「かゆみや湿疹が気になるけど、更年期は関係があるのかな」と、かゆみや湿疹について悩んではいませんか?
更年期にはかゆみや湿疹をはじめとした肌トラブルが起こるとされ、女性ホルモンの減少と関係があります。
本記事では、更年期に起こるかゆみや湿疹の原因と対処法を解説しています。かゆみや湿疹で悩んでいるひとは最後まで読んで参考にしてくださいね。
この記事でわかること
- 更年期とは
- 更年期に起こる皮膚症状
- 更年期に起こる「かゆみ」や「湿疹」の原因
- かゆみや湿疹の対処法
- できるだけ早期に改善したい場合
更年期とは
更年期とは閉経をはさむ前後5年間の期間をいいます。更年期には卵巣機能が低下し女性ホルモンが減るため、心身の変化が出やすいことが知られています。
日本人の平均閉経年齢は50歳のため、個人差はありますが45〜55歳の女性が更年期にあたることが多いです。
なお、閉経とは永久に月経が停止した状態をさします。
更年期は、女性ホルモンが盛んな性成熟期から女性ホルモンが微量になる老年期に移行する期間であり心身の変化が大きい時期になります。
更年期に起こる皮膚症状
更年期に起こる皮膚症状には,以下のようなものがあります1)。
- 乾燥(ドライスキン)
- かゆみ
- 肌のハリの低下
- 多汗
女性ホルモンのうち「エストロゲン」には、肌の弾力や肌の水分量を増やす働きがあります。閉経前後の更年期に入るとエストロゲンの分泌量が急激に減り、様々な肌トラブルを引き起こすようになるのです。
他にも、
- シミ
- 首のイボ
- 抜け毛
- 皮膚のピリつき
- 爪の割れ
などに悩まされる方もいらっしゃいます。
このように更年期に起こる皮膚症状には様々なものがあるのです。
更年期に起こる「かゆみ」や「湿疹」の原因
更年期に起こる、かゆみや湿疹の主な原因は乾燥と考えられています。 老化にくわえて、女性ホルモンが減少すると水分保持の力が弱まり、肌の乾燥や湿疹が起こるとされています。
乾燥肌になると皮膚を守るバリア機能が低下して、外部からの刺激を受けやすくなります。結果、小さな刺激でもかゆみを感じやすくなってしまいます。
ただ、かゆみは乾燥以外にも、虫さされ、衣服のすれ、ストレス、全身性の病気などが原因の場合もあります。
かゆみや湿疹の対処法
更年期のかゆみや湿疹の主な原因は乾燥によるもの。そのため、とくに乾燥肌への保湿対策を日常生活で意識することが大切。ここでは、普段からできるかゆみや湿疹の対策法を紹介します。
- 食事
- 服装
- 保湿
- 入浴
- 睡眠
- 紫外線対策
- 漢方
食事
更年期の肌の乾燥やかゆみを防ぐためには、食事習慣を見直し、体の内側からケアしていくことが大切です。特にビタミン類が不足すると、肌トラブルを引き起こすことがあります2)。
かゆみや湿疹のような皮膚トラブルを防ぐために必要な栄養素を紹介します。
栄養素 | 多く含まれている食品 |
---|---|
ビタミンA | レバー、卵黄、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、魚など |
ビタミンB群 | 豚肉、玄米、豆類、赤身肉、バナナなど |
ビタミンC | 柑橘類、いちご、緑黄色野菜、いも類など |
ビタミンE | 植物油、アボカド、アーモンドなど |
亜鉛 | 牡蠣、小麦胚芽、肉類など |
鉄 | レバー、貝類、卵黄、緑黄色野菜、ひじきなど |
ポリフェノール | 赤ワイン、コーヒー、緑茶など |
皮膚トラブルを防ぐために必要な栄養素を積極的に体内に取り込むように心がけてみてください。
一方で、アルコールやスナック菓子、インスタント食品などは控えるようにしましょう。
服装
肌にかゆみが出ている場合は、肌のバリア機能が弱っています。そのため、皮膚への刺激が少なく、吸汗性の高い綿素材がおすすめです。
汗はかゆみの原因となるヒスタミンを含んでいます。ホットフラッシュなどで汗がたくさん出る場合には、特に綿素材の衣服を取り入れてみてください。
また、体温調節や紫外線対策ができるように、脱ぎ着しやすい服装を心がけましょう。
一方で、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維やチクチクした装飾が直接肌に触れると、かゆみにつながるので避けた方が安心です。
保湿
肌のかゆみを抑えるためには、肌への保湿が重要と言われています。
乾燥などにより肌のバリア機能が低下していると、角質層での水分バランスが乱れ、ますます乾燥するという悪循環になることもあります。
特にお風呂上がりの保湿は大切です。夏はローションタイプ、冬は軟膏やクリームタイプなど、季節や自分の好みに合わせて継続することが大切です。
他にも、空気の乾燥対策も肌の乾燥対策につながります。加湿器を用いたり、洗濯物を部屋干しするなどして加湿を心がけましょう。
入浴
入浴時には肌の乾燥予防のために、気をつけたいポイントがいくつかあります。 高温の湯船や長湯は避ける
- 体を洗いすぎない
- バスタオルで体を強くこすらない
- お風呂上がりは忘れずに保湿する
