする医師の腕にかかっていますので、

  • 医師の専門の施術が自分の希望にあっているかどうか
  • 施術前後のカウンセリング含めたサポートが充実しているか
  • 過去の事例がきちんと公開されているか

などを考慮しましょう。また、何度か通院をすることになるので通院しやすい場所なのかもチェックしておきましょう。

まとめ

産後ダイエットで食事制限や運動だけではなかなか理想のボディラインを手に入れることができなかった人は、医療ダイエットをぜひ検討してみてください。

医師免許を持った経験豊富な医師が施術をするため安全な治療とも言えるでしょう。最先端の医療技術で理想のカラダに近づきましょう。

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