日常的に頭痛に悩んでいる方は意外と多いです。特に片頭痛は肩こりや疲れ目などの血行不良からくる頭痛とは異なり、ささいなことがきっかけとなり、急に症状が現れることもあります。
頭痛の症状が現れると仕事や家事に集中できなくなったり、外出するのも憂うつになったり、と日常生活に支障をきたす恐れがあります。
今回は片頭痛をテーマにその原因や対処方法、漢方薬を用いた体質改善についてご紹介します。片頭痛に悩まれている方が少しでも、楽になれるように有益な情報をご紹介していきます。ぜひ読んでみてください。 この記事でわかること
- 片頭痛の原因や特徴
- 片頭痛の対処法
- 片頭痛におすすめな漢方薬
片頭痛とは
片頭痛とは、心臓の拍動のようにドクンドクンと脈打つような発作性の痛みが現れるのが特徴です。症状は片側に現れることが多く、片頭痛と呼ばれるようになりました。しかし、実際は罹患者の約40%は両側性に痛みを感じているという報告もあります。 片頭痛の特徴
- ドクンドクンと拍動のような発作性の痛み
- 片側に症状が現れることが多いが、両側性の場合もある
- 吐き気やおう吐
- 光や音など、感覚に過敏になる
- 頭痛が現れる前兆として、キラキラ・ギラギラした光がちらつく閃輝暗点(せんきあんてん)という症状が現れることがある
片頭痛の原因
片頭痛の原因は、なんらかの要因により「血管が急激に拡張する」ことで生じます。血管が拡張すると、頭部の周りに存在する三叉神経(さんさしんけい)という神経を血管が刺激してしまい、痛みが生じます。
さらに、神経が刺激された拍子に炎症物質が分泌されることで、さらに血管を拡張させてしまい悪循環をもたらします。 血管が急激に拡張してしまう具体的なメカニズムは解明されていませんが、以下のような因子が片頭痛を発生させる引き金として考えられます。
- 寝不足や寝過ぎ
- 光・音・においなどの外的刺激
- 空腹
- ストレス
- ホルモンの変動
- 疲れ
- 緊張
- リラックスしたとき
片頭痛が起きる前兆はある?
片頭痛が生じる1時間ほど前から、キラキラまたはギラギラした光が視界にちらつく「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状が前兆症状として現れることが最も多いです。 その他、何となく頭痛が生じるような予感を感じたり、眠気、めまい、気分の変動などの変化が生じることがあります。
これらの前兆が現れるかどうかや、その程度は個人差が大きく、必ずしも全員に現れるわけではありません。複数の前兆症状が現れる方もいれば、予兆がないまま頭痛が現れる方もいます。
片頭痛に即効性のある解消方法
片頭痛に即効性のある解消法についてご紹介します。片頭痛は眼精疲労や筋肉の凝りなどからくる緊張性の頭痛とは異なるため、一般的な頭痛とは対処方法が異なる場合があります。
そのため、頭痛の解消法として行っていたことが逆効果なときもあります。正しい片頭痛の解消方法を確認して、ご自身が行っている方法と比較してみましょう。
ツボを押す
片頭痛に効果がある解消法として、ツボを押すことが挙げられます。ツボとは全身を巡る神経が重なり合う場所のことで、その箇所をほぐしたり、刺激することで体の調子を整えます。
片頭痛は神経が刺激されることで生じるため、ツボを押すことで片頭痛の原因である神経のたかぶりを抑える効果が期待できます。 ツボを押すときの強さは、弱すぎても強すぎても効果が半減してしまいます。痛気持ちいいと感じるくらいの強さで、ゆっくりと感覚を調整しながら押しましょう。
百会(ひゃくえ):頭のツボ
百会(ひゃくえ)は頭頂部にあるツボで、片頭痛の痛みを和らげる効果があるとされています。頭の真上から下に向かって真っ直ぐに押してみましょう。
押すときは2~3本の指を使ってゆっくりと、押して離してを呼吸に合わせながら行います。押すときは数回で止めてしまわずに、数分間連続で押してみてください。 このツボは、特に強い痛みが出始めたときに効果があります。
また、片頭痛だけでなく、緊張性の頭痛にも効果があるため、ぜひ試してみてください。
合谷(ごうこく):手のツボ
合谷(ごうこく)は手にあるツボのひとつで、親指と人差指の骨が交差する場所あたりに存在します。このツボも片頭痛の痛みを和らげる効果があるとされています。
骨が交差した部分より少し内側に、ツボ押しの指がちょうど入る凹みがあります。その凹みを、人差指の方へ向かって痛気持ちいい程度に押してみましょう。3~4秒押しては離してを数回繰り返してみてください。
このツボは首や肩の凝りにも効果があるため、頭痛以外のタイミングでも試してみてください。
通谷(つうこく):足のツボ
通谷(つうこく)は足にあるツボで足通谷と呼ばれることもあります。ツボの場所は小指(足)の根元側面にあります。
小指を動かしたときに指が曲がる部分を目印に、そのすぐ側面を探すと見つけやすいです。 このツボも片頭痛に効果があり、中でも後頭部の痛みに効果があるとされています。後頭部の痛みは片頭痛以外にも、目の疲れやストレートネックの方に現れやすいです。心当たりがある方は試してみましょう。
身体を温め、痛い部分は冷やす
片頭痛の解消法として、ついついしてしまいがちなのは頭部を温めてしまうことです。前の章でもお伝えしたように、片頭痛の原因は何らかの要因によって血管が拡張することにあります。 そのため、片頭痛による痛みには頭部を冷やした方が効果的です。
冷却シートや保冷剤を用いて頭部や頸部を寒くない程度に冷やしてみましょう。 反対に、肩こりや眼精疲労からくる緊張性の頭痛は血行不良が原因のため、温めた方が効果的です。 頭痛の種類によって対応策が変わる場合がありますので、ご自分の状況をよく把握してみましょう。
無理に動かずに安静にする
体を動かすと血流が早くなり、片頭痛がさらに悪化する恐れがあります。そのため、片頭痛が起こっているときはできるだけ安静に過ごしましょう。 体勢はご自身が一番楽な姿勢で構いません。横になっても、椅子に座っても問題ありません。体を休めながら、先にご紹介したツボ押しを行ったり、頭部を冷やしたりすると、より効果的です。