皮膚はバリア機能によって水分を保ちますが、高温の湯船や長湯、体の洗いすぎはバリア機能の低下につながります。
とくに、かゆみを起こしやすい陰部のデリケートゾーンはやさしく洗いましょう。また、頭皮もゴシゴシと洗うのは避けて、優しく洗ってください。
睡眠
睡眠には、以下のような役割があります。
- 脳を休めて疲れを取り除く
- 細胞の修復・再生
- ストレスのリセット
肌の新陳代謝を促す成長ホルモンは寝ている間に分泌されるので、しっかり睡眠時間を確保することが大切です。
ただし睡眠時間には個人差があり、一律に「◯時間が必要」と言えません。目覚めがすっきりしていれば睡眠時間が足りていると考えて良いでしょう。
安眠のための方法を紹介しますので、睡眠時間が足りていないと感じる方は実践してみてください。
- 朝太陽の光を浴びる
- 日中に軽く運動する
- 入浴して体を温める(寝る2時間以上前までに)
- 就寝30分前にはパソコンやスマートフォンをやめておく
- 心落ち着く音楽やアロマテラピーを取り入れる
- アルコールを飲みすぎない
紫外線対策
紫外線の刺激は肌のバリア機能にダメージを与え、乾燥肌をおこします。そのため、日頃からの紫外線対策が大切です。次のような、紫外線対策を意識してみてくださいね。
- 日焼け止めをこまめにぬる
- 帽子をかぶったり、日傘をさす
- 日があたるところを室外だけでなく室内でも避ける
- 紫外線が強くなる時間帯の外出をさける
漢方
更年期の症状には漢方薬との相性のよさが知られており、かゆみや湿疹に使われる漢方薬もあります。 漢方医学の考えでかゆみや湿疹には、強い痒みがあるタイプ、ジクジク型、乾燥型などがあります。
皮膚が乾燥しており、かゆみがある乾燥型には、当帰飲子(とうきいんし)が使われることが多いです。当帰飲子(とうきいんし)は冷え症の体質で慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ に効果があります。3)
漢方薬は体質や症状にあったものを使うことが大切なため、かゆみに使う場合でも、症状の強さや現れ方を見極める必要があります。
できるだけ早期に改善したい場合
更年期におこるつらいかゆみや湿疹。かゆみや湿疹が続くとつい掻きむしりたくなり、早くなんとかしたいものですよね。
ただ、こまめな保湿対策や生活習慣に気をつけてもおさまらないことも多々あります。最後にできるだけ早く改善したい場合の対処法を紹介します。
漢方薬を試してみる
漢方薬を手に入れるためには、下記の4つの方法があります。自分にあう方法を選んでみましょう。
- ドラッグストアで購入する
- 漢方薬局で購入する
- 医療機関で処方をうける
- オンラインショップで購入する
なお、オンラインショップには、自宅で薬剤師に相談して自分にあう漢方薬を購入できるサービスもあります。
また、早期といっても漢方薬はかゆみ止めなどと比較すると、ゆっくりカラダの中から効いていきます。効き方には個人差がありますが、ひどいかゆみの場合は医療機関の受診が安心です。
症状がひどい場合は医療機関を受診する
ひどい湿疹やかゆみが悪化する、他の皮膚症状が見られないかゆみがある場合は医療機関で適切な治療を受けましょう。
かゆみの原因には、全身性の病気によるものもあるため、とくに湿疹や赤みなど皮膚症状を伴わないかゆみには要注意です。
また、かゆみ以外にもむくみやほてり、汗をかきやすいなど、気になる症状があり、日常生活に支障が出ている場合も医療機関での相談がすすめられます。
まとめ
本記事では、更年期に起こるかゆみや湿疹の原因と対処法を解説しました。お伝えしたいポイントは次の4つです。
- 更年期は女性ホルモンが減るため、心身の変化が出やすい時期
- 更年期に起こる皮膚症状には乾燥、かゆみ、肌のハリの低下、多汗などがある
- 更年期に起こるかゆみや湿疹の主な原因は乾燥 かゆみ・湿疹への対処法として、保湿対策を日常生活から意識する
- できるだけ早く改善したい場合は、医療機関の受診や漢方薬を考える
更年期で女性ホルモンが低下することで、乾燥が起こり結果として、かゆみや湿疹が起こることが知られています。かゆみや湿疹が気になる人は、本記事で紹介した対処法をぜひ参考にしてくださいね。
参考文献
1)日本女性医学科会.女性医学ガイドブック更年期医療2019年度版.2019https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307301411
2)Cao C et al. Diet and Skin Aging-From the Perspective of Food Nutrition. 2020https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7146365/#!po=23.2759
3)株式会社ツムラ.ツムラ当帰飲子エキス顆粒(医療用).2013 http://www.tsumura.co.jp/medical/products/086/pdf/products-pdf-01.pdf