【冷え性の改善で妊娠した?】冷え性改善が妊娠につながる可能性はある?

この記事の監修者

前田 裕斗

産婦人科専門医

経歴

2013年3月 東京大学医学部医学科卒業
2015年3月 川崎市立川崎病院にて初期臨床研修修了
2015年4月 神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科専攻医
2018年4月 国立成育医療研究センター産科フェロー
2018年10月 日本産科婦人科学会産婦人科専門医取得
2021年4月 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野博士課程在学

冷え性に悩む女性の中には、その冷えが妊娠に影響しているのではないかと不安に感じる方もいます。

本記事では、冷え性と妊娠の関係について探りながら、冷え性改善の方法や漢方薬の効果について詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  • 冷え性の原因への理解
  • 冷え性のタイプと特徴
  • 冷え性改善のための生活習慣の改善方法
  • 当帰芍薬散や加味逍遙散などの漢方薬の効果と適切な選び方
  • 冷え性のタイプと特徴

冷え性とは

冷え性とは、検査などでは特に異常がないにもかかわらず、体の冷えを強く感じるような状態を指します

寒い季節やクーラーのよく効いた部屋で、もしくは冷たいものを摂ることによって、手足が冷たくなったり、身体全体が冷えてしまったりします。

女性に多く見られ、月経によるホルモンの変動や男性よりも筋肉量が少ないため熱の産生が少なかったり、皮下脂肪が多いため一旦冷えてしまうと温まりにくいなどの傾向が関係しています。

冷え性による不快感や体調不良は日常生活に影響を及ぼすことがあります。

冷え性の原因

冷え性の原因は複数あります。女性特有の要素として、月経によるホルモンの変動から自律神経が乱れやすいこと、男性よりも筋肉量が少ないため熱の産生が少なかったり、皮下脂肪が多いため一旦冷えてしまうと温まりにくいことが挙げられます。

生活習慣の要素として、運動不足やストレス、食事の偏りが冷え性を悪化させる要因です。

さらに、血行不良や神経の乱れ、寒冷な気候や冷房の下などの冷たい場所に長時間さらされるのも冷え性の原因とされています。

冷え性を改善すると妊娠しやすいのは本当?

冷え性を改善することが妊娠に直結するかどうかについて明確な結論は得られていません。一部の論文では、冷え性の有無自体が不妊に直接関連するわけではないが、血管運動症状(ほてりや冷えのぼせなど)が強い場合には関連する可能性があると報告しています1)。

冷え性はホルモンや自律神経の乱れと関係しているため、冷え性に困っている場合にはホルモンバランスの乱れがないか確認することも有用です

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冷え性のタイプ

冷え性は、その症状の特徴に基づいて複数のタイプに分けることができます。個人の冷え性の特徴を把握し、適切な対策や改善方法を選ぶためには、自身の症状のタイプを理解することが重要です。

以下に代表的な冷え性のタイプを紹介します。

全身型冷え性

全身が冷え切っている状態で、手足だけでなく体全体が冷たく感じられます

手足などの末端冷え性

手や足が特に冷たくなり、末端部分の血行不良が主な特徴です。手足の冷えやしびれ感が強く出ます

下半身型冷え性

下半身(腰から下)が特に冷えるタイプです。

身体の中心部や部位によって体感が異なる冷え性

体の中心部や特定の部位(背中、胸など)が冷えやすいタイプです。

こうした様々なタイプの冷えに加え、個々人の体質を踏まえ、後述の漢方薬治療が行われます。

冷え性を改善する方法

冷え性を改善するためには、生活習慣や食事、身体のケアなどさまざまな方法があります。以下にいくつかの具体的な方法を紹介します。

あたたかい飲み物をのむ

冷え性を改善するためには、温かい飲み物を積極的に摂取しましょう。

ハーブティーや温かい水、ジンジャーティーなど体を温める効果のある飲み物がおすすめです。

内側から体を温めることで、冷え性の緩和につながります。

体が温まる食品を摂取する

食事においても、体を温める効果のある食品を意識的に摂取しましょう。

ショウガやニンニク、唐辛子などは血行促進や体内の代謝を活発にする効果があります。

また、温かいスープや煮込み料理、温かい季節の野菜なども体を温めるのに役立ちます。

半身浴をする

半身浴は、血行を促進し体を温める効果があります。

湯船につかる際には、特に手足や冷えやすい部分に温かいお湯を集中的にかけると効果的です。

ただし、過度の湯船や長時間の入浴は逆効果になることもあるので、適度な時間と温度を守りましょう。

ストレッチやマッサージをする

身体を動かすことや筋肉をほぐすことで、血行を改善する効果があります。

定期的なストレッチやマッサージを取り入れることで、体全体の血流を良くし、冷え性の緩和につながるでしょう。

漢方薬を活用する

漢方薬は、冷え性の改善に役立つ可能性があります。漢方薬の中には、血行促進や体温上昇をサポートし、冷え性の改善に寄与するものがあるのです。

漢方医学では、体のバランスを整えることで冷え性の改善を目指します。

ただし、漢方薬の使用には注意が必要です。個人の体質や症状に合わせた処方が重要であり、適切な用法・用量を守ることが大切です。

また、漢方薬は即効性を期待するものではなく、継続的な摂取が必要な場合もあります。

冷え性を改善するおすすめの漢方薬

冷え性を改善するためには、漢方薬も一つの選択肢となります。

「当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、六君子湯」などが冷え性の改善に役立つ漢方薬として知られています。