薬を飲む
痛みが治まらないときは薬を飲むのもひとつの方法です。使用する薬には、痛みを抑える鎮痛薬や片頭痛の原因である血管の拡張を抑える片頭痛薬もあります。具体的な成分としては以下のようなものが挙げられます。
- ロキソプロフェン
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
- エテンザミド
- アスピリン
- トリプタン
- エルゴタミン
トリプタンとエルゴタミンといった偏頭痛薬は、ロキソニンなどの痛み止めよりも効果があるといわれています。医師の処方が必要ですので、病院で診察を受けましょう。 また、痛み止めを飲みすぎてしまうと、痛み止めによる頭痛が出てしまうことがあります。慢性的に痛み止めを飲んでいる方は一度医師に相談することをおすすめします。
長期的に体質改善|片頭痛に効果が出る方法
前の章では即効性のある対処方法をご紹介しましたが、次は長期的に体質から改善する方法をご紹介します。 「頭痛持ち」というような表現をされることがありますが、片頭痛は一度だけでなく、些細なことをきっかけに再発します。 快適な日常生活を送れるように、症状が現れていない時にも、できる範囲で対策を行っていきましょう。
健康的な食事や生活習慣で片頭痛の誘発を防ぐ
片頭痛と生活習慣は深い関わりがあります。特に食生活は片頭痛を見直す上でとても重要です。 食べ物の中には頭痛の原因になり得る食べ物が存在します。例えば、アルコールやカフェイン、グルテンです1)。さらに、マグネシウムの不足による頭痛の誘発やビタミンB2を補給することで頭痛が軽減されたという報告もあります2) 3)。
このように、特定の食べ物や栄養素の不足が頭痛を引き起こしやすい状態を招く可能性があります。 また、ヨガには頭痛を軽減する効果があるとされており、適度な運動はリフレッシュ効果だけでなく、頭痛の予防に繋がります4)。
漢方薬を活用する
漢方薬を活用して体質改善を行う方法もあります。特に、ホルモンバランスのゆらぎによって引き起こされる片頭痛に対して漢方薬は効果的です。 漢方薬はゆっくりと体の滞りや乱れを整え、体調を整えてくれます。また、漢方薬は飲み合わせの制限が比較的少ないという特徴もあるため、日常的に薬を服用されている方でも、服用できる場合が多いです。
漢方薬にはたくさんの種類があり、どれを服用すればよいのかわからないという声を多く聞きます。そんなときは、canvasの漢方薬キットがおすすめです。 canvasの漢方薬は、ご本人の状態に合わせてピッタリな漢方薬キットを提案してくれます。ホルモンバランスによる片頭痛が原因の方は、ぜひ漢方薬の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
片頭痛が起きる前や起きてすぐに誘発因子を対応しよう
最初の章で片頭痛の引き金となる因子についてお伝えしましたが、片頭痛が起きる前や起きてすぐの段階でこれらの誘発因子を取り除くことをおすすめします。
例えば、部屋を暗くしたり、静かな部屋へ移動したり、耳栓やアイマスクなども効果的です。もし、すぐに対処が難しい場合は、数分目を閉じるだけでも症状の発生を防げる場合があります。 痛みが出たらなるべく早めに対応して、外界の情報を一度遮ってみるのもひとつの方法です。
まとめ
今回は片頭痛についての基本的な情報と解消方法について解説してきました。片頭痛の対処方法で最も大切なのは、症状が現れるまたは前兆を感じたら、すぐにできる対処を行うことです。 仕事中や移動中など、状況によってはすぐに対処することが難しいかもしれませんが、できる範囲で構いません。 片頭痛の対処方法
- ツボ押し
- 頭部や頸部を冷やす
- 安静にする
- 痛み止めや片頭痛薬を飲む
- 生活環境の見直しや漢方薬の利用によって体質改善を行う
症状が現れたときは、今回ご紹介した対処方法をぜひ試してみてください。また、片頭痛は症状が出ていない日常生活の状況も大切です。 日頃から食べ物やにおいなど、ご自分が苦手と感じる誘発因子を把握して回避することで、頭痛の発生を抑えることができます。 片頭痛の予防には、早い対応と日頃からご自分の状況の振り返りがとても大切です。
参考文献
1)Martin V.T., Vij B., Diet and Headache: Part 1. Headache., 2016 Oct.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27699780/
2)Yablon L.A. et al., Magnesium in headache. Magnesium in the Central Nervous System [Internet]., 2011.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29920023/
3)Thompson D.F., Saluja H.S., Prophylaxis of migraine headaches with riboflavin: A systematic review. J Clin Pharm Ther. 2017 Aug.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28485121/
4)Anheyer D. et al., Yoga for Treating Headaches: a Systematic Review and Meta-analysis. J Gen Intern Med., 2020 May. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31667736/