漢方薬の使用には、個人の体質や症状に合わせた適切な漢方薬を選ぶことが重要です。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散は、女性の体のバランスを整えるために使用される漢方薬です。行促進や子宮の血流を整える作用が期待されます。

当帰芍薬散には、主に当帰(トウキ)と芍薬(シャクヤク)の成分が含まれています。当帰は血行促進効果があり、芍薬は体を温める効果があります。

この組み合わせによって、体の血液循環を改善し、体温を上昇させることが期待されます。

体を温める作用がありますので、女性ホルモンのバランスを整えることで妊娠力の向上にもつながる可能性があります。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

加味逍遙散は、自律神経の調整や血行促進効果がある漢方薬です。

加味逍遙散には、柴胡(サイコ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)などの成分が含まれています。

柴胡は神経の興奮を抑える効果があり、ストレスや緊張の緩和に役立ちます。茯苓は体内の余分な水分を排出し、むくみの改善に寄与するとされています。

冷え性に伴うむくみやだるさ、イライラなど波のある、様々な症状に効果がありますので、体のエネルギー循環を改善することで冷え性の改善に効果が期待されます。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

桂枝茯苓丸は、血行促進と水分代謝の調整に効果がある漢方薬です。

体の冷えやむくみ、冷え性による不正出血などに使用されます。体内の水分バランスを整え、体温を上昇させることで冷え性の改善に役立つと考えられています。

桂枝茯苓丸に含まれる主要な成分である桂枝は、体内の血行を促進する効果があります。血行が良くなることで、体の隅々まで血液や栄養が行き渡り、体温が上昇すると考えられています。

また、茯苓は体内の余分な水分を排出する効果があります。体内の水分が適切に調整されることで、むくみの改善や体温の安定に寄与するとされています。

六君子湯(リックンシトウ)

六君子湯は、体の内側から温める効果がある漢方薬です。六君子湯は、体力を補い、消化機能を活性化することで冷え性の改善に寄与するとされています。

六君子湯には、人参、茯苓、白朮、桂枝、甘草、生姜などの成分が含まれています。

人参は、体力増強や免疫力の向上に役立ち、茯苓は体内の余分な水分を排出してむくみを改善します。

白朮は、脾臓の機能をサポートし、桂枝は体を温める効果があります。甘草は他の成分との相互作用を促進し、生姜は体を温めるとともに消化を促進します。

内臓の機能を整えることで体温調節も促進されます。体温が上昇し代謝が活発になることで、冷え性の症状を軽減する効果が期待されます。

タイプに合わせて医師や薬剤師に相談して漢方薬を選ぼう

冷え性の改善には、個人の状態や症状に合わせた漢方薬が効果的です。医師や薬剤師との相談を通じて、自分に適した漢方薬を選びましょう。

冷え性のタイプや症状は人それぞれ異なります。全身型、手足の末端型、下半身型など、さまざまなタイプがあります。漢方薬はその特性に応じて体のバランスを整える働きがあります。

オーダーメイド漢方薬を提供しているcanvas(キャンバス)では、医師監修の問診をLINEにて無料で受けることができます。
個別の状態に合わせた漢方薬を処方してもらえるので、効果的な改善を目指すことができます

canvasから処方しているオーダーメイド漢方は、産後の不調などにも使用され、授乳中でも安心して服用できます。

ただし、気になる場合は母乳中の薬の濃度が高くなるのは2~3時間後と言われていますので、その時間帯を避けることをおすすめしています。

オーダーメイド漢方定期便

まとめ

冷え性は女性によく見られる悩みで、重度の冷えがある場合、妊娠にも影響を与える可能性があります。

冷え性の原因は様々あり、月経によるホルモンの変動や冷房の下などの冷たい場所に長時間さらされるのも原因の一つです。

冷え性を改善するためには、あたたかい飲み物の摂取や体が温まる食品の摂取、半身浴やストレッチ・マッサージの実施などの生活習慣の改善が重要です。

また、漢方薬も冷え性の改善に役立つことがあります。漢方薬の選択には個人の状態に合わせた相談が必要ですので、医師や薬剤師との相談を通じて、最適な冷え性の改善方法を見つけましょう。

参考文献

1) 白井 麻衣子ら 2016 女性の冷え症状と不妊症との関係について https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/66/3/66_180/_pdf/-char/ja

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